日本で姿を消した車名が海外で復活するという流れが最近多く見られます。今回は、そのなかから日本に導入すればそこそこ売れるかもしれない3台を紹介します。
■日本では見かけなくなった名車達…海外では意外な形で復活?
日本ではかつて販売されていたものの、人気低迷などにより販売が終了したことで、姿を消すモデルがあります。
そのまま、復活することがないモデルや、海外で新たに復活するモデルとそれぞれ事情は異なりますが、海外で復活したなかには日本にも導入してほしいモデルもいくつか存在します。
今回は、そのなかから、日本に導入すればそこそこ売れるかもしれないモデルを3台紹介します。
●ホンダ「シティハッチバック」
ホンダのタイ法人は、新型「シティハッチバック」を2020年11月24日にお披露目。
この新型シティハッチバックは、ホンダが1996年から東南アジア向けに展開するコンパクトセダン「シティ」のトランク部分を取り去ったハッチバックとして登場しました。
日本では、1981年に初代が発売され、モデルチェンジを経て1994年まで生産されていた3ドアハッチバックのシティが有名です。
今回、新型モデルが登場したことにより、ハッチバックタイプのシティが海外で26年ぶりに復活したことになります。
新型シティハッチバックのボディサイズは、全長4345-4349mm×全幅1748mm×全高1488mm。
外観デザインは、ヘッドライトとテールランプにはLEDタイプを採用し、精悍な雰囲気を演出しました。
内装は、8インチタッチスクリーンが採用されたインフォテインメントシステムも用意され、Apple CarPlayにも対応します。
搭載されるパワートレインは、1リッターVTECターボで、最高出力は122馬力を発揮。全車CVTと組み合わされます。
グレード展開は「S+」、「SV」、そして「RS」の3グレードで、最上級グレードのRSでは専用エンブレムやブラックのフロントグリルなどの装備が奢られ、ホンダのスポーティグレードのひとつであるRSに相応しいスタイルです。
新型シティハッチバックの価格は59万9000バーツから74万9000バーツ(約207万円から約258万円)となります。
日本では、「フィット」よりも大柄なハッチバックとなり、売りづらいサイズ感ではあるものの、一定数の人気は出るかもしれません。
●トヨタ「スターレット」
トヨタのグループ会社となる豊田通商は、2020年9月から新型「スターレット」の販売をアフリカ市場で順次開始し、その後アフリカ47か国へ販売を広げていくと発表しています。
日本では、同社「パブリカ」の上級モデルとして、1973年に登場。その後、1999年まで5代にわたり販売されていたスターレットですが、海外で21年ぶりに復活を果たしました。
この新型スターレットは、スズキのインド法人が生産する「バレーノ」のOEM車となり、同国からアフリカに輸出されます。
新型スターレット(アフリカ仕様)のボディサイズは、全長3995mm×全幅1745mm×全高1470mmの5ドアハッチバックボディです。
パワートレインは、1.4リッターガソリンエンジン(最高出力92馬力/最大トルク130Nmを)を搭載。トランスミッションは4速ATと5速MTを設定しています。
また、車載Wi-Fiスポットと15GB分のデータ通信を含むトヨタコネクトテレマティクスシステムを全車標準装備。
マイトヨタアプリを介して、オンデマンドサービスの予約、車両情報と履歴の参照などのサービスが利用可能です。
グレード体系は、廉価グレードの「Xi」、中間グレードの「Xs」、そして上級グレードの「Xr」という3グレード。
南アフリカ仕様の価格は20万4900ランドから27万2500ランドで、日本円換算では約126万円から約168万円となります。
■中国ではあの名車が復活!?
●トヨタ「レビン」
日本では、かつて存在したカローラのスポーティグレードとして「レビン」という名称がつけられていました。
初代カローラレビンの「TE27型」や、FR車として最後の「AE86型」、レビンの最終モデル「AE111型」など、歴代レビンはどの時代も先端をいくスポーティモデルだったのです。
しかし、2000年にレビンという名称が消滅して以降、カローラシリーズにはスポーティなグレードは設定されず、2018年6月にスポーツモデルとして登場した「カローラスポーツ」にもレビンの名称は設定されませんでした。
そのなかで、2018年に開催された中国の広州国際モーターショーにおいて車名そのものをレビンとした新型モデルが登場したのです。
このレビンはカローラの姉妹車にあたり、ガソリン車/ハイブリッド車/PHEV車がラインナップされ、外観デザインもカローラに比べてスポーティな印象を持っています。
しかし、レビンはカローラに比べて高性能なエンジンを搭載しているわけでなく、かつてのレビンのようなスポーティモデルではありません。
カローラのチーフエンジニア・小西良樹氏は、次のように話しています。
「中国では、日本でも社会現象化した漫画『頭文字D』の影響から、レビンやトレノという車名の知名度は高いといいます。
また、レビンは稲妻などの意味を持ちますが、中国の方々は稲妻といった言葉を好む傾向にあるので、そのような背景からレビンという車名を採用しました」
※ ※ ※
日本市場では姿を消したものの、海外ではその車名が復活ということは稀にあるようです。
実際に、日本で新型フィットとして販売されているモデルでも、中国では広汽ホンダがフィットのままで販売し、もうひとつの東風ホンダが「ライフ」と、かつて日本で販売していた車名を用いています。
これらは、かつて日本で販売されていた車名が海外でも一定数の認知度を誇るからです。
奇しくも2021年3月末で生産終了がアナウンスされたトヨタ「アリオン」は、同時期に中国の広州モーターショーで日本仕様とは別物となる新型アリオンが発表されました。
今後も、日本で姿を消して、海外で車名が復活する傾向は続くのかもしれません。