トヨタは新型「ミライ」の新たな情報を公開しました。2020年12月の登場に向けて期待が高まります。
■優れた走行性能を予感させるワイド&ローなスタイル
トヨタは新型「ミライ」を2020年12月に発売します。世界初のセダン型量産燃料電池車であるミライは、初のフルモデルチェンジでどのような進化を遂げたのでしょうか。
新型ミライは、TNGA GA-Lプラットフォームを採用し、駆動輪は後輪、乗車定員は5名というパッケージングです。
初代ミライと比べて全長は+85mmの4975mm、全幅は+70mmの1885mm、全高は-65mmの1475mmとし、ボディのワイド感が強調された踏ん張り感のあるプロポーションとしました。
台形のロアグリル下端にはメッキモールが配され、品の良い高級感を演出します。
サイドビューはリアタイヤを起点にボディ前方へ向かって絞り込まれるスポーティなフォルムとし、空気の流れも考慮。リアは、フロントと同様に張り出したコーナーが特徴的なデザインで、低重心さが強調されました。
テールライトは、トヨタのミドルサイズSUV「ハリアー」でも見られる、トヨタのシンボルマークを跨いで横一文字に伸びるデザインです。
内装は、左右非対称なデザインのインパネを採用。包まれ感のある運転席側と、拡がり感のある助手席側で、ダイナミックに変化しているデザインです。
ドライバーの前方の8.0インチTFTカラーメーターは、12.3インチの大型センターディスプレイと一体感のあるデザイン。大型カラーヘッドアップディスプレイとあわせて、必要な情報を効率的にドライバーへ伝えます。
2人掛けだった初代ミライのリアシートに対し、新型ミライは3人掛けのリアシートを採用。ボディサイズの拡大により余裕ができたことで、より一層快適に過ごせる空間となっています。
エアコンの温度を設定するだけで乗員ひとりひとりに心地よい空調環境を提供するオールオート機能や、快適温熱シート、シートベンチレーション機能により、車内はいつも快適です。
■一充填で約850kmの航続距離を実現
燃料電池自動車であるミライは、内燃機関のクルマが搭載するガソリンタンクの代わりに、水素タンクを搭載します。
そして、新型ミライでは航続距離の延長を目的に、水素タンクを2本から3本に増加。このうちの1本は、居住性への影響を最小限とするために、ボディを縦に貫くように配置されています。
2本目の水素タンクはリアシートの下、3本目のタンクは後輪の下に設置されました。航続距離は一充填で約850km(WLTCモード)を記録しています。
重量物である水素タンクをはじめ、燃料電池ユニットを再配置し、前後の重量バランスを最適化。後輪駆動の採用も奏功し、重量配分は欧州のプレミアムカーに比肩する50:50を達成しました。
さらに低重心設計やモーターならではのアクセル応答性、後輪駆動の採用により、エコカーのイメージを塗り替えるほどの走る楽しさを提供します。
搭載される駆動用モーターの最高出力は182馬力。高出力・高効率を実現したほか、減速時は発電機として、電力を駆動用バッテリーへ回収します。
発電のために吸い込む空気を浄化して排出する空気清浄システムも搭載。燃料電池車ならではの機能といえるでしょう。
水素システムは、「水素を漏らさない」「万が一漏れても直ちに漏れを検知して水素を止める」「漏れても水素を貯めない」という基本理念に基づき徹底的な安全対策を実施。
水素タンクの安全対策や、水素検知器による漏れ監視がおこなわれています。
新型ミライでは安全機能も進化。次世代トヨタセーフティセンスが搭載され、プリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減ブレーキ)は対歩行者と対自転車運転者で約10km/hから約80km/hまで、対車両は約10km/hから約180km/hまでで動作します。
また新型「ヤリス」に搭載されて注目された駐車支援システム「アドバンスドパーク」も搭載。並列駐車や縦列駐車、区画線のないスペースへの駐車(メモリ機能)に対応し、ベテランドライバーでも納得できるスピード感を実現したということです。
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ワイド&ローなスタイル、走る楽しさを演出する後輪駆動の採用など、ミライはフルモデルチェンジで燃料電池車という強い個性は保持したまま、クルマとしても魅力を大きく高めました。
思わず「運転したい」と思わせるエコカーに進化したといえるでしょう。