1904年に設立されたイスパノ・スイザは、かつて高級車や航空機エンジンを製造していたメーカーだ。そのイスパノ・スイザが2019年に発表した電動ハイパーカー「カルメン」がついに公道を実走できる状態にまで仕上がった。
■電動グランドツアラー「カルメン ブローニュ」は2億円から
スペインのイスパノ・スイザが2019年のジュネーブ・モーターショーで発表した電動ハイパーカー「カルメン」のスペシャルエディション「カルメン ブローニュ」がついに公道を実走可能にまで仕上がった。
カルメンはモデル全体で19台のみ生産され、そのうちの5台がハイパフォーマンス仕様のカルメン ブローニュとなる。
価格はカルメンが150万ユーロ、カルメン ブローニュが165万ユーロ(邦貨換算約2億900万円)からとなっている。
ブーローニュの名前は、1921年にイスパノ・スイザが高性能な「H6クーペ」のレーシングバージョンを製作し、フランスのブローニュで開催された耐久レース「ジョルジュ・ボワイヨ・カップ」に参戦したことに由来している。そこでは、アンドレ・デュボネ(1921年)、ポール・バブロ(1922年)、レオンス・ガルニエ(1923年)がH6をドライブし、イスパノ・スイザは3連覇を達成している。
カルメン ブローニュは、カルメンよりも車両重量を60kgダイエット、最高出力は95psアップの1114psを発揮し、最高速度290km/h、0-100km/h加速2.6秒を実現している。
軽量化は、サスペンション、カーボンファイバー製サブフレーム、新たなCNCパーツ、カーボンファイバー製ルーフなどの最適化によって実現している。
ボディサイズは、全長4733mm×全幅2040mm×全高1242mm、ホイールベースは2800mmとなる。
駆動方式は、モーターを後輪に各ふたつずつ搭載する後輪駆動となる。フォーミュラEでの経験をフィードバックした高度なシステムによって制御され、0−6500rpmで最大1600Nmのトルクを得ることができる。
ドライブモードはスポーツ、エコ、コンフォートの3種類が用意されている。
リチウムイオンポリマー電池の容量は80kWhで、航続可能距離は満充電で最大400km。バッテリーは最適に動作するように完全に温度制御されている。これらのシステムはすべて自社内で設計・製造されている。
CCS2急速チャージャーで30−80%充電するのに30分しか要せず、CHAdeMOやGB/T充電のオプションも揃っている。
また、カルメン ブローニュは「ユニーク・テーラーメイド」部門により、フルカスタマイズすることも可能だ。
カルメンのデザイン、エンジニアリング、生産はイスパノ・スイザとQEVテクノロジーとの協力によっておこなわれている。QEVテクノロジーは、電動モーターとモータースポーツの開発を専門とする企業だ。
手作りで組み立てられるカルメンは、その製造工程に12カ月を要し、最初の1台が納車されるのは、2022年の予定だ。