海外での「フェアレディZ」人気といえば、S30型ばかりが取り沙汰されるが、実は後継モデルであるS130型も非常に人気の高いクルマだ。そこで、海外オークションに出品されたS130型フェアレディZを紹介しよう。
■S30型のデザインをキープコンセプトしたS130型フェアレディZ
北米をターゲットに開発され、世界的な大ヒット車となったS30型「フェアレディZ」は、1969年から1978年まで、9年間にわたって製造された。
●1982 ダットサン「280ZX」
クルマに限らず、大ヒットした製品の次世代モデルというのは、開発が非常に難しいものだ。フェアレディZの場合、北米における日産の看板モデルであったため、失敗してしまったときの損失はとても大きなものとなってしまう。
そこで日産は、フェアレディZとして2代目となるS130型をつくるにあたって、S30型の特徴であったロングノーズ・ショートデッキスタイルを継承した。
さらに、国産車としては初となるTバールーフの採用や、海外仕様ではL28ET型2.8リッター直列6気筒ターボエンジンの搭載もおこなうことで、最終的に北米での販売はS30型を超えるものとなった。
S130型は、日本での人気も高い。当時の大ヒットドラマであった『西部警察』に、S130型のドアをガルウイング化した『スーパーZ』は、子供から大人まで認知度が高く、街でS130型を見かけると、ノーマル車であるにもかかわらず、興奮したものだった。
今回ボナムス・オークションに登場したのは、1982年モデルの英国仕様、ダットサン「280ZXクーペ」である。
日本でもそうだが、イギリスでもS130は、2シーターと2by2というふたつのボディが販売されていたが、オークションに出品されたのは2シーターの方である。
搭載されているエンジンは、ネーミングからもわかるようにL28型直列6気筒SOHCで、販売台数が多かったオートマチックトランスミッションではなく、5速マニュアルトランスミッションが搭載されている。
■英国ファンクラブで有名な「280ZX」とは
出品車のコンディションは、非常に良好だ。シルバーとブルーの2トーンカラーはオリジナルのままで、現在4万7600マイル(約7万6100km)という走行距離も、真正なものである。
英国におけるフェアレディZのファンクラブ『Zクラブ』でも、その存在が知られている有名な個体だ。
●1982 ダットサン「280ZX」
インテリアも美しい状態を保っている。
内装のブルーのモケットやファブリックシートは擦れもなく、樹脂パネルも輝きを保っている。
2014年までは定期的に走行していたようだが、それからは保存状態となり、2021年1月にはタイヤを新品に交換したばかりだ。これから日常的に使っていこうとするなら、機能的な部分のメンテナンスは必要となるだろうが、コレクションを考えている場合には、現状のままで十分すぎる個体である。
このように状態のよいS130型フェアレディZの落札予想価格は、1万2000−1万6000ポンド(邦貨換算約180万−240万円)と、比較的リーズナブルな値付けとなっている。
現在、日本の中古車市場でのS130型フェアレディZの価格は、300万円以下であればお買い得といったレベルであり、今後価格が下落するということは考えづらい。
もちろん、この個体を購入し、走って楽しもうという場合には整備費用も考慮しなければならないが、レストアを趣味として楽しんでいきたいという場合のベース車としては、むしろお買い得かもしれない。
自宅ガレージに保管し、コツコツと修復していくことを楽しむいといった、豊かなガレージライフのお供にピッタリといえる1台だ。落札価格に注目しておこう。