2022年騒音規制によって存続が危ぶまれている日産「GT-R」ですが、次期型の計画がひそかに進んでいるようです。一体どのようなモデルへと進化するのでしょうか。
■水面下で進められている「次期GT-R計画」とは
日産は事業構造計画「NISSAN NEXT」で、2021年度中に12の新型車を投入すると発表しました。
しかし、そのなかに含まれていないモデルが存在します。それは「GT-R」です。
2007年に現行モデルのR35型が登場してから14年が経過。常に進化と熟成を続けてきたGT-Rは、現在も世界トップレベルのパフォーマンスを備え、少量ながら安定の販売台数を誇っているものの、さすがに古さが隠し切れない状況です。
イタルデザインとのコラボレーションで生まれ、随所に次期GT-Rのヒントが隠されているといわれている「GT-R50 by Italdesign」も発売中ですが、99万ユーロ(約1億2430万円)で限定50台が計画通りに売れていないと話も聞こえています。
GT-Rはこのまま消えてしまうのでしょうか。
じつは次期GT-R(R36型?)の計画は存在しており、プロジェクトは水面下で進められているといいます。
とはいえ、限られたメンバーでコンセプトメイクをおこなっている状況で、社内にもプロジェクトチームの存在は知られていないそうです。そのため情報やウワサ話が外に洩れて伝わってこないのです。
すでに開発責任者も決まっています。歴代GT-Rの担当者を振り返えると、良くも悪くも「強い個性とカリスマ性」、「意志を絶対に曲げない」、「サラリーマンらしくない」といった強烈な個性と求心力を持った人ばかりでしたが、次期GT-R計画を知る数少ない関係者によると「担当は彼しかいないと思う」と語っています。
■次期GT-Rはこれまでの概念を覆すモデルに生まれ変わる!
では次期GT-Rは一体どのようなモデルになるのでしょうか。
そのヒントは「過去を振り返らない」です。
第1世代(ハコスカ/ケンメリ)、第2世代(R32/R33/R34)、第3世代(R35)と歴代モデルを振り返ると、その時代の最強のマシンを作り上げるという目的はブレていませんが、それを実現するための手段には共通項はありません。
それが故に、デビュー時にはさまざまな賛否が沸き起こりました。
たとえば、R32登場時は「スポーツカーにハイテクはいらない」、「4WDのGT-Rなんて」、一方R35登場時は「速さだけのクルマ」、「手が届かないクルマ」といった声もありました。
しかし、それは時が経つにつれて消え、むしろ評価はどんどん上っています。それはつまり、どの世代のGT-Rも「ユーザーの期待・想像を大きく超えた商品であった」ことを証明しているのです。
次期GT-Rもその流れを踏襲し、これまでの概念を覆すモデルに生まれ変わるはずです。
それは内燃機関だけのモデルからの決別で、日産の経営の柱となっている「電動化」と「電脳化」をより高度に用いた新発想のスーパースポーツを目指すでしょう。
それが「e-POWER」なのか、それともピュアEVなのかは現時点ではわかりませんが、確実なのは「もう内燃機関だけでは勝てない」といえるような電気モンスターになるでしょう。
R35 GT-Rそして次期「フェアレディZ」の開発責任者の田村宏志氏は、2020年9月のフェアレディZのプロトタイプ発表の場でこのようなことを語っています。
「Zは『ダンスパートナーのように踊る相手とシンクロすること』、対するGT-Rは『モビルスーツのようにマシンのパワーと電子制御を使う、つまり人間の叡智をかけ、いかにドライバーとコネクションすること』、日産はGT-RとZの両方を持っているので、それらの『立ち位置』は明確にしています」
フェアレディZは、ある意味、昭和・平成の流れを組んだ“アナログ”的スポーツカーの現代的解釈なのならば、GT-Rは令和らしい“デジタル”的なスポーツカーと考えるのが素直でしょう。
では、次期GT-Rはいつごろ登場する予定なのでしょうか。
現時点で量産計画に載っておらず、構想段階ということなどを考えると、ここ1、2年で登場というのは難しいでしょう。
開発期間を考えると、量産モデルのお披露目は早くて2025年くらいというのが妥当なのではないでしょうか。
なお、現行モデルはそのままの状態で2022年騒音規制に対応できないことは明らかなので、そこでいったん生産終了となる可能性が濃厚。再び「GT-R不在期間」が生じます。
ただ、歴代を振り返ると、第1世代から第2世代は16年、第2世代から第3世代は5年の空白期間があったので、それを考えれば大したことではないでしょう。
次期GT-Rについてはまだ不透明なことばかりではありますが、ひとついえるのは「GT-Rの歴史は今後も続く」ということです。