2021年、第一次スーパーカーブームでもっとも人気のあったランボルギーニ「カウンタック」は、誕生から50周年を迎える。「ミウラ」が50周年を迎えた2016年ごろから急激に価格が上がったように、カウンタックも2021年に市場価値が上がるのかどうか、最新オークションから占ってみよう。
■50周年となる2021年、カウンタックが熱い!
ランボルギーニのなかで、ここ数年もっとも大きな値上がりを見せているのは、クラッシックモデルのなかではもちろん「ミウラ」であるように思えるが、それに迫る勢いで現在人気を高めているのが、その後継車である「カウンタック」だ。
1971年に発表されたカウンタックは、2021年に誕生から50周年を迎えることになり、さらに注目が集まっている。
●1979 ランボルギーニ「カウンタックLP400S」
優美な曲線で描かれたミウラのボディに対して、カウンタックは、同じマルッチェロ・ガンディーニの作でありながら、あたかも空気の壁を切り裂くクサビの如きウエッジシェイプを持つモデルとして誕生した。
それはまさに当時、世界中のカー・マニアに驚きを与えたデザインであったに違いない。そのカウンタックの価格が2018年あたりから徐々に上がり始めている。
クラッシックカーの価値を数値化し、今後の値動きを予想するHAGIのランボルギーニ部門によれば、ミウラが10%以上の値下がりと予想されているのに対して、カウンタックは逆に若干ではあるがプラス方向の数字を発表しているのだ。これはミウラがあまりに高額になってしまった反動だろうか。
今回RMサザビーズのロンドン・オークションに出品されたカウンタックは1979年式の「LP400S」である。LP400Sは、カウンタックとしては初のマイナーチェンジによって誕生したもので、新たに前後にオーバーフェンダーを得たことが外観上の大きな特徴だ。
そのベースとされたのは、カナダの実業家であったウォルター・ウルフ氏が特注した、いわゆる「ウルフ・カウンタック」であったといわれ、確かに装着されているワイドなサイズ設定となったピレリ製のPゼロタイヤを見ると、それも理解できる。
■カウンタックは、5000万円オーバーは確実!!
1978年にデビューしたLP400Sには3タイプのシリーズがあるが、今回の出品車はそのなかではもっとも古い、いわばシリーズ1ともいえるモデルである。
車高はその後のシリーズ2、シリーズ3よりも低く、前身となったLP400に採用されていたペリスコープ式のバックミラーも廃止されている。
●1979 ランボルギーニ「カウンタックLP400S」
インテリアでは8連式のメーターが装備され、スピードメーターのなかに縦型のオドメーターがビルトインされているのが、このLP400Sシリーズ1における特徴となる。
参考までに生産台数はわずかに50台で、トータルでも237台とされるLP400Sのなかでももっとも少ない。
リアミッドに搭載されるエンジンは4リッターV型12気筒だ。前身となったLP400よりもさらにトルク重視型の使い勝手のよいものに改められている。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは5速MT。パワーユニットの搭載方法については、もはや詳しい解説は必要としないだろう。通常のフロントエンジン車とは前後逆にV型12気筒エンジンを搭載し、ミッションはパワーユニットの最先端に、そしてここからトルクは再び180度方向を変えて、リアのデファレンシャルに送られる仕組みだ。
このレイアウトを考案したのは、故パオロ・スタンツァーニである。彼の発想力と熱意がなければ、カウンタックは誕生することはなかったといってもよい。
美しいロッソのボディカラーに再塗装される前に、ボディワークは完全に修復されたというLP400S。たしかにその仕上がりは新車並みのクオリティだ。
パワーユニットもオーバーホールされ、その過程の写真もすべて残されているという。そしてもっとも重要なポロ・ストリコのサティフィケートも取得済み。
現在オークションは進行中で、40万ポンドから50万ポンド(邦貨換算約5600万円−7000万円)がエスティメートとされている。はたしてカウンタックは誕生から50周年となる2021年のメモリアルイヤーに、ミウラのようにクラッシック市場で大化けするのか、世界中がリザルトに注目している。