マクラーレン「F1」の生みの親であるゴードン・マレーが手がける「T.50」が、ついに実走テストに入った。ステアリングを握ったのは、ほかでもないゴードン・マレーだ。
■「T.50」がいよいよ実走テスト
2017年11月、ゴードン・マレーの50年にわたる自動車の設計を祝する展覧会、「ワン・フォーミュラー」で、初めて生産プロジェクトが発表されたのが「T.50」であった。
●「XP2」と名づけられたプロトタイプ
ゴードン・マレーの代表作といえば、まず名前が挙がるのはマクラーレン「F1」のロードカーだろう。T.50は、まさに最新のテクノロジーによって21世紀に復活を遂げたF1ロードカーともいえた。
当然のことながらT.50プロジェクトに注がれる視線は熱く、トータルで100台に限定される生産枠には、すでにすべてカスタマーが決定している。
実際の生産は2022年1月からスタートする予定だが、この100台の生産が終了した後には、25台限定でサーキット専用モデルの「T.50sニキ・ラウダ」の生産がおこなわれるスケジュールとなっている。
2021年3月15日、ゴードン・マレー、そしてゴードン・マレー・オートモーティブ社、ゴードン・マレー・デザイン・リミテッド社にとって特別な日となった。
「XP2」と呼ばれる──マクラーレン時代もそうであったように、2台目となるランニング・プロトタイプの走行テストが、サリー州ダンスフィールドにあるトップギアテストトラックでおこなわれたのだ。
■ゴードン・マレー自らが「T.50」をドライブ!
最初にXP2のステアリングを握ったのは、もちろんゴードン・マレー自身であった。
実際にデリバリーされるT.50は、1万2100rpmをレブリミットとするものの、今回はそれよりもかなり低いリミットを設定してテストはおこなわれたという。
それでもマレー氏自身のコメントによれば、「今回のテストは、1万2100rpmのリミットよりもかなり低い回転数に抑えてのものでしたが、T.50は私のファースト・インプレッションでは非常に素晴らしいクルマだと感じました。
応答性が良く、機敏で、楽しいドライブを提供してくれるクルマです。もちろんサーキットでも走りがいのあるのが特徴となるでしょう。
オールラウンドな視界で再びクルマの中心に座ることができたのも、素晴らしい経験でした。カスタマーがこのクルマをどれだけ楽しむことができるかを見るのが、われわれの楽しみです。
さらに多くのマイルを走行し、多くのXP(プロトタイプ)を作る必要があるでしょう。ですがT.50の開発の軌跡は、われわれが望むところなのです」
ゴードン・マレー・オートモーティブのT.50は、これまでに誕生したスーパーカーのなかで、もっともドライバー中心のモデルになるといってもよいだろう。
リアミッドに搭載されるエンジンは、コスワースの設計による3.9リッターV型12気筒自然吸気。最高出力は663psを発揮し、車両重量は986kgと驚異的な軽さに仕上がっている。
T.50が実際にオンロードへと導かれた時、われわれはどのような驚きをもってそれを迎え入れるのだろうか。デリバリーまで1年を切ったT.50の開発プログラムは、現在も順調にそれが消化されているに違いない。