日産を代表するスポーティモデルといえる「シルビア」は、2002年に惜しまれつつ生産終了となりました。最終型となるS15には、総生産台数は1120台というオープンモデル「ヴァリエッタ」が設定されていました。希少車といえる中古車市場の状況はどうなっているのでしょうか。
■シルビアのオープン! ヴァリエッタとはどんなクルマ?
2002年に惜しまれつつ生産終了となった日産「シルビア(S15型)」(以下、シルビア)。
そのシルビアをベースに電動式メタルルーフを採用したオープンバージョンが「シルビアヴァリエッタ」(以下ヴァリエッタ)ですが、現在の中古車市場ではどのような状況となっているのでしょうか。
シルビアの登場から、遅れること約1年半後の2000年7月にヴァリエッタは登場しています。
布製の幌式ではない電動式のメタルルーフを採用し、屋根を閉じれば通常のクーペと変わらない耐候性、快適性を備えていました。
ベースとなった、シルビアに搭載されていた最高出力250馬力を誇る2リッターターボのSR20DETエンジンではなく、2リッター自然吸気のSR20DEエンジンのみの設定。
変速機も5速MTまたは4速AT(S15には6MT車も用意)と、オープン化により車重が100kg以上重くなったこともあり、ややマイルドな性格となっています。
さらに、価格はベースとなるシルビアのスペックSが177万円から、ターボのスペックRでも239万円からとなっていたのに対し、ヴァリエッタは279万8000円と高価だったこともあって、最終的な販売台数は1120台に留まりました。
ヴァリエッタについて、国産のスポーツモデルを専門で扱う中古車販売店は、次のように話します。
「あまりユーザーから購入に関する相談を受けたことはないです。
シルビアの魅力はやはり走りなので、ターボのスペックRを探している人が多いです。
ヴァリエッタは確かにかっこいいですが、動力性能は物足らないといえます」
※ ※ ※
また、ヴァリエッタの中古車市場を見ていくとターボエンジンや6速MTに載せ替えたり、ワイドなタイヤを装着するなどのチューニングされている個体が目立ちます。
これは、ヴァリエッタの動力性能不足に対応したものと考えられますが、オープン化によって剛性が低下したボディにハイパワーのエンジンや強化した足回りを組み合わせることは少なからずコンディションに影響を与えると考えられます。
すでに生産中止から20年近くが経過して、製造廃止となるパーツも出始めていることや複雑な構造の電動メタルルーフを採用していることから、購入後の維持にはある程度覚悟が必要です。
購入したいという人にとっては、イマが最後のチャンスといえるかもしれません。
■希少車のヴァリエッタ、中古車相場は高騰してる?
希少車ということもあり、ヴァリエッタを大手中古車検索サイトでチェックしてみても、2021年4月時点ではわずか11台しかヒットしません。
なかには、走行5万8000kmで修復歴なしで259万円という物件もありますがこれは例外的な存在です。
多くが走行距離10万km以上、修復歴ありという個体がほとんど、価格は104万円から269万円となっています。
ベースとなったシルビアは走行距離5万キロ台でコンディションの良いターボモデルでは400万円台で販売されている例もあることを考えれば、意外に価格は落ち着いているといえるかもしれません。
ヴァリエッタの価値について、前出の販売店は以下のように話します。
「当時は電動メタルルーフのモデルは希少でしたが、その後に他社からもたくさん発売されました。
今、ヴァリエッタを購入する予算があれば、同じ電動メタルルーフのスポーツカーで、より高年式で走行距離も少なく、そのうえステイタス性もあるメルセデス・ベンツの『SLK』の中古車が買うことができますよ」
※ ※ ※
意外に価格が落ち着いているのは「ヴァリエッタでなければ」という魅力が薄れてしまったからといえるかもしれません。
ヴァリエッタは、希少性はあるものの人気という点ではベースのシルビアには及ばず、価格も高騰しているというほどではないようです。