新車市場の98%がAT車またはCVT車となっており、MT車は一部の車種に設定されるだけになりました。MT車もAT車も運転できる「普通免許」を取得した人は、MT車を日常的に運転しているのでしょうか。
■普通免許取得者でもMT車をほとんど運転しない人が多い!?
クルマを運転するには運転免許証が必要ですが、一般的に多くの人が取得する普通免許のなかには、AT車のみ運転できる「AT限定免許」があります。
実際、新車として販売されているモデルの約98%がAT車(CVT車含む)となっており、MT車の設定があるのは一部の車種のみという状況。
MT車を運転する機会が減っていることから、MT車も運転できる普通免許の必要性が薄れてきているともいえます。
くるまのニュースでは、2021年3月5日から8日にSNSでアンケートを実施し、運転免許証の取得状況やMT車の運転頻度などについて調査しました。
まず、取得した運転免許の種類について聞いたところ、「普通免許」が75.8%、「AT限定免許」が5.8%、「その他の運転免許」が15%、「運転免許は取得していない」が3.3%となりました。
今回の回答者では4分の3が普通免許を取得しており、AT限定免許は少数派という結果になっていますが、普通免許を取得した理由として「AT限定免許がなかった」とコメントする人もいました。
1991年に創設されたAT限定免許は、手動(マニュアル)での変速操作を習得する必要がなく、教習所での技能講習も普通免許よりも少ない(費用も安い)ことから人気を高めており、最近では、新規で普通免許を取得する人の6割以上がAT限定免許を取得しているといわれています。
しかし、現在運転免許を保有している人では、MT車も運転できる普通免許を取得している人が多くの割合を占めていることがわかりました。
次に、普通免許を取得した人に「クルマを運転する頻度」について質問したところ、「ほぼ毎日」が73.6%、「月に2~3回」が23.1%、「年に2~3回(ほとんど運転しない)」が3.3%となり、96.7%の回答者が頻繁にクルマを運転しているようです。
その一方、「MT車を運転する頻度」について聞いたところ、「年に2~3回(ほとんど運転しない)」が60.4%、「ほぼ毎日」が28.6%、「月に2~3回」が11%となり、普通免許を取得していてもMT車を運転する機会がない人が多いことが明らかになりました。
さらに、「MT車の運転に自信がありますか?」という質問では、「自信がある」が70.3%、「自信がない」が29.7%となり、頻繁にMT車を乗る機会がなくてもMT車の運転に自信がある人も多いようです。
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AT限定免許を取得した人が「クルマを運転する頻度」は、「ほぼ毎日」が57.1%、「月に2~3回」が14.3%、「年に2~3回(ほとんど運転しない)」が28.6%となり、普通免許取得者と比べてほとんど運転しない人の割合が高くなっていました。
さらに、「MT車を運転できないことで困ることはありますか?」という質問では、「ある」が28.6%、「ない」が71.4%と回答した一方、「限定解除してMT車も運転したいと思いますか?」という問いでは「限定解除したい」が71.4%、「限定解除したくない」が28.6%という結果となっています。
MT車が運転できなくて困ることはないけど、限定解除してMT車も運転できるようになりたいと考えている人も少なからずいるようです。
■普通免許かAT限定免許 取得した理由は?
普通免許を取得した人は、なぜAT限定免許を選択しなかったのでしょうか。その理由について聞いてみました。
もっとも多かったのは「MT車を運転するため」が50%、次に多かったのが「AT限定免許がなかった」が28.9%、「仕事で必要だった」が13.3%となりました。
MT車を運転するためと答えた人のなかには、「乗りたいクルマがMT車だった」や「スポーツカーに乗りたかった」と好みのクルマがMT車だったという回答や、「家のクルマがMT車だった」や「田舎なので軽トラを運転するため」といった事情が関係しているという回答が目立ちました。
また、「AT限定免許がなかった」という人では、「その年代はMT車ばかりだった」というコメントも数多く見受けられ、さらに「仕事で必要だった」という人も一定数存在することがわかりました。
一方、「MT車もAT車も両方運転できた方がいい」という人も7.7%おり、「親の勧めで普通免許を取得した」や「MT車は減少傾向だったがAT限定はダサイと思った」という声もあります。
これに対して、AT限定免許を取得した人には、どういった理由があるのでしょうか。
「MT車も乗れる普通免許の必要性がない」という回答がもっとも多く、「ほとんどAT車だから」「通勤できればいいから」「仕事でもMT車を運転する機会がなく、会社のクルマもAT車なので」というコメントが大多数を占めています。
なかには、「AT限定免許のほうが安く取得できる」や「免許を取ったときはクルマに興味がなかった」という理由をあげる人もいました。
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昨今はSUVやミニバン、軽自動車が主流となり、それらのほとんどはAT車もしくはCVT車といった2ペダルで運転できるモデルが新車市場の大多数を占めていることから、AT車だけ運転できれば問題ない状況になっています。
さらに、政府が掲げた「脱純ガソリン車」の方針が実現すれば、クルマはハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、EVがメインとなるにつれて、トランスミッションが必要なくなることも十分考えられます。
現在では数は減っているものの、トヨタやマツダ、スズキなど、MT車を比較的多くラインナップしているメーカーもありますが、いずれMT車が絶滅してしまう時代がくるのかもしれません。