マツダの「コスモスポーツ」は、世界初のロータリーエンジンを搭載した量販車としていまなお根強い人気を誇ります。そんななか、イギリスの中古車販売店では、800万円を超えるプライスカードが付けられていました。
■世界初のロータリーエンジン搭載を統合した名車とは
世界初のロータリーエンジンを搭載した量販車として名高いマツダ「コスモスポーツ」。
イギリスの中古車販売店では、800万円を超えるプライスカードが付けられていました。
マツダ「コスモスポーツ」は、1967年に発売が開始された2シータークーペです。
コスモスポーツ最大の特徴は、ロータリーエンジンを搭載した世界で初めての量産車という点です。
ロータリーエンジンという概念自体はかなり古くから存在し、欧州メーカーなどが研究開発を続けてきましたが、量産車として発売をしたのはマツダが初めてでした。
心臓部となるA10型エンジンは、1リッターに満たない小排気量(491cc×2ローター)ながら、当時としては強力な110馬力を発揮。その後、後期型では128馬力まで最高出力が引き上げられます。
また、7000rpmという高回転型のエンジンであったことも特徴で当時のエンジンは技術的な問題などから比較的低回転型が多かったなかで、高回転まで吹け上がるロータリーエンジンは、まさにスポーツカーとして理想的なエンジンでした。
ロータリーエンジンという先進性に加えて、クーペフォルムもまた、コスモスポーツを未来的な印象に仕立てています。
2020年現在、環境性能やコスト面に課題があることを理由に、マツダのラインナップからロータリーエンジン搭載モデルは消え去っています。
しかし、いまだにロータリーエンジン復活を望むファンが多いのは、コスモスポーツやその後に登場する「RX-7」などのマツダスポーツカーが与えた衝撃の大きさに由来していることは間違いないでしょう。
コスモスポーツの新車価格は148万円でした。現代的な感覚からするとお買い得に感じますが、発売当時の平均年収が約53万円ということを考えると、現在の価格では1500万円オーバーの高級車といえます。
こうした高額な価格ということもあり、コスモスポーツはおよそ1000台の販売に終わっています。しかし、トヨタ「2000GT」に勝るとも劣らない1960年代から1970年代を代表する国産スポーツカーの名車として、いまなお多くのファンに愛されています。
■海を渡ったコスモスポーツ
コスモスポーツは基本的に日本国内での販売であったため、2000GTのように海外市場に流出することはそれほど多くないといわれています。
しかし、イギリスの中古車販売店で、状態の良いコスモスポーツが販売されていることが明らかになりました。
このコスモスポーツを販売しているのは、イギリスの首都ロンドン西部にある中古車販売店です。
戦前のクラシックカーから現代のスーパーカーに至るまでマニアックなクルマを販売しているなかで、コスモスポーツも取り扱っているようです。
このコスモスポーツは、当然のことながら右ハンドルの日本仕様車です。イギリスは日本同様左側通行のため、最低限の法規対応だけで日本仕様車を走らせることができるというメリットがあります。
年式は1971年式と、後期型であることがわかります。そのため、トランスミッションも5速MTを搭載。エクステリアカラーは、もっともコスモスポーツらしいといえるホワイト、インテリアカラーは定番のブラックを基調としつつ、レザーとファブリックのコンビシートにレッドのフロアカーペットというコーディネートとなっています。
この個体は、日本人オーナーのプライベートコレクションだったようです。走行距離はメーター読みで1268kmとなっていますが、正確かどうかは定かではありません。
しかし、内外装や機関部のコンディションを見ると、かなり状態がよい個体であることは間違いなさそうです。
このコスモスポーツの販売価格は、日本円換算でおよそ828万円です。発売当時サラリーマンの平均年収の2倍以上の高級スポーツカーだったことを考えると、決して高すぎることはないかもしれません。
ちなみに、日本国内でも数台のコスモスポーツが販売されていますが、やはり800万円程度の価格帯になるようです。