コンパクトハイブリッドカーとして2011年に登場したトヨタの「アクア」は、圧倒的な燃費性能の良さと、広い室内空間が特徴です。では、実際のオーナーはどこを評価しているのでしょうか。
■低価格で低燃費のアクアはコスパ重視の人におすすめのクルマ
トヨタ「アクア」は、コンパクトなボディに「プリウス」で培われたハイブリッド技術を搭載したモデルです。
最近では、後発モデルのトヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」などの登場により、影が薄れているものの堅調な販売を見せています。
日本自動車販売協会連合会が発表する登録車販売台数ランキングによると、2020年度上半期(4月から9月)では14位を記録しています。
コンパクトカージャンルでは、同ランキング1位のヤリスや、4位のフィットに販売台数で差を付けられている状態です。
しかしアクアは、2011年の登場以来、2013年から2015年では連続して年間ランキングで首位に輝いていたほか、9年目を迎える現在でも安定して上位にランクインするなど、根強い人気を誇っています。
パワートレインは、全車1.5リッターエンジン+モーターのハイブリッド車となり、トヨタのハイブリッドシステム「THS II」を採用。カタログ燃費はWLTCモードで27.2km/Lから29.8km/Lです。
アクアは2011年の発売以来、フルモデルチェンジをしていません。しかし、発売時から完成度が高く、幾度とマイナーチェンジを繰り返しながら、年々熟成が進んでいるモデルです。
また、特別仕様車やグレードの追加によりバリエーションも増え、幅広いオーナーのニーズに応えるモデルでもあります。
現在アクアのグレードは、エントリーグレードの「L」、コストパフォーマンスに優れた「S」、上位グレードの「G」、クロスオーバースタイルの「Crossover」、スポーツタイプの「GR SPORT」の5種類で、価格は181万8300円から261万300円です。
スポーツグレードである「GR SPORT」は、専用のサスペンションやブレーキキャリパーが採用されているため価格が高くなっていますが、それ以外のグレードは200万円前後と、ハイブリッド車のなかでもかなり低価格に設定されているのは、アクアの大きな強みとして考えられます。
また、「S」グレードには、内外装の質感を向上させた「Style Black」、ミラーやホイールのカラーを変更した「GLAMPER」、ビジネスシーンでの使い勝手を考慮した「Business Package」と、3種類の特別仕様車が設定されているため、ユーザーのニーズに合ったグレードを見つけやすい点も支持されているようです。
■実際アクアに乗っている人はどこが良くてどこがダメ?
では、アクアに乗っているオーナーは、どのような評価をしているのでしょうか。
外観デザインでは「日産『マーチ』と同じく、かわいい印象で好きです」との声や、「美しい流線でスタイリッシュ」「真横から見ると流麗なデザイン」と全体的にデザインの良さを高く評価している声があります。
一方で「顔は初期型のほうが好み。無理やり変化させている気がする」と、2017年のマイナーチェンジでフロントバンパーやフェンダーの形状が変更され、よりスポーティな印象に変わったことに対する意見も見られました。
内装に関しては、「全体的にプラスチック感が漂い、コストパフォーマンス重視がにじみ出ている」「昔の軽自動車並み」と、低価格が売りのアクアであるため、その分質感に不満を感じる意見が見受けられます。
また、全高が低いため、「後席の頭上空間に余裕がない」「大人4人はかなりきつい」との意見もあります。
ただし、「窓ガラスが大きく視界良好」「速度表示がデジタルなのは視線移動が少なくてありがたい」と、運転しやすいクルマであることもわかります。
走行性能に関しては「大人5人で乗ったときはさすがにちょっと無理してる感がありました」「エコモードだとアクセルを踏み込んだときに若干もたつき感はあるが切れば問題ない」と、全体的に力不足感は否めない様子です。
実燃費は、平均で20km/Lから27km/Lとなり、なかには「エコモードで普通に交通の流れに乗ってリッター31kmを叩き出した」との声もありました。
最近の販売状況について、トヨタの販売店は次のように説明します。
「アクアは登場から年数が経過していることや、ヤリスの登場でかつてほどの勢いはありませんが、買い物や近場のお出かけなどは丁度良いクルマです。
また、最近の軽自動車は価格が上がっており、燃費なども気にされるお客様はアクアへの関心が高いようです。
あとは、ほかのモデルよりも値引きやオプションキャンペーンなどが出来ることもあり、『これが良い!』という希望がなく無難なクルマが欲しい人にはマッチしているかもしれません」
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9年目を迎えているアクア。今後、トヨタが進める車種整理の対象となるのか、フルモデルチェンジでさらなる魅力を持った状態で登場するのか、注目せずにはいられません。