昨今のミニバン市場では、トヨタ「アルファード」が高い人気を誇っています。一方で兄弟車となる「ヴェルファイア」の販売低迷が目立っていますが、ついに2021年4月下旬の一部改良にて、ヴェルファイアは1グレードのみに変更されるといいます。トヨタの車種統合はどのような状況なのでしょうか。
■ついにヴェルファイアが統合に向けて…
トヨタの高級ミニバンとなる「アルファード/ヴェルファイア」が2021年4月下旬に主に法規制への対応をメインとした一部改良をおこなうようです。
同年3月20日時点では、すでに新規オーダーをストップしている状態だといいますが、この一部改良でヴェルファイアに大きな変化があるようですが、どのような内容なのでしょうか。
一部改良の内容について、首都圏のトヨタ販売店のスタッフは次のように話します。
「今回の改良は、オートライト搭載義務化への対応が主な部分です。
現在販売されているクルマは、2021年10月からオートライト搭載が義務となります。アルファード/ヴェルファイアにも、この改良でオートライトが搭載されます。
また、オプション設定だった『デュアルパワースライドドア』と『アクセサリーコンセント』が全車標準装備となる予定です。
そのほかは、グレード構成の変更や、内装の細かな加飾、新規オプションの新設定などがおこなわれる予定です」
このように一部改良の内容は、他車でも実施される法規制の対応や機能向上となりますが、ヴェルファイアに関してはこれまでのグレード構成から大きく変更となるようです。
前出とは別の販売店スタッフは次のように話します。
「今回の改良で、ヴェルファイアはこれまで特別仕様車であった『GOLDEN EYES』が、『GOLDEN EYES II』として1グレードとなり、そのほかすべてのグレードが廃止される予定です。
全店で全車種が併売したことで、これまでトヨタ車は多くの車種が統合に向けた取り組みがおこなわれました。
今回もアルファード統合への第一歩と考えて良いと思います。我々も、お客さまのことを考えるとヴェルファイア希望のお客さまにもアルファードを勧めざるを得ません。
おそらく完全な統合は2年ほど先となると思われますが、販売店スタッフの間では、『実質的にヴェルファイアを売るのは難しい』と不安の声が漏れています」
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これまでのヴェルファイアは、ガソリン車/ハイブリッド車、2WD/4WD、7人/8人といった設定のほかに、装備が異なる主に「X/Z/V/VL/ZG/Executive Lounge」といったグレードのほかに、特別仕様車として「Z“GOLDEN EYES”」をラインナップ。
しかし、一部改良によってGOLDEN EYESの1グレードとなり、ガソリン車/ハイブリッド車、2WD/4WDから選択するようになります。
■なぜヴェルファイアのグレードは縮小するの?
トヨタは、以前から国内で販売する車種を減らす方針を打ち出しており、それに伴って販売チャネルごとに存在した専売車(兄弟車)が続々と廃止、統合、もしくはグレードの整理がおこなわれています。
生産終了においては、2019年に「マークX」と「エスティマ」、2020年12月「ポルテ/スペイド」、2021年3月に「プレミオ/アリオン」と「プリウスα」がフルモデルチェンジせず廃止されました。
車種統合では、2020年9月に「タンク」が「ルーミー」に統合し、タンクの外観デザインがルーミーのグレードのひとつとして継続。
グレード整理では、2020年5月に「ヴォクシー」と「エスクァイア」においても設定が変更されています。
実際、2020年5月よりこれまで販売チャネル毎に専売されていて車種の併売が可能になったことで、兄弟車同士のキャラクターが被ることになり、兄弟車間での販売格差が生まれていました。
とくに、アルファード/ヴェルファイアにおいて、2020年の年間販売台数ランキングでは、アルファード(5位:9万748台)に対し、ヴェルファイアは37位(1万8004台)と大きく差が開いています。
未だ「ヴェルファイア派」のユーザーは一定数いるとのことですが、これほど差が付けばモデル廃止もやむを得ないといえます。
なお、今回の改良を受け、中古車市場でもアルファードとヴェルファイアに影響があるようです。中古車販売店スタッフは次のように話します。
「先日、ネットや雑誌でアルファードの改良を知り、改良後のモデルが流れてきたらすぐに連絡をくれないかという問合せがありました。
たしかにコロナ禍でアルファードの売れ行きが良いとは思っていましたが、ここまで先を見越した要望があったのはこれまでで初めてのことです」
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今回、アルファード/ヴェルファイア共に一部改良がおこなわれますが、前述の販売店スタッフが話すように、将来的にはアルファードに一本化される可能性は高いといえます。