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なぜオービスを探知可能? 「レーダー探知機」は速度違反を助長するのか

くるまのニュース 2021年3月8日 9時10分

「オービス」の設置情報や取締地点をお知らする「レーダー探知機」ですが、具体的には何を探知しているのでしょうか。また、実際に搭載しても法的には問題ないのでしょうか。

■運転に集中し、安全運転を促進させるためのレーダー探知機

 高速道路や一般道路に点在する自動速度取締機(通称オービス)は安全運転を心がけていれば気にする存在ではありません。
 
 しかし、どこに設置されているかを知りたいユーザーのために各種オービスを探知するレーダー探知機が市販されていますが、これらの機械は何を探知しているのでしょうか。

 オービスという呼称は、ボーイング社が製造する「オービス」が日本で初めて採用された自動速度取締機だったことから、そのように呼ばれるようになったようです。

 オービスの仕組みは、道路を走行するクルマの速度を測定し、一定の速度以上で走行していた場合、速度違反車両として自動撮影をおこない記録する装置です。

 導入経緯について警察庁は「警察官を動員して行う定置式取締り等を補うために整備」と説明しています。

 では、これらオービスを探知するレーダー探知機とは、どのようなものなのでしょうか。レーダー探知機メーカーの担当者は以下のように話します。

「レーダー探知機は、基本機能である速度取締り機のレーダー波やレーザー光を探知したり、緊急車両などが使用している無線の周波数を探知したり、GPS機能で取締りのあった場所を把握したりとさまざまなものを探知します。

 2021年時点で最新のレーダー探知機であれば、可搬式オービスといわれる新型のスピード取締装置のレーザー光を探知することも可能です。

 公開取締り情報やメーカーが独自で調査したデータを定期的に更新することによって、事故リスクを探知し、安全運転につなげることができます」

※ ※ ※

 レーダー探知機の種類は、GPS搭載モデルや移動式オービス対応モデルまでさまざまで、形状もダッシュボードに固定する一体型からサンバイザーへ取り付けられるもの、ミラーとしての機能性も備わっているものまで幅広く展開されています。

■スピード違反を助長? レーダー探知機の課題ともいえる機能性とは

 一方でレーダー探知機は速度取締り機の場所を警告したり、取締り情報を配信していたりということから速度違反を助長しているのではという意見もあります。

 レーダー探知機の存在意義について、前出の担当者は以下のように話します。

「誤解されやすいですが、レーダー探知機の機能はすべて安全運転につながるものになっています。

 速度取締り機が設置されているような道では無意識にスピードが出やすいことから、自身が運転している車両はもちろん、周りの車両にも注意しなければいけません。

 こういった道路には取締り機の前から看板で警告しており、速度を出しすぎないよう注意喚起をしていますが、レーダー探知機もその看板と同じ役割と思ってもらうとわかりやすいかもしれません。

 前もって危険性のある道路と分かっていれば、普段よりも安全運転を意識してもらえると考えています」

固定式オービスの場合、設置場所の手前に予告看板が警告している

 レーダー探知機の存在意義は、速度取締り機の存在を事前に警告することで、より強く安全運転を意識してもらうという狙いがあるようです。

 しかし、レーダー探知機の機能を利用して速度取締り機をかいくぐり、法定速度を上回るスピードで走行できるという見方もあるかもしれません。そういった場合、罰せられることはあるのでしょうか。

 レーダー探知機の法的立場について、交通系の法律に詳しい弁護士は以下のように話します。

「アメリカの一部の州やドイツについては所持や使用していることが違法になる場合もありますが、レーダー探知機を罰するための法律は現在日本にはありません。

 機能自体は非常に便利ですが、悪用をすれば違法なことにも使うことができるといえます。

 それは包丁やカッターナイフも意図して悪用すれば法で罰せられることと同様といえるでしょう。

 取締りが強化されるべき危険な場所を安全に走行するように、警告して事故減少に貢献している側面もあるため利用する際は安全走行に心がけて利用したほうが良いでしょう」

※ ※ ※

 レーダー探知機は、速度取締り機のレーダー波やレーザー光などを探知することができます。

 それは、決して違法行為を助長するものではなく、むしろ取締り情報を認知しやすくすることによって安全運転を促進させるという目的で作られているのです。

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