ホンダが2021年4月に発売予定の新型「ヴェゼル」は、競合車となることが予想されるトヨタ「ヤリスクロス」と比較してどんな特徴や違いがあるのでしょうか。
■「そよ風」作り出す新設計のエアコン吹出口を採用
ホンダが2021年4月に発売予定の新型「ヴェゼル」は、国内コンパクトSUV市場ではトヨタ「ヤリスクロス」と競合することが予想されます。それぞれ、どのような特徴や違いがあるのでしょうか。2021年2月時点で新型ヴェゼルについて判明している情報を元に、両車を比較します。
2021年2月現在、ホンダは新型ヴェゼルの詳細スペックを公開していませんが、ボディサイズについては現行モデル(全長4330-4340mm×全幅1770-1790mm×全高1605mm)から大きく変えていないと説明します。
一方、ヤリスクロスのボディサイズは全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mmで、ヴェゼルよりひとまわり小さいです。
新型ヴェゼルの外観デザインは、跳ね上がるキャラクターラインが特徴的な現行モデルからうってかわり、水平基調のデザインを採用。塊感のあるデザインで、洗練された存在感を放ちます。フロントグリルはボディ同色という珍しいデザインです。
ホンダによるとSUVの力強さとクリーンさの両立が図られたといい、グランドコンセプトの「AMP UP YOUR LIFE(アンプ アップ ユア ライフ)」に則ったデザインに仕上がりました。
ヤリスクロスの外観デザインを見ると、新型ヴェゼルと同様に水平基調なデザインではあるものの、強調されたフェンダーがSUVらしさをアピール。
デザイン思想として「Robust&Minimalist」が掲げられていることからもわかるように、ワイルド感の強さがヤリスクロスの持ち味といえるでしょう。
新型ヴェゼルの内装は、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)の考え方に基づき、視線移動の軽減や動線に沿って操作類を配置。全体的にすっきりとしたデザインで、エアコン操作部はタッチパネル式からダイアル・ボタン式へと改められています。
またエアコン吹出口に新設計の「そよ風アウトレット」を採用したほか、パノラマルーフを採用するなどの特徴があります。
ヤリスクロスの内装はセンターコンソールからディスプレイオーディオに向けての縦方向の流れを強調することで、力強さを表現。またヘッドアップディスプレイの採用により、視線移動を最小限に抑えた設計としました。
なお、スマートフォン連携が可能なディスプレイオーディオがヤリスクロスには標準装備され、トヨタのコネクティッドサービスも用意されていますが、新型ヴェゼルに搭載されるディスプレイも「ホンダコネクト」に対応しています。また、スマートフォンがキーの代わりになる「Hondaデジタルキー」などが電気自動車「ホンダe」に続いて搭載されます。
■新型ヴェゼルは燃費と価格でどこまでヤリスクロスに迫れるか?
新型ヴェゼルに搭載されるパワートレインは、1.5リッターガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」と1.5リッターガソリンエンジンの2本立てです。
ハイブリッドシステムが従来型の「i-DCD」から刷新されているほか、従来あった1.5リッターターボエンジン仕様はラインナップから外されました。
一方ヤリスクロスに搭載されるパワートレインは1.5リッターガソリンエンジンとモーターで構成されるハイブリッドシステム「THS II」と1.5リッターガソリンエンジンとなります。
そんななか燃費性能に着目すると、ヤリスクロスのWLTCモード燃費は、ハイブリッド仕様で最高30.8km/L、ガソリン仕様で最高28.7km/Lを記録します。
新型ヴェゼルのWLTCモード燃費はまだ発表されていませんが、現行ヴェゼル(ハイブリッド仕様:21.0km/L ガソリン仕様:18.4km/L)からどれほど伸ばすことができるのかが注目です。
また、新型ヴェゼルの売れ行きを左右する重要な要素として価格が挙げられます。
ヤリスクロスの価格(消費税込、以下同様)はハイブリッド仕様が228万4000円から281万5000円、ガソリン仕様が179万8000円から244万1000円という設定です。
一方現行ヴェゼルはハイブリッド仕様が250万5555円から361万7900円、ガソリン仕様が211万3426円から352万8800円です。
現行モデル同様、新型ヴェゼルもヤリスクロスよりひとまわり車格が大きいSUVとして登場することが予想されますが、ヤリスクロスにどこまで価格で迫ることができるのかが売れ行きを左右すると予想されます。