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スバル「フォレスター」に待望のターボ追加! 先代ターボとひと味違う!? 復活の意義とは

くるまのニュース 2020年12月26日 16時10分

2020年10月の一部改良で、スバル「フォレスター」にターボモデルが追加されました。先代モデルにはあったターボとは少し違う特性だというのですが、どういったモデルなのでしょうか。

■フォレスターに新開発の1.8リッターターボ搭載

 2020年10月に改良を受けたスバル「フォレスター」に、ついにターボエンジン搭載の新グレード「スポーツ」が追加されました。

 フォレスターとターボエンジンの関係は深く、1997年に登場した初代モデルの初期型は全モデルがターボエンジンを搭載していたことで話題となり、その後も歴代モデルのイメージリーダーを務めてきたのはターボエンジン装着車でした。

 しかし、2018年デビューの「SK系」とよばれる5世代目の現行モデルになって状況は大きく変化。

 パワートレインは2リッター自然吸気エンジン+モーターのハイブリッド(e-BOXER)、もしくは2.5リッター自然吸気エンジンとなり、ラインナップからターボエンジンが消えてしまったのです。

 その理由について当時スバルは「ターボモデルの販売比率が落ちているから」と説明していましたが、残念に感じていた人も少なくないでしょう。

 しかし、2年半のブランクを経てフォレスターに待望のターボエンジンが追加。果たしてその乗り味はどんな仕上がりなのでしょうか。

「スポーツ」の概要を確認すると、外観はブラック塗装+ブラック塗装加飾のフロントグリル、グレーメタリック塗装のアルミホイール、ドアミラー、フォグランプカバー、ルーフスポイラー、そしてルーフアンテナで差別化。

 シルバーのアクセントが付いた前後バンパーやサイドクラッディング、さらにスポーツ用カッターが付いたデュアルマフラーなども専用アイテムで、スポーティかつ上質に仕立てられています。

 一方内装は、質感の高さが印象的。肌触りのいいバックスキン調の素材であるウルトラスエードに本革を組み合わせたシート表皮に加え、ドアトリムやインパネ表皮にもウルトラスエードをコーディネート。シートやステアリングにはシルバーのステッチが施されています。

 そんな空間作りは、「スポーツ」というグレード名からすれば意外ですが、ひときわスポーティな印象というよりはプレミアム感を磨き上げた雰囲気。単にスポーティなグレードというよりは上級仕様という位置づけなのでしょう。

「スポーツ」に搭載されるエンジンは、「CB18型」と呼ばれる新開発の1.8リッター直噴ターボです。

 最高出力は177馬力で、これは2.5リッター自然吸気(184馬力)に比べると低いですが、最大トルクは300Nmと、2.5リッター自然吸気の239Nmよりも大幅に高まっています。

 このエンジンは2020年10月に発表された新型「レヴォーグ」に採用されたもの。低回転トルクを重視した設計であると同時に、熱効率が40%に達するという効率の高さが自慢です。

 また、ターボエンジンながらレギュラーガソリンを指定しているので財布にやさしいといっていいでしょう。

■先代のターボ車との違いはどこに?

 さて、走り出してみましょう。まず感じたのは、とても扱いやすくて運転を楽にしてくれるエンジンだということです。

 その理由はトルク特性にあります。1.8リッターという排気量ながら、自然吸気エンジンでいえば排気量3リッターエンジンに相当する太い300Nmというトルクを、1600回転という低い回転域から発生するのでアクセルを軽く踏むだけでググッとクルマが力強く前へ進むのです。

ターボエンジンを搭載したスバル「フォレスター スポーツ」

 発進はもちろん、高速道路やバイパスの合流、そして追い越しでとても頼もしく感じました。

 また、組み合わせるCVTも新型レヴォーグに採用している実質新開発のユニット(構成部品の9割以上が新設計)。ワイドレシオとしているほか、CVTを感じさせないダイレクト感が特徴で、いわゆる“すべり感”を感じさせません。

 ただし、先代(SJ系)のターボモデルと同じ感覚を求めて乗ると、違和感を覚えるかもしれません。理由はエンジンの方向性の違いです。

 先代のターボエンジンは排気量2リッターの高出力型で280馬力あり、パワーを求めた特性だったのです。

 それに比べると新型のターボモデルの最高出力は3分の2ほどで、先代モデルのようにガツンと炸裂するようなパワー感はないのです。

 このCB18エンジンは、新型レヴォーグにおいても“高出力版”ではなく、従来モデルの1.6リッターターボに相当するパワートレインとされています。

 ダウンサイジングターボとまではいいませんが、加速感と経済性を両立したユニットなのです。そのため先代ようなハイパワーを期待すると、少し違うかもしれません。

 せっかくのターボなのにそういった特性のユニットを選んだ理由はどこにあるのでしょうか。

 じつはこのターボモデルには大きな使命があります。それは燃費の向上です。

 従来設定していた2.5リッター自然吸気エンジンを搭載したモデル(現在は販売終了)のカタログ燃費はWLTCモードで13.2km/L。

 一方、新設定の1.8リッターターボは13.6km/Lと、自然吸気よりも燃費に優れているのです。実燃費ではさらに差がつくことも考えられます。

 トルクが太くて乗りやすく、しかも燃費がいい。新設定の1.8リッターターボエンジンはそんなキャラクターなのです。

 2.リッター自然吸気と入れ替わりで1.8リッターターボが加わったことで、最新のフォレスターのパワートレインは、2リッターエンジン+モーターのハイブリッドと1.8リッターターボのふたつとなりました。

 価格(消費税込)はハイブリッドが291万5000円から315万7000円、ターボが328万9000円です。

 パワートレインを選ぶポイントは、快適性や燃費ならハイブリッド、高出力タイプではないといえ力強いパワー感やドライバビリティを求めるならターボが魅力的でしょう。

 筆者(工藤貴宏)が選ぶならターボです。

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