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フォードがゲーマーと作ったバーチャルカー「チーム・フォードジラP1」が実物大で完成!

くるまのニュース 2020年12月21日 8時10分

25万人のファン&ゲーマーの投票によってパッケージが決定した、バーチャルレーシングカーのコンセプト「チーム・フォードジラP1」が、実物大で現実世界に誕生した。その詳細をレポートしよう。

■バーチャルカーが実寸大でリアルになった

 2020年8月にフォードが発表したバーチャルレーシングカーのコンセプト「チーム・フォードジラP1」の実物大モデルが完成し、12月16日のライブストリームで公開された。

 チーム・フォードジラP1は、フォードのeスポーツチームである「フォードジラ」とゲーマーとが共同で作り上げたものだ。2020年3月からTwitter上でエンジン搭載位置やシート位置をはじめとするコックピットの構成など、車両パッケージの投票がおこなわれ、25万人近いファンの投票によって決定された。

 フォード「GT」にインスパイアされたというエクステリアデザインは、フォードのデザイナー、アルトゥーノ・アリノ氏によって最終的に仕上げられている。一方のインテリアは、ロバート・エンゲルマン氏がデザインしている。

 実車をコンピューターゲームで再現することはよくあることだが、カーメーカーがゲームでもまだ登場していないバーチャルカーを実物大のモデルで再現するのは珍しい。

 チーム・フォードジラP1は、モノコック構造を採用しており、部分的に透明なジェット戦闘機風の大きなキャノピーで覆われている。透明なキャノピーは、エクステリアとインテリアの境界をシームレスに繋げることで、F1のような独特のドライビングポジションを強調することに成功している。

 エクステリアは、彫刻的にエッジの効いたフロントフェンダーとボディサイドパネルを組み合わせたフロントエンドと、リアに向かって絞り込まれたボディラインとフローティングバットレスが、コックピットと後輪を視覚的に結びつけている。

 リアエンドは完全に露出しており、エアロダイナミクスとレーシングサーキットの生々しさが表現されている。

 コックピット内には、ドライバーとコ・ドライバーの視界に最新のコース状況を表示するLED通知ユニットが設置される。また、ステアリングホイール上の一体型スクリーンでは、ピットウォールでチームとのライブデータ交換が可能となっている。

 インテリア全体のデザインは、レース中のドライバーのストレスを最小限に抑え、レースに集中して楽しめることが目的とされている。

■ゲームの世界をリアルな世界で表現するとは?

 チーム・フォードジラP1は、フォード初の、プロセス全体を通して人が対面での交流を一切おこなわず、デジタルだけで製作されたクルマだ。現在のコロナ禍のため、一度も会ったことのないチームが遠く離れた場所で作業をおこなった。

 設計は5カ国に分散しておこない、通常の半分以下の時間であるわずか7週間で完成に漕ぎ着けた。フルサイズでエクステリアだけでなくコックピットも仕上げた点が特筆に値するだろう。

車両パッケージなど、25万人近いファンの投票によって決定された「チーム・フォードジラP1」

 ゲーマーがゲーマーのために共同制作したこのハイパーカーには、シミュレーションレースでのコミュニティを象徴するような、いくつかの特別なサインが記されている。

 コドライバーのシート前の床には、「AFK(Away From Keyboard:キーボードから離れています)」のメッセージがあり、その席の乗員がキーボードから離れていることを遊び心たっぷりに知らせてくれるというものだ。

「#levelup」のグラフィックは、ゲーマーやレーシングドライバーがプレイやレースのたびに自分自身のレベルを向上させることを意味しており、「#liftoff」は、このレースカーを仮想世界から現実世界へと移動させることを表している。

 また、フロントのロアスポイラー脇には、もっとも重要なメッセージである「GLHF(Good luck have fun)」の文字が入っている。これは、ゲーマーやレーシングドライバーへ文字通り「楽しんでドライブしてください」というメッセージが込められている。

 ちなみに完成したチーム・フォードジラP1のボディサイズは、全長4731mm×全幅2000mm×全高895mm、タイヤサイズはフロントが315/30R21、リアが355/25R21だ。

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