BMWチューナーの雄であるACシュニッツァーが、2020年秋に登場したばかりの「5シリーズ」のLCIモデルの最新作を発表した。
■ACシュニッツァーでフルエアロ
2020年秋、BMWは「5シリーズ セダン(G30)」と「ツーリング(G31)」にLCIモデルを新設定した。
LCIとは日本車だけでなく欧州車でもあまり耳慣れない言葉だが、一般的にはビッグマイナーチェンジと同義である。
この新型5シリーズの誕生に、いち早く反応したのはACシュニッツァーであった。
ACシュニッツァーは、早くもさまざまなチューニングメニューを用意してカスタマーが待っている世界市場へ、オリジナルのパーツ類を出荷できる体制を整えてきた。
G30、G31型5シリーズのLCIモデルの特徴は、おもにエクステリアとインテリアデザインにあり、メカニズムのニュースとしては、直列6気筒ベースのハイブリッドを採用したことのみだ。
今回のLCIでは、「3シリーズ」との積極的な差別化を図るため、オプティカルな面が重要になったことは想像に難くない。なぜなら、現行の5シリーズと3シリーズのボディサイズは、その差が確実に縮まっているからだ。
このことは、長年BMWチューニングを続けるACシュニッツァーには、十分に心得られたところだろう。
そこで、今回ACシュニッツァーがエクステリアのドレスアップとして選んだ5シリーズは、M-Sportパッケージか、もしくはM-Sport Aerodynamicの装着車であった。
それをベースに、ACシュニッツァー製のフロントスポイラー・エレメント、フロントスポイラー、サイドスカート、リアディフューザーを装着すれば、効率的にACシュニッツァー版の5シリーズを完成することができる。
M-Sportパッケージを選択しなかった場合、セダンではルーフスポイラー、リアスポイラー、レーシングリアウイング、リアスカートなどのアドオン・パーツが用意されている。さらにツーリングでは、ルーフウイングが加えて必要になるという。
コストパフォーマンスやフィニッシュを考えると、やはりベース車にはM-Sportパッケージか、もしくはM-Sport Aerodynamicを選択しておくのが得策といえる。
■見た目だけでなくエンジンもパワーアップ!
ACシュニッツァーといえば、BMWカスタムで一世を風靡したホイールを連想する人も多いだろう。今回の5シリーズのタイヤとホイールは、19インチから21インチまでのセットをチョイスすることができる。
もっとも径の大きな21インチのセットはバイカラーの「AC3フローフォーミング」を使用するもので、タイヤサイズはフロントが255/30R21、リアは295/25R21の設定となっている。
20インチはもっとも選択肢が広く、ホイールだけでもライトウエイト・フォージドの「AC3」から、3種類のライトウエイト・アロイである「AC1」が選べる。
注目のエンジンチューニングは、「M550i xDrive」を530psから620psに、「540i」を333psから400psにアップさせるメニューがすでに完成済み。
このほかに近く、「530d」、「530d xDrive」用と「540d xDrive」用が追加設定されることになるという。
エグゾーストシステムは、すでにほとんどのモデルに対応しており、サスペンションのスプリングキットも登場。こちらを装着すると車高はオリジナル比で25−35mm低下するという。
BMWチューニングの頂点を極めるACシュニッツァー。その立場は、彼らのコンプリートカーやパーツを見る限り、どうやら揺るぎそうにはない。