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人気の4ドアクーペ BMW「2シリーズ グランクーペ」 おすすめはガソリン?ディーゼル?

くるまのニュース 2020年12月10日 11時50分

2019年10月に日本上陸したBMW新型「2シリーズグランクーペ(GC)」。スタイリッシュな4ドアクーペとして人気を博し、2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーにも選ばれている。当初はガソリンモデルのみの展開だったが、2020年8月に待望のディーゼルモデルも登場した。ガソリンとディーゼル、走りの違いはあるのだろうか?

■FFらしい広い室内と、FFらしからぬBMWらしいハンドリング

 BMWのコンパクト部門を受け持つ「1シリーズ」、そして「2シリーズ」のほとんどは、現在は横置きエンジンの前輪駆動(FF)になっている。

 ほとんどと書いたのは、スポーツモデル「M2」を含めた2シリーズ・クーペと2シリーズ・カブリオレは、縦置きエンジンの後輪駆動(FR)でラインナップされているからだ。今後、このクーペとカブリオレがいつまでFRでいられるかわからない。もしFRが好きなら、いまのうちに買っておいたほうがいいだろう。って、のっけから話が逸れてしまった。

 1シリーズがフルモデルチェンジでFRからFFになったとき、その理由をBMWの開発者に聞いたことがある。いわく、いままで1シリーズ、つまりFR時代の1シリーズユーザーにアンケートを取ったら、80%のオーナーが駆動輪が前か後ろなのかを知らなかったという。つまり駆動輪がどこかということに興味がないということだ。

 また、もっと室内が広いほうがいい、ラゲッジスペースが広いほうがいいという意見が多かったそうだ。ということで、ユーザーの要望に応え、スペース効率として有利な横置きエンジンのFFに置き換えたというわけだ。

 BMWグループではMINIブランドが誕生して以来ずっとFFでやっている。MINIブランドが誕生したのは2001年だから、すでに20年近くのFF車づくりのノウハウがある。現行型1シリーズのプラットフォームは、このMINIから流用することができた。

 そしてその1シリーズをベースとして、クーペスタイルの2シリーズが誕生した。「2シリーズグランクーペ」は、その4ドアクーペ版である。

BMW「218iグランクーペ Mスポーツ」の走り

 2シリーズよりひと回り大きなボディを持つ「3シリーズ」は、ノイエクラッセと呼ばれた1961年発売の「1500シリーズ」までルーツをたどることができる「元祖BMW」といえるサルーンで、現行型は7代目で、縦置きエンジンのFRを踏襲している。この3シリーズが横置きエンジンのFFになることはない! ハズだ。

 この3シリーズと2シリーズグランクーペとの関係によく似ているのが、メルセデス・ベンツ「Cクラス」と「CLA」の関係だ。

 Cクラスセダンは縦置きエンジンのFRであるが、コンパクトな4ドアクーペデザインのCLAは横置きエンジンのFFである。

 つまり3シリーズとCクラスがライバル関係にあると同様、この2シリーズグランクーペのライバルはCLAになるということだ。

 さて、今回試乗したのは「218dグランクーペPlay Edition Joy+」と「218iグランクーペM Sport」の2台である。

 218dのエンジンは2リッター直列4気筒ディーゼルターボで、最高出力150ps/4000rpm、最大トルク350Nm/1750-2500rpmを発揮する。燃費はWLTCモードで17.1km/Lだ。

 218iはガソリンの1.5リッター直列3気筒ターボで、140ps/4600rpm、220Nm/1480-4200rpmを発揮する。燃費は16.9km/Lとなる。

■自分のカーライフに合わせてガソリンかディーゼルかを選択したい

 2シリーズグランクーペに用意されたディーゼルモデルとガソリンモデルはどちらを選べばいいのだろうか?

BMW「218dグランクーペ Play Edition Joy+」のインパネ。ディーゼルの218dのトランスミッションは8速AT、ガソリンの218iのトランスミッションは7速DCTとなる

 燃費も含めて、ここまで似かよった性能だとディーラーに行って迷ってしまいそうだ。どちらが良いクルマか、ではなく、どちらが自分のライフスタイルに合っているかで選ぶべきだと思う。

 1回に走る距離が長い人、年間走行距離が少なくとも1万kmを超える人には、ディーゼルモデルの218dグランクーペをお勧めする。

 ディーゼルエンジンの特性からちょっとそこまでのお買い物が多く、暖まる前にエンジンを止めるような走り方は得意ではない。それとは反対に長い距離を淡々と走るのは得意だ。

 人がたくさん乗って重くなっても低回転域から太いトルクを発揮できるから力強く走ってくれる。ハイオクガソリンに対して、軽油の価格は30%ほど安いから、燃費は同じだとしても距離を乗れば乗るほどお得になる計算だ。

 ディーゼルエンジンというと騒音がうるさいと思っている人もまだいるが、いまでは静粛性はガソリンエンジンとほとんど差がない。高速道路で100km/hで走っているとエンジン回転数はたった1400rpmだから、エンジンの音よりもタイヤの走行音の方が目立つくらいだ。

 一方、ガソリンエンジン搭載の218iグランクーペは、ビュンビュン高回転まで回してワインディングロードを走るとBMWの「駆けぬける歓び」が感じられる。

 6000rpmからゼブラゾーン、6500rpmからレッドゾーンが始まるが、アクセルを踏み込んで走ると、タコメータの針はゼブラゾーンに飛び込み6500rpmのレッドゾーン入口まで伸びていく。

 3気筒のアンバランス感はなく、力強いエキゾーストノートが聞こえてくる。ハンドリング性能でも、ワインディング走行が楽しいのは、車重が軽いからだ。218dの1510kgに対し218iは1420kgと、90kgも軽い。これはおもに2リッター4気筒ディーゼルと1.5リッター3気筒ガソリンというエンジンの違いだ。

 ボンネットを開けると、218dは218iにはない左右のストラットタワーを結ぶ直線的な補強材(バー)が設置されている。

 これで重量が重いぶんのハンドリング性能を補おうとしているのかもしれない。218dのハンドリング性能のレベルも高い。

※ ※ ※

 両車とも、FFながらMINIとは異なるBMWらしいハンドリングを持っている。それはコーナーでアンダーステアが出にくいセッティングになっているからだ。

 コーナー出口に向かってアクセルペダルを強めに踏み込んでいっても、フロントが逃げていこうとせずにまるでFRのようにハンドル角に忠実に曲がっていこうとする。これはサスペンションのセッティングもあるが、アンダーが出そうな場合には内側のブレーキをチョイチョイと摘んで膨らまないようにしているからだ。

 2シリーズグランクーペの走りは、FFながらあくまでもFRが基本のBMWブランドのクルマである、という主張をしている。

BMW 218i Gran Coupe M Sport

BMW「218iグランクーペ Mスポーツ」。ボディカラーは有償色の「ストーム・ベイ」(16万円)

・車両価格:448万円
・試乗車オプション込み価格:551万2000円
・全長:4540mm
・全幅:1800mm
・全高:1430mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1420kg
・エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
・排気量:1498cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速DCT
・最高出力:140ps/4600rpm
・最大トルク:220Nm/1480-4200rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・WLTC燃費:13.8km/L

218d Gran Coupe Play Edition Joy+

BMW「218dグランクーペ Play Edition Joy+」の走り

・車両価格:420万円
・全長:4535mm
・全幅:1800mm
・全高:1430mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1510kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHディーゼルターボ
・排気量:1995cc
・駆動方式:FF
・変速機:8速AT
・最高出力:150ps/5000rpm
・最大トルク:350Nm/1750-4500rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・WLTC燃費:17.1km/L

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