昨今の自動車市場は2020年の新型コロナ禍の影響で販売が低迷しましたが、徐々に「車移動」の需要が向上したことで回復しつつ、なかでもトヨタ車は毎月の販売台数ランキングの上位を占めています。とくに、高級モデルとなる「アルファード」と「ハリアー」の売れ行きが好調だといいますが、販売現場ではどのような影響があったのでしょうか。
■売上倍増、営業マンは昇進、でも気は緩められない理由も
トヨタの高級ミニバン「アルファード」と高級SUV「ハリアー」の好調さが止まりません。
2021年2月の販売台数では、アルファードの前年比が192%、ハリアーは367%という数字を記録していますが、販売現場にはどのような影響があるのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会 (自販連)が発表する2021年2月の普通車の新車販売台数のランキングでは、1位トヨタ「ヤリス」を筆頭にやはりトヨタ車が絶好調です。
なかでも、高級モデルであるアルファードは1万107台で3位、ハリアーは8006台で5位と、高額なクルマが飛ぶように売れています。
では、実際の販売現場において、高級モデルが売れることはどれほど良い影響が出ているのでしょうか。
現行アルファードは、2015年発売の3代目です。大空間高級サルーンをコンセプトに開発され、インテリアやエクステリアともに高級感が特徴となっています。
2017年12月にはマイナーチェンジがおこなわれたほか、2018年と2019年には一部改良が施され、安全装備を中心に、より装備の充実が図られました。
ここ数年の年間販売台数では、2017年は25位、2018年は15位、2019年は13位と着々と順位をあげ、ついに2020年には登録車で年間5位にランクイン。
その勢いは2021年に入っても止まらず、2021年1月と2月はどちらも3位になるなど、いま一番売れている国産高級車ともいえます。
一方の現行ハリアーは2020年6月に発売された4代目で、いわずと知れた都市型SUVの先駆け的存在です。
そのクーペのような優雅なフォルムと豪華な内装を中心に発売後すぐにヒット。発売から約1か月で、月販販売目標3100台の14倍以上となる、約4万5000台を受注しました。
その後も販売は好調で、同年7月から10月は登録車でトップ10位圏内をキープ。そして11月と12月は4位にランクインし、アルファードに続いて飛ぶ鳥を落とす勢いの高級モデルとなっています。
では、両車は現在どれほど売れており、納車の目安はいつなのでしょうか。
首都圏のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。
「アルファードは、一部改良を予定しているため一旦オーダーがストップしていますが、問い合わせが止むことはなく、残った在庫が次々に売れています。
加えて、『一部改良後には必ず買う』とおっしゃってくださるお客さまもいるほど、今後の売れ行きも変わらず伸びそうです。
ハリアーの納車目安は、ガソリン車で4か月程度、ハイブリッド車で6か月程度となっています。
2020年の新型登場からすごい勢いでしたが、コロナ禍でクルマ移動が増加し、『ちょっと良いクルマを』というお客さまが増えたことで売れ行きは上り調子です」
■バブルの再来? 高級モデル爆売れで営業マンは昇進も
2021年にはいっても両車の売れ行きは絶好調のようです。かつて、約30年前のバブル期には、トヨタ「クラウン」が月販2万台超えを記録するなど高級モデルが飛ぶように売れていたといいますが、最近ではどうだったのでしょうか。
前出とは別のトヨタ販売店スタッフは、次のように話しています。
「私は先代ハリアーが出た2013年から販売店で勤め始めましたが、これほど売れているのは初めてです。
しかも、ハリアーだけでなくアルファードまで、『高級車』と位置付けられているモデルが飛ぶように売れていて驚いています。
そのおかげで、他店舗では売り上げが前年比で2倍にも3倍にもなったという話を聞きます。
また、高級モデルを一気に売ったことで、かなりレアな昇進の仕方をしたスタッフもいたと聞きました。
ただ、コロナ禍で特需的に販売が伸びているのは事実です。収束するに連れ、販売現場がどうなるのか不安はあります」
コロナ禍のクルマ移動増加の影響もあり、トヨタの高級モデルであるアルファードとハリアーは相変わらず好調のようでした。
しかし、現場ではそれが良くも悪くも「異常」であるという認識があり、まだまだ気を緩められるわけではないという状況といえそうです。