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快適性なんてどうでもいい! 硬派な高性能セダン3選

くるまのニュース 2021年3月10日 16時10分

近年、クルマの高性能化は目覚ましいものがありますが、動力性能の向上とともに、安全性能や快適性も損なわれていません。一方で旧来の高性能車では、快適性よりも走行性能を重視したモデルも存在。そこで、スポーティな走りを重視した硬派な高性能セダンを、3車種ピックアップして紹介します。

■快適性よりも走りを重視した高性能セダンを振り返る

 現在販売されている高性能なクルマは、卓越した動力性能や旋回性能を発揮するだけでなく、快適かつ安全なクルマへと進化しています。

 しかし、かつて販売された高性能車のなかには、スポーティな走りに特化して、乗り心地や快適性は二の次というようなモデルも存在。

 そうしたモデルが高性能車の証として人気だったこともあります。そこで、快適性よりも走りに重点を置いていた硬派な高性能セダンを、3車種ピックアップして紹介します。

●三菱「ランサーEX 1800GTターボ/1800GSRターボ」

インタークーラーが装着されて高性能化を果たした「ランサーEX 1800GSRターボ」

 1979年に発売された三菱2代目「ランサー」は、次世代のモデルであることを強調するために、「EXCEED」の略で「卓越した」「より優れた」などの意味をもつ「ランサーEX」に車名が改められました。

 しかし、ラリーで活躍した初代に比べて100kg以上増えた車重に加え、排出ガス規制強化によって牙を抜かれた1.4リッターと1.6リッターエンジンでは力不足は否めず、スポーティとはいいがたいモデルとなってしまいました。

 そこで、1980年に1.8リッター直列4気筒エンジン搭載車が追加され、さらに、1981年には最高出力135馬力(グロス)を発揮する1.8リッターターボエンジンを搭載した「ランサーEX 1800GTターボ/1800GSRターボ」が登場。

 トランスミッションは5速MTのみで、フロントがストラット、リアが4リンクのリジットアクスルと、やや古典的な足まわりながらも専用にチューニングされており、コントローラブルなハンドリングのFR車として高性能なランサーが復活を果たしました。

 その後、ライバル車がパワーアップするなか、ランサーEXターボも1983年のマイナーチェンジでインタークーラーが装着され、最高出力は160馬力(グロス)まで向上。

 外観も前置き空冷インタークーラーを誇示するかのような、スポイラー形状のフロントバンパーへと意匠が変えられ、高性能さを主張します。

 なかでも1800GTターボは装備を簡素化することで軽量化され、パワーステアリングすら設定されないなど、当時から硬派なモデルとして君臨していました。

●日産「スカイライン2000RS」

8年ぶりとなる4バルブDOHCエンジンを搭載した「スカイライン2000RS」

 1969年に発売された日産初代「スカイラインGT-R」は、160馬力(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、レースで勝つために開発されたセダン(後に2ドアハードトップにスイッチ)として、今では伝説的な存在です。

 しかし、排出ガス規制の強化により、1973年に2代目スカイラインGT-Rをもって消滅。1980年代になると、高性能車はターボエンジンが主流となります。

 そうした背景のなか、1981年に6代目スカイラインのセダンと2ドアハードトップに、2リッター直列4気筒DOHCで最高出力150馬力(グロス)を発揮する、「FJ20E型」エンジンを搭載した「スカイライン2000RS」が追加されました。

 8年ぶりに復活した4バルブDOHCエンジンによって「GT-Rの再来」ともいわれましたが、4気筒だったことから「GT」ではなく「RS」とされたといわれています。

 RSのトランスミッションは5速MTのみで、決して軽量なモデルではありませんがパワーステアリングはメーカーオプションとされ、パワーウインドウや集中ドアロック、オーディオなども省かれました。

 また、スムーズな「L型」6気筒エンジンと異なりFJ20E型はエンジンノイズも大きいことから、ドライバーの高揚感も高められました。

 その後「ターボRS」が登場し、スカイラインは高性能化が一気に加速していきました。

■最後の自然吸気エンジンを搭載したストイックなセダンとは!?

●シビックタイプR

シリーズ最初で最後の4ドアセダンだがファミリーユースには適さない「シビックタイプR」

 1972年、ホンダは次世代のコンパクトカーとして初代「シビック」を発売。駆動方式はFFを採用し、ボディの四隅にタイヤをレイアウトすることで広い室内の実現と、優れた経済性から日米で大ヒットを記録。

 その後、代を重ねるごとに高性能化していき、シビックはスポーツコンパクトとしての地位を不動のものにしました。

 そして、1997年にはNSX、インテグラに続くタイプRシリーズ、初代シビックタイプRが誕生。2007年に3代目が登場すると、ボディは初代インテグラタイプR以来の4ドアセダンを採用。

 3代目では最高出力225馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHC i-VTECエンジンを搭載し、シャシまわりもこれまでのタイプRシリーズと同様にチューニングされ、優れた走行性能を実現しました。

 外装は専用のエアロフォルムバンパーと巨大なリアウイングが装着され、戦闘的なスタイルに変貌。

 内装もスポーツシートや専用ステアリングホイール、アルミ製球形シフトノブ、ショートストローク・スポーツシフト、メタル製スポーツペダル&フットレストなどを装備することで、スポーティに演出しています。

 一見すると3代目シビックタイプRはファミリーユーズも可能なセダンですが、「ガチガチ」の足まわりは公道での走行が厳しいほどの乗り心地で、とても後席に人を乗せて快適に過ごせるほどのユーティリティはありませんでした。

 3代目シビックタイプRは2010年に生産を終了し、最後の日本製タイプRで、最後の自然吸気エンジンということもあって、現在も高い人気を誇っています。

※ ※ ※

 最後に紹介したシビックタイプRは現行モデルが5代目にあたり、320馬力を誇る2リッターターボエンジンの強烈な加速力や優れた足まわりによって、FF車最速の名をほしいままにしています。

 しかし、走行モードを「COMFORT(コンフォート)」に設定すれば、普段使いにもまったく問題ないほどの、乗り心地を実現。

 それでいて「SPORT」や「+R」をセレクトすれば、生粋のスポーツカーに変貌し、これこそが現代の高性能車といえるでしょう。

 すでにシビックタイプRは完売しており、一旦は生産を終える予定ですが、さらに進化した次期型に期待したいところです。

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