コロナ禍で輸入車市場も打撃を受けた2020年だったが、そんななかでも元気があったのがフレンチブランドだ。なかでもプジョーのコンパクトカー、新型「208/e-208」がプジョーブランドとしてはじめて日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポート賞を受賞するなど、話題も豊富だった。2021年はどんなフランス車が日本にやってくるのだろうか。
■コロナ禍でも好調だったフランスブランド
新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷により、2020年の輸入車市場は大きな打撃を受けてしまった。ここ数か月は回復の兆しを見せているものの、2020年1月から11月までの外国メーカー車新規登録台数の累計は22万7500台で、これは前年同期比84.5%と大幅なマイナスになっている。
そんななかでも健闘しているのが、フランスのブランドだ。2020年1月-11月の登録台数はプジョーが9555台(前年同期比97.2%)、ルノーが5551台(同87.2%)、シトロエンが4237台(同113.5%)、DSが791台(同94.3%)と、どのブランドも輸入車平均を超えた数字になっている。
2020年はフランス車のニュースも多かった。2020年6月にはDSブランド初となるフルEV「DS3クロスバック E-TENSE」、7月にはBセグメントコンパクト、プジョー新型「208/e-208」、8月にはMPVシトロエン「ベルランゴ」のカタログモデル、9月にはコンパクトSUVプジョー新型「2008」、10月にはルノー新型「ルーテシア」、11月にはベルランゴの兄弟モデル、プジョー「リフター」のカタログモデルの登場…などと、魅力あふれるニューモデルが日本にやってきた。
そして12月、新型「208/e-208」がプジョーブランドとしてはじめて日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポート賞を受賞。2020年はなにかとフランス車の話題で溢れた1年でもあった。
2021年はどんなニューモデルが日本で登場するのだろうか。ブランドごとに見ていこう。
●RENAULT ルノー
ルノーは、まず「メガーヌ」のマイナーチェンジモデルが登場する。これは2021年初頭、1月から2月あたりになりそうだ。外観は小変更にとどまるが、大きく変わるのは室内。メーターには10.2インチのデジタルスクリーンを採用。さらにインパネにはタブレット型の9.3インチ縦型スクリーンを配置する。
そして2021年第1四半期にやってくるのが、BセグメントのコンパクトSUV、新型「キャプチャー」だ。
初のフルモデルチェンジを受け2代目となる新型キャプチャーは、ルノー日産三菱アライアンスが開発した新世代CMF-Bプラットフォームを、新型「ルーテシア」に続いて採用している。スリーサイズは全長4228mm×全幅1797mm×全高1566mm、ホイールベース2639mmと、現行型より93mm全長が長く、17mm幅が広く、19mm車高が低められている。またホイールベースは34mm長くなった。
初代となる現行キャプチャーは2013年登場以来、ヨーロッパではこのクラスのベストセラーSUVとなる人気モデルで、世界90か国以上で累計150万台以上が販売された。
そして2021年秋以降には、新型「ルーテシア」にハイブリッドモデル「ルーテシア E-TECH」が登場する。
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注目されるのが、2020年11月に画像が公開された新型「カングー」だが、それ以降はまったく情報がない状態だ。まだボディサイズや搭載エンジンなど、詳しい情報は発表されていない。
2021年の早い段階にはワールドプレミアされ、そのときには詳細なスペックなども発表される予定だが、現在はまだそのような状況なため、新型カングーが2021年中に日本で発表される可能性はゼロだ。
●PEUGEOT プジョー
プジョーはプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの日本展開がおこなわれる。
まず2021年春には、全長4450mmのミドルサイズSUV「3008」にPHEVモデルが追加される予定だ。
フランス本国では2WD(FF)の「3008ハイブリッド225e」と、4WDバージョンの「3008ハイブリッド4 300e」の2グレードを用意するが、両方とも日本に入ってくるかは未定だ。仮に3008ハイブリッド4 300eが日本導入されることになれば、プジョーとしては唯一の4WDモデルとなる。
搭載されるリチウムイオンバッテリー容量は13.2kWhで、EV走行距離はWLTPモードで約59kmだ。
そんな3008PHEVに続き、2021年第4四半期には「508」「508SW」にPHEVがモデル追加される。
こちらは11.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTPモードのEV走行距離は最大約54km(508)、最大約52km(508SW)となる。
■“ワル顔”に進化したシトロエン新型「C4」も2021年内に日本上陸予定
●CITROEN シトロエン
2021年のシトロエンは、まず早い時期にコンパクトモデル「C3」のマイナーチェンジ版がやってくる。
現行型C3は、2016年のパリモーターショーでデビューした3世代目。今回が初の改良になる。フロントマスクが新しいデザインに変更、LEDヘッドライトのデザインも変更される。リアのテールランプも立体的な新デザインになる。
インテリアでは、「C4エアクロスSUV」にも採用されるアドバンスドコンフォートシートが採用される。これは新開発の高密度フォームの採用により、シートのヘタリや劣化を防いで、長期間快適性を維持するものだ。
そして2021年の第4四半期には新型「C4」が日本上陸する予定だ。
写真のとおり、かなりの“ワル顔”になった新型C3は、今回のフルモデルチェンジで3代目に進化。ボディサイズは全長4360mm×全幅1800mm×全高1525mm、ホイールベースは2670mmと、従来型に比べて30mm長く、10mm幅広で、35mm背が高くなっている。ホイールベースも60mm長くなっている。
また荷室容量も通常時380リッター、最大荷室容量は1250リッターとライバルよりも大きい。
ガソリン/ディーゼルエンジンのほか、100%電気自動車(BEV)の「e-C4」も用意する。このe-C4も日本導入される可能性が高い。
フランス本国でのラインナップは、ガソリンエンジン車は1.2リッター直列3気筒ターボの「ピュアテック100」「ピュアテック130」「ピュアテック155」の3種類、ディーゼルエンジン車は「ブルーHDi 110」「ブルーHDi 130」の2種類だが、日本導入グレードは未定だ。
BEVのe-C4は、136ps・260Nmを発生するモーターを搭載。400V・50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、最大航続距離はWLTPモードで350kmとなる。また最高速度は150km/h、0-100km/h加速は9.7秒(スポーツモード)というパフォーマンスを誇る。
シトロエンの「フライングカーペット=空飛ぶじゅうたん」と呼ばれる独特な乗り心地も健在だ。C4カクタスやC5エアクロスSUVにも搭載される「プログレッシブ・ハイドロリック・クッション(PHC)」を新型C4にも採用している。
●DS
DSオートモビルズでは、フラッグシップセダン「DS9」が2021年第1四半期にやってくる予定だ。
DS9は、全長4934mm×全幅1932mm×全高1460mm、ホイールベースは2900mmというサイズのラグジュアリーセダン。プジョーのフラッグシップセダン「508」よりも大きく、いわゆるEセグメントにあたるボディサイズとなる。
フランス本国でDS9に用意されるパワートレインは3種類。1.6リッター「ピュアテック」直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載し、最高出力225psを発生するガソリンモデルと、DSの新世代電気駆動システム「E-TENSE」を採用した「E-TENSE 225」および「E-TENSE 4×4 360」がある。
DS9のE-TENSEモデルは、2020年6月に日本上陸を果たした「DS3クロスバックE-TENSE」のピュアEVではなく、プラグインハイブリッド(PHEV)になる。
日本では、まずはPHEVのE-TENSEのみの展開の可能性が高い。