三菱のクーペSUV「エクリプスクロス」にPHEVモデルが追加されました。同社は「アウトランダーPHEV」もラインナップしていますが、同じパワーユニットを搭載する「エクリプスクロスPHEV」には驚くべき秘密があるようです。
■エンジン始動が静かすぎる! なぜ?
三菱のクロスオーバーSUV「エクリプスクロス」にプラグインハイブリッド仕様(PHEV)の「エクリプスクロスPHEV」が追加されました。
すでにプロトタイプモデルのサーキット試乗レポートはお届けしていますが、一般道で乗る機会があったので改めてレポートします。
といっても、基本的に「アウトランダーPHEV」のパワーユニットをエクリプスクロスに搭載しただけ。同じようなクルマだということは容易にイメージ出来ますが、果たしてどのような印象なのか。
おさらいになるけれど、このパワーユニットは満充電状態だと50kmくらい電気自動車として走れる。
試乗会場を出たときはバッテリー残量80%程度だったため、40kmくらい電気自動車で走れることになる。
Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと、ウルトラスムーズな電気自動車だ。誰でもエンジン車より快適に思うだろう。
試乗会場が東名高速のICの近くだったため、高速道路で試してみます。
そのままだと電池残量がなくなるまで電気自動車として走行可能。さまざまなモードを試したいため、パワーユニットのモードセレクトでエンジンが掛かる「チャージモード」を選ぶ。
乗ってみるといつエンジンが掛かったのかわからない。アウトランダーPHEVの場合、静かながら明確にわかるのですが、エクリプスクロスPHEVではそれがわからない。
あとで開発担当者に聞いて納得したのだけれど、エンジンが掛かったときに出る音や振動レベルを、100km/h走行時の音と振動レベルより低くしようと頑張ったそう。
考えてみれば電気自動車モードといえども風切り音やタイヤノイズなどで音は出る。路面からの振動だって常時伝わってきます。
エンジンをそれより静かに振動少なく回してやれば、ドライバーは気付かないということ。なるほど、100km/h巡航状態だとエンジンが掛かっても普通なら気付かないレベルだと思う。
アクセル全開にするとエンジンの回転が上がり、音も振動も大きくなるからわかるけれど、新東名道の120km/h区間ですら「う~ん?」。これには少しばかり驚きました。
開発担当者曰く、「アウトランダーPHEVを開発したときは電池が無くなった際にエンジンが掛かったことがわかるようにしました。そのほうがドライバーも安心すると考えたからです。
でも皆さんエンジン掛かると激しく失望します。だったら徹底的にエンジンの存在を消そうとしました」
私(国沢光宏)もアウトランダーPHEVを所有していたとき、エンジンが掛かると嫌でした。
結果、エクリプスクロスPHEVは、世界でもっともエンジンが掛かったときに静かで滑らかに走るPHEVになったと思う。
私は現在進行形でBMW「330e」(従来型3シリーズのPHEV)に乗っているけれど、エンジンが掛かったらハッキリわかります。トヨタの「プリウスPHV」も「RAV4 PHV」もハッキリわかる。
そういった意味からすれば、エクリプスクロスPHEVは、限りなく電気自動車に近いプラグインハイブリッドといってよいでしょう。
ちなみに、電気自動車モードで50km走ったときの電気料金は、夜間電力契約すれば120円程度。
同じ距離をガソリン(電池残量が無くなると自動的にハイブリッドモードになる)で走ったら450円くらい。
毎日の走行距離が50km以内の使い方であれば、移動コストはタダみたいなもの。アウトランダーPHEVも同じです。
■スポーティで走りが楽しい! 乗り心地も上々!
エクリプスクロスPHEVのハンドリングはどうだろう。
限界特性についていえば、雨のなかでのサーキット走行でも気持ちよく曲がってくれる。一般道でもハンドルを切っただけ曲がってくれる感じ。エクリプスクロスPHEVはスポーティなクルマのイメージを具現化しています。
聞けば、雪道も楽しいそうです。このあたりは三菱の得意分野。アウトランダーPHEVも素晴らしく楽しいです。
エクリプスクロスPHEVの乗り心地についていえば、納得出来るレベルだと思う。
私は乗り心地フェチのため、大半のクルマでダンパーに手を加えたくなってしまう。
もしエクリプスクロスPHEVを買ったら、当たり前の如く手を加えるだろう。しかし、ノーマルで乗れといわれたら辛抱できるでしょう。これ、けっこうな褒め言葉です。
標準的な基準なら「よい」といっていいかもしれません。
エクリプスクロスPHEVに興味のある人はぜひディーラーで試乗してみたらいい。三菱のディーラーは、お客さんが来ると大歓迎してくれると思います。