軽オープンというとダイハツ「コペン」やホンダ「S660」しか新車販売されていませんが、カスタムの方向性としてストリートやサーキットが中心です。しかし、兵庫県のコペン専門店ではあえて「コペンSUV」を誕生させました。
■ハイリフトコペンが生まれた理由は「雪道をコペンで走りたいから」
ダイハツ「コペン」は、現在数少ない2シーターオープンモデルで、カスタム手法としてはストリートやサーキットが中心です。
しかし、兵庫県のコペン専門店は車高を上げてハイリフト化に挑戦。なぜハイリフト仕様のコペンが生まれたのでしょうか。
コペンは、2002年に初代モデルが発売され、2021年2月現在販売されているモデルは2代目にあたります。
コンセプトは「あなたの翼を広げるオープンスポーツカー」とされており、クルマとひとつとなって走る楽しさを感じることができる1台として人気を博しています。
カタログ写真のコペンの背景には街中やサーキット、峠道などが使われており、コペンをカスタムする際もストリートやサーキットが多く見受けられます。
一見、林道やオフロードとは無縁のように思えるコペンですが、兵庫県のコペン専門店「も。ファク」では、車高を上げてハイリフト化した「コペンSUV」を開発。
キット化して販売しているといいますが、なぜコペンをSUV化したのでしょうか。
コペン専門店「も。ファク」代表の森本氏は次のように説明しています。
「コペンSUVを開発した一番の理由は、雪道でもコペンを走らせたいという思いからです。
コペンをカスタムする場合、運動性能を上げるために車高を下げたり、空力性能を上げるためにフロントバンパーなどを変更する人が多いのですが、そういったカスタムだと雪道には適していません。
自分自身、コペンに乗って雪道を走りたいという考えが元々あり、試行錯誤の末キット化できる組み合わせを見つけました」
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コペンのボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1280mmと非常にコンパクトなサイズ感となっています。
このベースとなるボディに専用のキットを取付け、スズキ「ジムニー」用のタイヤを組み合わせることで純正よりも約20cm地上高を挙げることができるそうです。
ジムニーの最低地上高が205mmということを考えると、ジムニーと同様に雪道でも安心して運転できます。
■コペンSUVの反響はいかに?
スポーティなコペンのSUV化にはどのような反響があったのでしょうか。前述の森本氏は次のように話します。
「2、3年前に大阪のオートメッセで展示をして以降、じわじわと反響をいただいています。
元々需要がある市場ではなく、月間で何十セットと販売できるわけではないので、年に数台といったペースでの販売です。
今では新車からのコンプリートを希望される人も多く、もっともスポーツテイストの強い『GRコペン』に取り付けるということもありました。
北海道や秋田県といった雪国からの発注もあれば、沖縄県や福岡県から発注を受けることもあり、全国で約20台は走っているんじゃないでしょうか。
ちなみに東京がもっとも多く、ハイリフトの機能というよりはスタイリングが指示されている傾向にあります」
森本氏は、SUV化にとどまらず、前輪駆動車であるコペンを4WD化することにも成功しています。
当初は4WD化の計画はなかったものの、「も。ファク」と同じ兵庫県にあるプロバイル社から声がかかって実現しました。
SUV人気が高まっている昨今、スポーティなコペンSUVは新たな需要を生み出しているといえそうです。