最近の軽自動車などには、タイヤの向きが分かる通称「タイヤ切れ角モニター」が付いていることがあります。しかし、タイヤの切れ角は大きいクルマほど知りたい場合が多いように思いますが、なぜ軽自動車に採用される例が多いのでしょうか。
■タイヤの切れ角モニターが軽自動車に多いのはなぜ?
クルマのタイヤの角度がどっちの方向にどの程度曲がっているのかわからないとき、頼りになるのがタイヤの切れ角を表示するモニターです。
近年では、軽自動車に多く標準化されているものの、ボディサイズが大きいクルマへの採用は多くありません。
タイヤの切れ角モニターが軽自動車に多く、大きいクルマに少ないのはなぜなのでしょうか。
運転にあまり慣れていない場合、駐車場で切り返しをしているとき、ハンドルをどちらにどれくらい切ったのかわからなくなってしまうことがあります。
そのときドライバーをフォローしてくれるのが、タイヤの切れ角を表示する、通称「タイヤ切れ角モニター」です。
タイヤ切れ角モニターは、メーカーや車種によって表示方法が異なりますが、おおよその前輪の向きを表示してくれます。
タイヤ切れ角モニターが採用されている代表的な車種には、ホンダ「N-BOX」、「N-WGN」、ダイハツ「タント」、日産「デイズ」など軽自動車に多く見られ、普通車ではホンダ「ステップワゴン」などにも搭載されています。なぜタイヤ切れ角モニターは、軽自動車に多いのでしょうか。
タイヤ切れ角モニター採用車種に軽自動車が多い理由について、国産メーカーの販売店の営業担当は次のように話します。
「タイヤ切れ角モニターは、軽自動車やコンパクトカー、ファミリーカーなど、あまり慣れてないドライバーが運転することが比較的多い車種に採用される傾向が多いといえます。
また、そうしたクルマは、自宅やスーパーの駐車場など、駐車スペースが限られている場所に日常的に駐車する機会も多いため、積極的に採用されるのだと考えられます。
軽自動車を検討される人は、コスト面を重視される傾向があるのも事実です。
そのため、高価になりやすいバックモニターやコーナーセンサーよりも、比較的安価に導入することが可能なタイヤ切れ角モニターがマッチしていると考えられます」
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コーナーセンサーは、ダイハツ「ミライース」などで標準装備されている例が見られますが、ナビゲーションシステムの搭載をともなうバックモニターは、軽自動車で標準装備されている例はあまりありません。
一方で、売れ筋の軽自動車は近年装備の充実化が著しく、各メーカーがより魅力的な装備を搭載すべく、しのぎを削っています。
コスト面と機能面のバランスを取った結果として、タイヤ切れ角モニターが採用されることが増えているようです。
■タイヤの切れ角を知るためにはどうしたら良いのか?
タイヤの切れ角を表示するモニターやバックガイドモニターは、駐車をするときや低速での走行時など、表示される場面が限定されていることがほとんどです。
元教習所の指導員は次のように話します。
「タイヤの切れ角は車内から見えないため、クルマを動かしたときに初めて知ることができます。
運転に慣れていない人は、ハンドルがまっすぐな状態だとクルマもまっすぐ進んでくれるだろうと勘違いすることが多いです。
クルマのハンドルは、1回転以上回るケースが多いため、ハンドルがまっすぐなように見えてもタイヤは左右どちらかに切れているということがあります。
運転を始める前に、クルマの周囲の安全確認とともに、タイヤの向きがどっちを向いているのか確認しておくと良いでしょう。
ただ一番良いのは、運転を終えるときにクルマとタイヤの向きを揃えた状態にしておくことです。
ハンドルが切れた状態で運転を終えてしまうと、次回運転するときに予期せぬ方向へ動き出し、パニックになる可能性があります。
次回運転するときに焦らないためにも、クルマとタイヤの向きを揃えて駐車しておくと良いでしょう」
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タイヤの切れ角モニターは、クルマを購入するターゲットに応じて装着されているモデルと装備されていない車種がありますが、車内からは確認することができないタイヤの切れ角を目視できる装備として有効だといえます。
また、駐車をするときは次に乗るときのことを考えて、クルマとタイヤを同一方向に揃えておくと安心です。
日頃の運転をするときに、クルマとタイヤの向きを揃えるクセをつけておくことが次回の運転時に焦らない方法だといえます。