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バブルの象徴「ゲンバラ」が作ったメルセデス「500SEC」があった! 驚愕の豪華内装とは

くるまのニュース 2021年3月9日 19時10分

ポルシェのチューナーとして名を馳せていたゲンバラ。このゲンバラが手がけたメルセデス・ベンツが存在した。内外装をフルカスタムした「500SEC」を紹介しよう。

■バブルの象徴だった「ゲンバラ」と「500SEC」の組み合わせ

 メルセデス・ベンツのW126型「Sクラス」は、1979年から1991年まで製造された、2代目となるSクラスである。

 日本ではちょうどバブル景気の真っ最中で、六本木、赤坂、銀座などに路上駐車しているメルセデス・ベンツといえば、これだった。

 実際、何度も乗ったことがあるが、ボールナット式のステアリング機構の独特なフィーリングや、オルガン式アクセルペダルの重さなど、ベンツとはこういうものだと、強く印象づけられたものだ。

●1984 メルセデス・ベンツ「500SEC」

 そんなW126シリーズの、クーペボディとなるのが、C126型となる。

 5.5リッターV型8気筒エンジンを搭載した2ドアクーペは、記憶のなかでは女性ドライバーが運転していたという印象が強い。まだ若かった時分に見た女性ドライバーと「500SEC」の組み合わせは、憧れの対象でもあったのだ。

 今回RMサザビーズオークションに登場したC126型500SECは、まさに女性オーナーが所有していたものだ。しかもただの500SECではない。

 アフリカ大陸の北西部にある、スペイン領のカナリア諸島に住んでいた女性が、500SECを新車で購入したのは1984年のことだった。

 もともとはブラックレザーインテリアで、電動サンルーフやクルーズコントロール、シートヒーターなどが装備されていたこの個体を、その女性はドイツ・シュツットガルトにあるゲンバラ社に輸送し、カスタマイズを依頼したのである。

■ゲンバラのコンプリートカーに下された意外な評価とは

 1972年に創業したゲンバラ社は、日本でも知られるチューナーである。ポルシェをメインにコンプリートカー製作をおこない、一時は日本でも正規販売されていたが、2010年に創業者であるウーヴェ・ゲンバラ氏が殺害され、いまは新生ゲンバラ社が活動を続けている。

●1984 メルセデス・ベンツ「500SEC」

ゲンバラ製スイッチ付きステアリングが印象的(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 この500SECはドイツに送られたのち、内外装のアップデートを受けた。

 外装ではゲンバラのエアロパーツを装備し、ボディカラーをパールホワイトに変更。

 インテリアはクリーム色のレザーに張り替えたほか、ゲンバラ製スイッチ付きステアリングへの交換や、メーターパネルのアップデートをおこない、インテリアパネルも交換したほか、センターコンソールには冷蔵庫も装備している。

 その後この個体はスペインで使用されていて、現在の走行距離は約16万4700kmである。時期は不明だが、ホイールは16インチサイズのロリンザー製に変更されている。

 写真を見る限り、インテリアの状態はコンクールコンディションというわけではない。汚れやすいホワイトレザーの状態は、実用していたのがわかるレベルにある。

 外装も、ボディパネルはそこそこの状態を保っているが、エアロパーツの状態はあまりよくなく、年式と走行距離なりのコンディションといっていいだろう。

 しかし、今回のオークションでの予想落札価格は、3万−3万2000ユーロ(邦貨換算約390万−410万円)と、比較的強気な設定であった。

 これは当時のゲンバラ・メルセデス500SECが、外装だけではなくインテリアまで仕上げたコンプリートで残っていることが貴重であるという、オークション主催者の判断があったからだろう。

 しかし、外装にわずかに手を入れれば、美しさを取り戻すであろうゲンバラ・メルセデス最終落札価格は、1万7600ユーロ(邦貨換算約230万円)と、かなり厳しい評価であった。

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