スーパーSUVの世界では、最高速度が300km/hを上回るモデルも少なくない。ランボルギーニ「ウルス」の305km/h、ベントレー「ベンテイガ スピード」の306km/hあたりが、現在の最速SUVである。しかし、マンソリーが手がけるアウディ「RS Q8」は、さらに速い320km/hをマーク。最速SUVのチューニングテクニックを紹介しよう。
■「ウルス」よりも迫力満点のマンソリー「RS Q8」
アウディのSUVラインナップのなかのトップモデルは、「RS Q8」だ。
5mを超える全長と2mという全幅、ホイールベースがほぼ3mという大柄なボディに、600ps/800Nmを発生する4リッターV型8気筒ターボエンジンを搭載したこのモデルは、陸の王者と呼ぶにふさわしい。
このRS Q8をベースとしたコンプリートカーを、マンソリーが開発した。
マンソリーがアウディをベースにコンプリートカーをつくるのは、R8/RS7/RS6に続き4モデル目となる。マンソリー×アウディでは初のSUVだが、そのコンセプトは、マンソリーのフィロソフィそのものとなっている。
まずは外観から見ていこう。ボディキットとして装備されているのは、カーボンファイバーを素材としたフロントバンパーとサイドスカートやフェンダーを含むワイドボディエクステンション、そしてリアディフューザーとフロントグリルカバーとなる。
それに加えて、フロントグリルに追加装備するフロントマスクスプリッターと、フロントバンパーに追加するカナード、フロントフェンダーも装備。これらもすべて、カーボンファイバー製だ。
リアまわりでは、ルーフスポイラーとリアウインドウ左右に装備されるスプリッター、ハッチゲートにセットするダックテールスポイラーが目を引く。
ボンネットやドアミラーカバー、リアバンパーのダクトカバーも含めて、やはりすべてが、マンソリーが所有するオートクレーブで製造された、カーボンファイバー製となる。
■ABT「RS Q8-R」をも超えたマンソリー
機能面では、オリジナルのパフォーマンスパワーボックスが注目のアイテムとなる。
これはノーマルのエンジンコントロールユニット(ECU)はそのままに、各種センサーから送られるデータを変換することでパワーアップを図る、いわばサブコンというべきものだ。
これに加えてオリジナルのフロントパイプや、200cpsi(セル・パー・スクエアインチ)という排気効率の高い触媒、抵抗の少ないマフラーといった排気系アイテムと、吸気抵抗の小さいエアクリーナーとサクションパイプといった吸気系アイテムをセットすることで、最高出力は180psアップの780ps、最大トルクは200Nmアップの1000Nmとなった。
最高速度は320km/h、0−100km/h加速が3.3秒という、ハイパフォーマンススポーツカー顔負けの速さを実現した。ちなみにランボルギーニ「ウルス」の最高速度は305km/h、0−100km/h加速は3.5秒であるので、いかに速いかが分かるだろう。
その走りを支えるタイヤは、295/35R24サイズをセット。オプションで355/25R24サイズも用意されているが、そのどちらもマンソリーが開発したホイールによって装備される。
ホイールは、鍛造モノブロック製で、24インチという大径となるが、バネ下重量を抑えていて、ハンドリングの良さもスポイルされていない。
エクステリアカラーはブラック&レッドレーシングストライプという組み合わせとなり、さらに派手さが際立っている。
この外観に比べれば、インテリアはあくまでも控えめな印象。装備されているのはフラットボトムのステアリングホイールとカーボン製パドル、同じくカーボン製のトリムセットに、マンソリーのロゴが発光するエントランスパネルとカーボン製セレクターといったアイテムぐらいだ。
また、ドアを開けたとき、路面を照らすウェルカムランプも、マンソリーのロゴに変更されている。
シートやフロアマットなどは、オーナーの希望によってさまざまなカスタマイズが可能となるこのマンソリーRS Q8。アウディのSUVトップモデルとなるRS Q8だけでなく、ランボルギーニ・ウルスでも飽き足らないと感じるカスタマーをターゲットとした、スペシャルなコンプリートカーである。
ちなみに、VWとアウディのチューニング・メーカーとして名を馳せているABTスポーツラインが手がけたコンプリートカーABT「RS Q8-R」の最高速は315km/h。マンソリーはそれをも上回る速さを手に入れた、新たな最速SUVといっていいだろう。