新年の幕開けを飾る日本の国民的なイベント「箱根駅伝」。今年の箱根駅伝では先導白バイがいつもと違いました。白バイといえばホンダのバイクでしたが、なんと今回はBMWの電動白バイ。箱根駅伝のような日本の国民的イベントで、なぜ日本メーカーではなく、BMWだったのでしょうか。
■国民的イベント箱根駅伝でなぜ日本メーカーではなくBMWのバイク?
箱根駅伝といえば、新年の幕開けを飾る日本の国民的なイベントといっても過言ではないでしょう。TVの視聴率だって非常に高い。そんな箱根駅伝のTV中継を見ていて、今年はスタートから少しばかり衝撃を受けました。
TV画面に出てくる先導の白バイ、BMWの電動スクーターです。BMWがスポンサーになっている東京マラソンでは以前も使われていたけれど、箱根駅伝のような日本の国民的イベントでなぜ日本メーカーのバイクではなく、輸入二輪車ブランドのBMWバイクだったのでしょうか。
バイクといえば日本の得意分野。なぜBMWなんだろうか? その理由は簡単。日本勢が電動バイクに全く興味を持っていないし、熱意も感じないからです。
2050年のカーボンフリーはバイクにも適用されるため世界規模で多くの電動バイクが登場しているのだけれど、世界一のバイクメーカーであるホンダを見ても電動バイクは原付相当のモデルしか売っていない。
この点をホンダに聞いたことがあります。曰く「電動バイクが普及するまで20年掛かる。技術について言えば問題無くキャッチアップ出来るため必要になったら作ればよいと考えています」
確かにその通りかもしれない。車体技術はそのまま使えるし、電動化技術だって耐久性のあるエンジン作りより容易。その気になればすぐ商品になるでしょう。
けれど逆に考えれば、バイクで一番難しいのが耐久性と信頼性のあるエンジン作り。ホンダをみるとベトナムの2輪販売でホンダ全利益の10%を確保しているけれど、高い評価の要因になっているのは壊れないエンジンです。
性能差の少ないモーターの時代になれば、ホンダの優位性だって薄れてくることだろう。少なくとも安泰じゃありません。
台湾で人気の『キムコ』(ホンダが立ち上げたバイクメーカー。優れた信頼性を持つ)は、2020年秋に『F9』という航続距離120kmという電動バイクの量販を開始しています。
中国の安価な電池を採用してベトナムやタイなどでホンダのバイクと同じような価格で販売したら、相当善戦すると思う。東南アジア市場を喰われたらホンダにとって厳しい。
時代の移り変わりに対応していくなら、いち早く電動化を進めるべきだと思う。
今回、先導車に使われていたBMWの『C evolution(シー・エヴォリューション)』は白バイとして使ってもおかしくない大柄なボディを持つ650ccスクーターの車両をベースに電動化したもので、大容量リチウムイオン電池を搭載し航続距離は160km。2020年2月から警視庁で正規採用されています。
ハーレーも本格的な電動バイクを発表しており、間もなく日本で発売になります。本来なら日本のバイクメーカーだって少量でいいから電動バイクを作っていておかしくない。
ちなみにホンダは『PCX-ELECTRIC』という125cc相当の電動スクーターのリースを開始しているが、航続距離41kmと実用化にほど遠い性能しかありません。
世界一のバイクメーカーであるホンダなんだから、本来であれば箱根駅伝で電動バイクのニーズがあるなら意地でも電動の白バイを作るべきだと思う。
最近のホンダを見ていると効率しか考えていない感じ。元気も意気込みも感じなくなってしまった。バイクレースの世界最高峰であるモトGPすら海外勢に負けるレースが目立っています。
このままだとホンダだけでなく、ヤマハもスズキも元気いっぱいの新興国メーカーにシェアを奪われてしまいそうな気がします。
ライバルを過小評価していると、白物家電やTVに続いて陥落することになります。ここで踏ん張ってもらい、来年の箱根駅伝は日本製の電動バイク白バイを見てみたいものです。