降雪地域や気温低下が予想される地域では、クルマのワイパーを立てている光景を目撃します。こうしたワイパーを立てる行為にはどのような意味があるのでしょうか。
■降雪予報でワイパーを立てるのにはどんな意味がある?
積雪地域に駐車してあるクルマの多くが、降雪予報の後にワイパーを立てた状態にしてあります。
冬の風物詩ともいえるこの光景には、果たしてどんな意味があるのでしょうか。
毎年冬になると、積雪地域では多くの雪が観測されます。
気象庁が発表する積雪の深さのデータでは、2021年2月1日現在北海道石狩地方では144cm、青森県青森市酸ヶ湯では305cm、秋田県横手市では155cm、新潟県中魚沼郡津南町では232cmと、日本海を中心に多くの降雪量が観測されています。
降雪量を見ると、24時間では北海道上川地方中川郡音威子府村では15cm、空知地方美唄市では20cm、青森県青森市酸ヶ湯では6cmの降雪量が観測されています。
こういった積雪地域では、クルマの積雪に対する対策のひとつとしてワイパーを立てる光景が見られます。この行為にはどのような意味があるのでしょうか。
JAFの北海道本部・札幌支部の担当者は以下のように話します。
「ウインドウガラスに雪が積もってしまうとワイパーが雪の重みで破損する恐れがあるため、それを防ぐためにワイパーを立てておくことが多いです。
また積雪によってワイパーのゴムも硬くなってしまい、破損とまではいかなくても動かなくなってしまうこともあります。
そのため、積雪地域ではワイパーを立てておくという光景は多く見られます」
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また、同じ積雪地域でも地域毎の条件によって異なるようです。
日本では、北海道や東北、北陸など東日本地域を中心に降雪することが多いですが西日本地域でも降雪はします。
しかし、同じ降雪といっても雪質は異なりで、水分をたっぷりと含んだ雪もあれば、サラサラのパウダースノーなど条件が異なります。
また、雪が再凍結するような条件下では、ワイパーを倒したままにしておくと、ガラス面にくっついてしまい、無理に動かそうとするとワイパーが破損する可能性高まります。
再凍結とは、積もった雪が気温もしくは接地面の温度で解け始め、温度の低下によって氷のように固まってしまう現象を指します。
積雪の少ない地域では、雪が降っても積もる前にほとんどが解けてしまいますが、明け方になると気温が急激に下がることで、クルマのフロントガラス全体が再凍結してしまうことがあります。
ワイパーは、再凍結によってフロントガラスにくっつき、動かしてしまうことで破損の恐れがあるのです。
さらに大雪となった場合に、ワイパーを寝かしたままにしておくと、雪の重みで金属部分が湾曲する可能性もあるため、ワイパーを立てて駐車するという対策が考えられたわけです。
■積雪の多い、少ないで異なる「ワイパーを立てる訳」とは
積雪量の多い地域と少ない地域では、ワイパーを立てる理由に違いはあるのでしょうか。
積雪量の多い秋田県在住の人と、積雪量の少ない愛知県在住の人からワイパーを立てる理由について伺ってみました。
秋田県在住のA氏は次に話しています。
「ワイパーを倒したままにしておくと、積雪のせいでどこにあるのか分からなくなってしまいます。
クルマを発進させる前に、視界を確保するために積もった雪を払い避けようとするとワイパーを引っ掛けて壊してしまうこともあります。
雪そのものの重みによる破損に加え、自分で壊してしまうこともあるので、ワイパーを立てるようにしています」
一方で比較的積雪の少ない愛知県在住の人は次のように話しています。
「愛知ではワイパーが雪に埋もれる心配はほとんどありません。
雪が積もっても翌日には解けてしまいます。それでもワイパーを立てる理由は、とくに寒い日に再凍結による被害を抑えるためです」
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このように、ワイパーを立てる理由は積雪の有無以外に気温低下による再凍結防止など複数あることが分かりました。
積雪地や気温低下が予想される地域で駐車する場合には、ワイパーを立てることを覚えておくことがトラブル防止に繋がります。