クルマの環境技術の向上により、走行時に必要なガソリンの使用量が減少しています。そのため、燃料タンクのなかに同じ燃料が放置される期間が長くなることが懸念されますが、ガソリンはどれくらいのうちに使い切った方が良いのでしょうか。
■どれくらい放置するとガソリンの品質は劣化するのか
環境技術の向上により、クルマの燃費性能は年を追うごとに向上しています。週末しかクルマに乗らない、という人であれば、給油の頻度は月に数回という人もいるかもしれません。
一方、ガソリンの使用量が減ることで、燃料タンクのなかに同じ燃料が放置される期間が長くなることが懸念されます。ガソリンはどれくらいの期間で使い切った方がよいのでしょうか。
そもそもガソリンは劣化するのかそうではないのか、という疑問について、石油連盟の広報担当者に聞いたところ次のように説明します。
「ガソリンは、劣化するのかしないのかという観点でいうと、劣化します。劣化の程度は、酸化劣化によって生成された過酸化物の濃度によって、測定することができます」
では、ガソリンはどれくらいの期間のうちに使い切った方が良いのでしょうか。
「ガソリンの使用推奨期間について、当連盟ではとくに定めておりません。理由としては、ガソリンはかなりの危険物であるため、一般的な使用においては備蓄することを想定していないことが挙げられます。
一方、災害時の備蓄需要がある灯油について、当連盟では半年とアナウンスしております。そのため、ガソリンもおおむね同じと考えていただければと思います。
とはいえ、半年を過ぎたらすぐに使えなくなってしまうものではなく、半年から1年のスパンで劣化が進んでいくとお考えください」(石油連盟 広報担当者)
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クルマに乗らない期間が極端に長くならなければ、ガソリンの劣化に対してそれほど神経質になる必要はないといえます。
しかし、年月をかけてゆっくりと品質が劣化していくというのは事実なので、何らかの事情でクルマを長期間放置する場合は注意が必要です。
■ガソリン“ほぼ”使わないクルマの場合はどうなる?
環境性能に優れたクルマのひとつとして、近年ではプラグインハイブリッド車やレンジエクステンダーEVが存在します。
エンジンとモーターの両方が搭載されているほか、外部充電が可能で、エンジンを使わずに一定の距離を走行できるのが特徴となります。
その場合、同じガソリンが長期間燃料タンクに入りっぱなしになることも考えられますが、何らかの対策は取られているのでしょうか。
プラグインハイブリッド車を複数ラインナップする三菱の広報担当者は次のように回答します。
「当社のPHEVは、50kmほどガソリンを使わずにEV走行が出来てしまうため、毎日通勤で乗っていても3か月間給油をしないということがあり得てしまうようです。
そういった場合にはインフォメーション画面に表示がでたり、自動でエンジンがかかったりするようなっています。
そのため、普段からお客様に積極的に気にしていただく必要はなく、クルマから何らかの案内が表示された場合、その案内に沿って対応いただければと思います」
具体的には、約3か月間一度も15L以上の給油をしていない、燃料タンク内に燃料が長期間滞留しているなどの場合、インフォメーション画面に、「燃料リフレッシュのため一度に15L以上給油してください」と表示がされます。
また、同様な条件でREADY(走行可能)表示灯が点灯していると、エンジンや燃料系部品のメンテナンスのためエンジンが自動的に始動されます。
インフォメーション画面にも「古い燃料を消費しています 一度に15L以上給油するとエンジンを停止できます」と表示が出ます。
このようにクルマで自動的に対策がなされるということで、ユーザーはクルマの案内に従って1回で15L以上の給油をすればよいほか、燃料の残量が多くて給油できない場合は、普通充電や急速充電をせずクルマを使用すれば問題ないそうです。
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また、トヨタのプラグインハイブリッド車の場合も、マルチインフォメーションディスプレイに「長期間燃料が補給されていません。燃料を補給してください」という表示が出たとき、クルマの案内に従って給油をすればよいといいます。
また、トヨタの公式ウェブサイトでプラグインハイブリッド車の給油についてアナウンスしており、12か月ごとに20L以上の燃料補給をおこなえば(12か月間の給油量が合計20L以上になるようにすれば)よいということです。