コロナからの復興の年となる2021年、本来ならば2020年に試乗するはずだったクルマも含め、モータージャーナリス武田公実氏が期待を寄せている3台を紹介しよう。
■ベントレーはすべてのモデルを運転しておきたい!
筆者の個人的な趣味が大幅に反映されたセレクトとなってしまうのだが、「2021年に乗ってみたいクルマベスト3」という名目の元に、2021年に乗ることができそうなニューモデル、あるいはクラシックモデルから3台を選び出してみた。
●フィアット新型「500」
2020年3月にオンラインで世界初公開。フルEVとなることで話題を呼んだフィアットの新型「500」も、2021年に乗ってみたい1台である。
かつて、数年間にわたってアバルト版の500を愛用していたとともに、公私を問わず頻繁に乗るチャンスのあったフィアット版「ツインエア」の楽しさに狂喜乱舞した経験もある筆者としては、一見したところ大きくは変わっていないかに映る次期チンクエチェントが、どこまで進化を遂げているかに興味は尽きない。
ただその一方でフィアットらしい、あるいはイタリア車らしい(生産拠点はポーランドなのだが……)フィーリングをもたらしてくれた内燃機関の「鼓動」を喪失することが、果たしてどれだけの感覚的な違いとなるのかについては若干の不安を抱えつつも、やはり乗ってみたいという好奇心が先に立ちそうだ。
ただし2021年中に日本上陸を果たすのか、現状では不明なのだが、是非とも新時代の「チンクエチェント」を体感してみたいと考えているのだ。
●ベントレー新型「ベンテイガ」
2015年9月のデビューから約5年を経た、2020年8月上旬。オンライン上でワールドプレミアとなった、マイナーチェンジ版のベントレー・ベンテイガは、すでに一部の媒体を対象としたクローズドコース限定のテストドライブに供されているものの、残念ながら筆者自身には試乗のチャンスは訪れなかった。
しかし、まずは生産が開始されたV8モデルから2021年初頭にはデリバリー向けの車両も日本に上陸を果たすことが決定している上に、2020年11月下旬に追加設定のニュースが配信された「ベンテイガ・スピード(W12)」も、おそらく来年中には上陸する可能性が高いことから、いずれかのモデルに乗せていただく機会が出てくるものと信じている。
V8/W12を問わず、従来のベンテイガをテストドライブした際の印象がかなり良いものであったこともあって、すでにステアリングを握った同業の先輩たち曰く「さらにリファインされた」という新型ベンテイガには、興味津々という以上の期待感があるのだ。
■裏方であっても、運転できる幸せなクルマとは
●1930年型ロールス・ロイス「ファントムIIコンチネンタル カールトン製D.H.C.」
「2021年に乗ってみたいクルマ」として筆頭に挙げたいのは、実は90年も昔のロールス・ロイス。1930年型「40/50HpファントムIIコンチネンタル・カールトン製ドロップヘッドクーペ」である。
ロールス・ロイス/ベントレーを専門に所蔵する私設博物館「ワクイミュージアム」の立ち上げメンバーである筆者は、本来ならば2020年8月に開催される予定だった「第70回ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」に、このロールス・ロイスとともに参加するワクイミュージアム館長である涌井清春氏に同行するはずが、肝心のコンクールは新型コロナウイルス禍の影響によって、2021年8月に繰り越しとなってしまった。
ただしコンクールの正式招待もそのまま維持されているので、無事開催となれば筆者も同行するつもりでいる。
もちろん、コンクール会場の晴れ舞台ではオーナーである涌井夫妻が乗ることになるのだが、現地での細かい移動などではアシスタントである筆者にも、運転するチャンスがあるだろう。
ペブルビーチという特別な舞台で、コンクール参加車両であるロールス・ロイスに乗るということは、たとえ裏方としてではあってもこの上ない僥倖であるのは間違いのないところ。
なんとかそれまでに、新型コロナ禍がアメリカでも収束を見せ、2021年こそ第70回ペブルビーチ・コンクールが開催されることを、心から願ってやまないのである。