Infoseek 楽天

本当に燃費向上? 怪しすぎる燃費グッズ 非科学的商品が消えない理由

くるまのニュース 2020年11月18日 9時10分

クルマの燃費を良くしたいというのは、万国共通な願いかもしれません。しかし、市販されている燃費向上グッズのなかには、その効果が科学的に実証されていないものも少なくありません。効果が得られるかどうかは不透明にもかかわらず、こうした非科学的なグッズが消えない理由はどこにあるのでしょうか。

■非科学的な燃費向上グッズとは?

 クルマの燃費向上をうたうグッズのなかには、その効果が科学的に実証されていないものも少なくありません。
 
 効果が得られるかどうかは不透明にもかかわらず、こうした非科学的なグッズが消えない理由はどこにあるのでしょうか。

 インターネットショッピングサイトで「燃費向上グッズ」と検索すると、数千点にもおよぶ商品がヒットするように、燃費向上をうたう商品は多く存在します。

 給排気を調整することで燃焼効率をアップしたり、エアロパーツによって整流効果を高めたりして燃費向上させるなど、科学的根拠がしっかりしているものもありますが、なかにはその効果が科学的に実証されていないようなものも見受けられます。
 例えば、「『波動』を調整することによって燃費向上をうたうシール」や「空気や燃料をイオン化して、パワーアップや燃費向上をうたうグッズ」、「磁力でガソリンや酸素の分子を整えて完全燃焼に近づけることをうたうグッズ」などが一例として挙げられます。

 基本的な知識があれば、これらの商品に科学的な裏付けがないことは一目瞭然ですが、それでもなおこうした商品は後を絶ちません。

 それどころか、こうした非科学的な燃費向上グッズのレビューを見ると「実際に効果があった」という内容のものも少なくありません。

 もちろん、なかには悪質な業者による「やらせレビュー」もあるかもしれませんが、一定数の人が効果を感じていることは間違いないといえるでしょう。

 では、なぜ効果があると感じる人がいるのでしょうか。チューニング業界関係者は次のように話します。

「非科学的な燃費向上グッズがなくならない理由は、『実際に効果が出ることがある』ことに尽きます。

 しかし、燃費向上グッズそのものの効果ではなく、そうしたグッズを使用しているドライバーが燃費を意識するようになることで、結果として燃費が向上すると考えられます。

 実燃費は、ドライバーの走行スタイルで大きく変化するものです。普段何気なく運転している人が、こうした燃費向上グッズの装着をきっかけに多少なりとも燃費を意識して運転するようになれば、10%程度向上することは考えられなくもありません。

 こうしたグッズを使用したことで燃費が向上したという意味では、論理的には効果があるといえるようにも思えます。

 しかし、科学的な裏付けはないグッズであるため、誰でも効果が見込めるわけではありません。つまり、『お守り』と一緒なのです」

■景品表示法により排除命令を受けることも

 たとえ非科学的でも、結果として燃費が向上したように思えることから、一部の人はそのグッズに効果があったと感じてしまうことがあります。

 まさにお守りがそうであるように、本人が満足しているのであれば問題ないようにも思えます。

 しかし、科学的根拠がないにもかかわらず、効果があるように見せかけて商品を販売することは「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」にある「優良誤認」と呼ばれる違法行為です。

 2008年には、いくつかの燃費向上グッズや洗車グッズなどを製造・販売するメーカーに対して、公正取引委員会が科学的根拠を求めたにもかかわらず合理的な根拠を示せなかったとして、販売を差し止めする排除命令がなされました。

燃料タンク内に入れるタイプの燃費向上グッズもあった

 ただ、こうした排除命令がなされたとしても、非科学的なグッズはまるでいたちごっこのように登場し続けます。

 そうした非科学的なグッズを製造・販売するメーカーからすれば、リスクを負ってでも販売したいほど、利益率が高い商品であるからでしょう。

 例えば、前述の波動を調整することによって燃費向上をうたうシールは、商品そのものはなんの変哲もないシールです。

 おそらく、100円ショップで売っていてもおかしくないようなものですが、燃費向上をうたうことで数千円という価格で販売されています。

 もちろん、現時点では科学的に実証されていないだけで、しっかりと検証すれば科学的な裏付けを得られるという可能性もゼロではありません。

 しかし、もしそうした最新の技術が採用されているのであれば、まず第一に特許を申請するのが一般的です。そうしないと、すぐにほかの企業から類似商品が登場してしまい、メリットが得られないからです。

 つまり、特許を申請していない商品は、かなりの確率で特許を申請できない(=科学的根拠がない)商品ということができます。

 お守りに代表されるように、非科学的な商品自体は決して悪いものではありません。

 しかし、非科学的なものを科学的な効果があるかのようにうたうことは違法行為ということは、消費者側もしっかりと認識しておかなければならないのです。

※ ※ ※

 燃費向上は多くのユーザーが求めていることです。しかし、自動車メーカーが長年にわたって燃費向上に関する研究開発を続けているにもかかわらず、ユーザーがシールを貼るだけで燃費が向上するということは現実的といえるでしょうか。

 このように、ひとたび冷静になって考えれば、非科学的な燃費向上グッズに対する疑問点は多く挙げられます。

 非科学的なグッズによって、消費者全体が不利益をこうむらないようにするためには、われわれユーザー自身が冷静な視点を持つことが何よりも重要です。

この記事の関連ニュース