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トヨタまだ出す!? 今年は「ランクル」「カローラクロス」投入も! SUV増強の狙いとは

くるまのニュース 2021年1月29日 7時10分

最近ではSUVが人気のカテゴリーとなっていますが、なかでもトヨタは多くのSUVをラインナップしています。トヨタのSUVの販売戦略には、どのような狙いがあるのでしょうか。

■ライバルの弱味を突く!? トヨタがSUVを増強する狙いとは

 最近はSUVが売れ筋のカテゴリーになっていますが、とくに車種を充実させているのはトヨタです。

「ランドクルーザー」「ランドクルーザープラド」は以前からラインナップされていましたが、それ以外のモデルは設計が新しいです。

「C-HR」を2016年に発売した後、一度販売を終了していた「RAV4」が2019年に復活しました。同年11月には「ライズ」も発売されて好調に売れています。

 さらに2020年6月に「ハリアー」がフルモデルチェンジし、8月には「ヤリスクロス」も加わりました。

 2013年に「ヴァンガード」の販売を終えた後、トヨタではSUVのラインナップが不足していました。

 悪路向けのランクルシリーズと「FJクルーザー」はありましたが、売れ筋の前輪駆動をベースにしたタイプは、先代ハリアーと設計が古くなっていた2005年登場のRAV4のみ。

 当時トヨタの販売店からは、「国内市場に合ったコンパクトなSUVとして、ホンダには『ヴェゼル』、日産には『ジューク(当時)』、スバルには『XV』があるのに、トヨタにはこれらに対抗する車種がありません」という話も聞かれました。

 正確にはトヨタにもコンパクトSUVの「ラッシュ」がありましたが、後輪駆動ベースで車内は狭く、2005年の発売とあって設計も古くなっていました。

 このようにSUVが弱いため、2014年の国内市場におけるトヨタのシェア(レクサスを含む)は、小型/普通車に限っても46%、軽自動車を含んだ国内市場全体では27%と低かったです。

 一方、2020年におけるトヨタの国内シェアは、小型/普通車市場では51%、軽自動車を含んだ市場全体でも33%を確保しました。

 このトヨタのシェア拡大は、コロナ禍の影響も受けてはいますが、主にSUVの充実と高人気によるものです。

 2020年におけるトヨタのSUV登録台数を振り返ると、ライズは1か月平均で1万503台を登録し、国内ではSUVのベストセラーになりました。

 ヤリスクロスの登録台数は約8200台/月。さらにハリアーは5506台/月、RAV4は4571台/月、C-HRは2806台/月となり、SUVの国内販売上位はトヨタ車で独占されました。

 なお、C-HRの次に売れたSUVはヴェゼルでした。ヴェゼルはかつて国内のSUV登録台数1位になったこともありますが、いまでは設計が古くなって2021年にフルモデルチェンジを受けます。そのために2020年の登録台数は、1か月平均で2744台でした。

 このように見ると、トヨタがSUVの車種数を増やした時期は他メーカーよりも遅かったですが、タイミングとしては良かったといえます。

 トヨタがC-HRを発売した頃から、ほかのメーカーのSUVには設計の古い車種が目立ち始め、結果的にトヨタはSUVの売れ行きを伸ばしました。

 国内のSUV市場が弱っていたところに、トヨタが新型車で攻め込んだからです。

 トヨタが2016年以降にSUVの車種数を増やしたのは、他メーカーの動向も見たうえで、将来性の高いカテゴリーと判断したからです。つまりSUVの車種数を増やす時期が遅れたのは、意図的な結果でもありました。

■トヨタがさまざまなSUVを用意するのには理由がある

 トヨタがSUVの将来性が高いと見込んだ背景には、複数の理由があります。

 まずSUVがカッコ良さと実用性を両立させた比較的新しいカテゴリーであることです。

 厚みのあるフロントマスクや、大径ホイールの装着などによって外観に存在感があり、なおかつ背の高いワゴン風のボディによって車内も広いです。

2020年のSUVナンバー1になったトヨタ「ライズ」

 3列シート車も用意され、スポーティ派からファミリーまで幅広いユーザーに対応できます。このSUVの特徴は、大量な販売が可能になることを意味しています。

 そしてSUVは、シティ派からオフロード派まで、さまざまなテイストに仕上げられます。

 トヨタの場合、シティ派のデザインが好みであればヤリスクロス、C-HR、ハリアーがあり、これらと同サイズのオフロード派デザインには、ライズ、2021年発売予定となるカローラクロス、RAV4が用意されます。

 さらに、本格オフロードデザインとしてランドクルーザーとランドクルーザープラドもありますから、SUVならさまざまな車種をそろえられます。

 なお、ランドクルーザーも2021年に全面改良を受ける予定とされています。

 ちなみにかつてのトヨタのミニバンは、ミドルサイズなら背の高い「ヴォクシー/ノア」とワゴン風の「ウィッシュ/アイシス」。

 ラージサイズには背の高い「アルファード/ヴェルファイア」とワゴン風の「イプサム」という具合に、同じサイズで複数の造り分けが可能でした。

 同様のようなことがSUVにも当てはまり、同サイズで複数の車種を造っても性格を区分しています。

 そしてSUVは国内以上に海外で人気が高く、世界的に売れ行きを伸ばせることも魅力です。

 SUVにはさまざまな魅力があるため、いまではポルシェのようなスポーツカーメーカーや、ロールスロイスのようなプレステージセダンを手掛けてきたブランドもSUVを用意するようになりました。

 セダンやステーションワゴンなどは、一度ブームを経験して廃れた過去があるため、成熟したカテゴリーと見られている一方で、SUVは成長過程にあります。

 前述のシティ派/ラフロード派/本格オフロード派のように、さまざまな商品企画も考えられることから、世界中のブランドがSUVに群がっているのです。

 いまのトヨタのSUVラインナップを見ると、以前から商品企画を整理して捉えていたことが分かります。

 SUVが多彩な商品開発と大量販売の可能なカテゴリーだから、トヨタも積極的に参入しました。

 そしてSUVカテゴリーのメリットを十分に引き出すべく、車種数も豊富にそろえているわけです。

 今後トヨタのSUVはますます充実するでしょう。

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