現行モデルのスバル「フォレスター」は2018年に登場した5代目ですが、2回目となる年次改良がおこなわれ、ターボエンジン搭載車が追加されました。今回の年次改良では、どのようなところが進化されたのでしょうか。
■2回目の年次改良で「フォレスター」はC型へと進化
最近よく耳にするのが、「クロスオーバーSUV」です。
クロスオーバーとは、「違う分野を組み合わせて、新しい物事を作り出すこと」。さらにSUV(スポーツユーティリティビークル)は「スポーツ/レジャーに適した利便性を備えたクルマ」とあり、要するに「何でもアリなSUV」ということなのです。
そのため、「オンロード主体/オフロード主体」、「カッコよさ重視/ユーティリティ重視」といったように、ジャンルが細分化されていますが、そんなクロスオーバーSUV市場のど真ん中をいくのが、スバル「フォレスター」です。
初代モデルは1997年に登場。個性派揃いのスバル車のなかでは比較的大人しめな存在でしたが、着実にユーザーを獲得していきました。
そのキャラクターが大きく花開いたのは、2007年に登場した3代目でしょう。
SUVらしさをより強調したコンセプトが、クロスオーバーSUVブームと相まって販売台数は大きく増加。好調の北米販売をけん引するとともに、グローバル販売トップとなるスバルのエースへと成長しています。
現行モデルは2018年に登場した5代目ですが、2019年におこなわれた1回目の年次改良(通称:B型)では、後席荷物置き忘れブザーやリアシートベルトリマインダーの採用、LEDラインセンスランプの全車標準化など、利便性の向上がメインでした。
今回、2回目となる年次改良(通称:C型)がおこなわれましたが、どのような部分が進化したのでしょうか。
細かい部分を見ると、ヘッドランプの意匠変更(Cシェイプを際立たせる表現に)、ドライバーモニタリングシステムの設定グレード拡大、キーレスアクセス&プッシュスタートの全車標準化なども実施されていますが、大きな変更はパワートレインでしょう。
従来モデルのパワートレインで主力だった2.5リッター自然吸気エンジンがカタログから落ち、その代わりに、従来は最上級グレードの「アドバンス」のみの設定だった2リッターエンジン+モーターの「e-BOXER」がメインユニットに変更されました。
もっともアクティブなグレードである「X-BREAK」にもe-BOXERが搭載されましたが、同グレードではさらに、ドライブアシストシステムのSIドライブと連動し状況に適した、エンジン回転数やモーターアシストをおこなう新制御「e-アクティブシフトコントロール」を採用しています。
■新型「レヴォーグ」と同じ1.8リッター直噴ターボエンジン搭載
これらに加えて、フォレスターの新グレードとして「スポーツ」が追加されたことが大きなニュースでしょう。
このスポーツグレードには、2020年10月15日に発表された新型「レヴォーグ」に搭載される次世代ボクサー 1.8リッター直噴ターボエンジン「CB18」を水平展開。フォレスターのターボモデルとしては2年4か月ぶりの復活となります。
「CB18」はスバルの次世代ダウンサイジングターボシリーズのひとつで、2.5リッターエンジン置き換わるパワーユニットとして新たに開発されています。
スペックは177馬力/300Nmと新型レヴォーグと同じですが、スペックに表れない部分の味付けがどうなのか気になるところです。今回、フォレスターへの搭載に合わせて、静粛性に寄与するアルミマウントも採用されています。
CB18は応答性の良さや排気量を感じさせない実用域のトルクだけでなく高回転までスッキリ回るフィーリングを兼ね備え、スペックだけでは語れない洗練されたパワーユニットですが、フォレスターとのマッチングも良さそうです。
歴代フォレスターのターボエンジンを振り返ると、ピークパワーよりも、扱いやすさを重視したセットアップが特徴でした。
スポーツのフットワーク系には、スポーツ専用セットアップとなるサスペンションが採用されていますが、気になるのはタイヤです。
同じサイズ(225/55R18)を履くe-BOXERの「アドバンス」グレードはサマータイヤですが、今回登場したスポーツはオールシーズンタイヤをセレクトしています。この辺りは、オンロード/オフロードを含めたスポーツという解釈なのかもしれません。
ターボモデルの車両重量は、e-BOXERに対して50kgから70kgの軽量化が図られているので、ブレーキサイズは17インチから16インチに変更されています。この辺りもバネ下重量の軽減で乗り味に寄与しているでしょう。
スポーツは、見た目においても専用の意匠が与えられています。
外観は、ピアノブラックのフロントグリルにグレーメタリックの加飾(フォグランプカバー、ドアミラー、アルミホイール、ルーフスポイラー、アンテナなど)、ボディ下部のシルバーアクセントというヒカリモノを抑えたコーディネイトです。
スバルのターボ車の証ともいえるボンネットエアスクープ(エアインテーク)は未採用ですが、ダクトやグリル形状の工夫で同等の冷却性能が確保されています。
また、現行フォレスターで唯一の左右出しのデュアルマフラー(ほかは1本出し)も、スポーツのアイコンのひとつです。
内装はブラックのモノトーンで、シートはウルトラスエード×本革。加飾はウルトラスエード表皮巻きで大人のスポーティを演出しています。
細かい部分では専用マルチインフォメーションディスプレイ付メーター高触感革採用のステアリング、アルミパッド付スポーツペダルなどもプラスされました。
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今回の改良で、フォレスターの商品性がアップしましたが、これは年々強化されていく規制をクリアすべく、「電動化(e-BOXER)」と「次世代ダウンサイジングターボ」の二本立てでスバルが戦うことへの表明ともいえるのではないでしょうか。