日本市場から一時期姿を消していたトヨタ「RAV4」ですが、2019年4月に約3年ぶりの日本市場復活を果たしています。発売後は、瞬く間に人気SUVに返り咲きました。そんなRAV4の魅力とはどのような部分なのでしょうか。
■高級志向のハリアーに対し実用性で勝負のRAV4
2019年4月にに5代目となって登場したトヨタの「RAV4」は、デザインのインパクトだけでなく、実用的なクルマとしてSUVジャンルを大きく引っ張る存在です。
では、実際のオーナーは、どこが気に入り、どこがイマイチと思っているのでしょうか。
初代RAV4は、5ナンバーサイズのコンパクトなクロスオーバーSUVとして1994年に登場しましたが、北米市場へシフトするため、2代目から3ナンバーサイズになりました。
そして、世界200カ国以上で販売されるグローバルモデルに成長し、2016年には、「カローラ」「ハイラックス」に次いで3番目に世界で売れているトヨタ車となりました。
4代目は国内モデルは発売されませんでしたが、現行モデルである5代目から、再び国内販売を再開しています。
日本自動車販売協会連合会が発表した登録車販売台数ランキングによると、2020年度上半期(4月から9月)は全体で15位と、SUVのなかでは同社「ヤリスクロス(ヤリスに含まれる)」「ライズ」「ハリアー」に次いで4位と上位にランクイン。
RAV4は、スタイリッシュなデザインの「都会派SUV」とは違い、SUVらしいワイルドな印象を残したデザインのため、差別化に成功。ライバルのホンダ「CR-V」や日産「エクストレイル」などと比べ、販売台数で大きく差を付けています。
パワートレインは、2リッターのガソリン車と、2.5リッター+モーターのハイブリッド車を設定。WLTCモード燃費性能はガソリン車が15.2km/Lから15.8km/L、ハイブリッド車が20.6km/Lから21.4km/Lとなります。
RAV4の特徴的な部分として駆動方式が挙げられます。RAV4には2WDと3タイプの4WDシステムを採用。ひとつは「ダイナミックトルク4WD」という従来型の電子制御式前後トルクスプリット型のシステムです。
ふたつめは「E-Four」という前後2つのモーターを使ったハイブリッド4WD。そしてみっつめが、世界初のメカニズムを採用した「ダイナミックトルクベクタリングAWD」です。
グレード体系は、エントリーモデルの「X」や上級グレードの「G」、19インチホイールが装備された「G”Zpackage”」、よりオフロード車らしいデザインの「Adventure」の4種類を設定。一方、ハイブリッド車は「HYBRID X」「HYBRID G」の2種類が設定されています。
また、2020年6月から「RAV4 PHV」が販売されており、ベースとなるRAV4のハイブリッド車にプラグインハイブリッドシステムを組み合わせたモデルで、最高出力306馬力を誇り、フル充電の状態であればEV走行で最長95kmの走行が可能です。
価格は、ガソリン車が274万3000円から353万9000円、ハイブリッド車が334万3000円から402万9000円、プラグインハイブリッド車が469万円から539万円です。
また、2020年10月2日には、最低地上高をベース車比で10mmアップした特別仕様車「 Adventure“OFFROAD package”」を発売。
専用サスペンションや18インチ専用アルミホイール&オールテレインタイヤ装着している同モデルは、発売後ユーザーから問合せが殺到しているといいます。
■実際RAV4に乗っている人はどこが良くてどこがダメ?
では、RAV4に乗っているオーナーは、どのような部分を評価をしているのでしょうか。
外観デザインは「チープかつ子供っぽい昭和のロボットデザイン」「好き嫌いがはっきり分かれるデザインかもしれません」との意見もありますが、「ゴツゴツしすぎず、かといって軟派ではなく好きです」「ブルドック顔のSUVらしいスタイルでだんだんと愛着が湧いてきました」と、好評価である意見の人が多い印象です。オフロード車らしいデザインを残しつつ、くどくないデザインであるようです。
内装は、「インナードアハンドルの開閉がやりにくい」「リアシートのリクライニングが2段と少なく、もう少し角度調整できるといい」「ドアグリップの位置が前過ぎてて使いにくい」と、細かな指摘が目立ちます。
ただし、「ハリアーほど高級感はないがそれでも十分質感に満足」「300万円以上するクルマとしては上出来」との声もあります。RAV4を選ぶオーナーは、インテリアの質感より、あくまで使いやすさを重視しているということもわかります。
走行性能や乗り心地に関しては、「ダイナミックトルクベクタリングAWDのおかげでオンザレールの気分を味わえます」「ボディ全体がしっかりしているため、山道のコーナーリングが楽しい」と、走行性能の高さを評価している声もありました。
また、ハイブリッド車に関しては、「エンジン音と共に車体も滑るように速度を増し、高級感を感じる」「モータとエンジンの切り替わりもとても賢く燃費もいい」と、こちらも好評価は目立ちます。
実燃費も見てみると、ガソリン車で11km/Lから17km/L、ハイブリッド車で16km/Lから20km/L程と、カタログ燃費と同等である様子です。
ただし、「4WDに燃費を求めてはいけない」との意見もありましたので、渋滞時や街乗りだとカタログ値より大幅に悪くなることもあるようです。
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RAV4のオーナーの反応をみると、実用性を考えたクロスオーバーSUVとして考えると、細かなデザインや機能性に不満を抱く人もいますが、内外装の出来には比較的満足であるようです。
また、ダイナミックトルクベクタリングAWDの走行安定性や、ハイブリッド車のパワーに満足しているオーナーが多いです。
近年、さまざまなスタイルのSUVが登場するなか、オフロード車らしい存在感を持ち、どのようなシーンでも活躍できるRAV4は、今後も安定して伸びていくことは間違いないでしょう。