ステーションワゴンとして異例のヒット作となったスバル新型「レヴォーグ」は、ファミリーで使うクルマとしても優れた機能を備えています。どのような点がファミリーカーとしてふさわしいのでしょうか。
■人気の新型「レヴォーグ」ファミリーカーとしての実力は?
2020年10月にフルモデルチェンジしたスバル「レヴォーグ」。2020年度(2020年4月から2021年3月)の登録台数は2万2368台と、ステーションワゴンの需要が低迷するなかにおいて、異例ともいえるヒットを記録しています。
昨今は軽自動車やSUV、ミニバンに人気が集中し、ファミリーカーとして使われるケースが多いのですが、じつはステーションワゴンの新型レヴォーグも家族で乗るクルマとしてふさわしいさまざまな性能や機能を備えているのです。
いったいどんなところがファミリーに最適なのでしょうか。
●「アイサイトX」による高度な運転支援
先代レヴォーグでも運転支援システム「アイサイト」は標準装備されていましたが、新型レヴォーグは広角化したステレオカメラや前側方レーダー、電動ブレーキブースターを標準装備し、幅広いシーンで衝突回避をサポートします。
衝突回避の新機能として、「プリクラッシュステアリングアシスト」と「前側方プリクラッシュブレーキ・前側方軽快アシスト」や、車線変更・逸脱時に、隣接する車線の接近車両を検知し、警報とステアリング操作をアシストする「エマージェンシーレーンキープアシスト」をスバル国内初搭載しました。
さらに、上級グレードの「EX」には自動車専用道路で高度運転支援をおこなう「アイサイトX」を搭載。
カーブの前や料金所前で減速する機能や、ウインカーと連動して自動でレーンチェンジをおこなう「アクティブレーンチェンジアシスト」、渋滞時は、「渋滞時ハンズオフアシスト」や「渋滞時発進アシスト」をスバル初搭載。「ドライバー異常時対応システム」といった最高峰の先進運転支援機能が装備されました。
なかでも渋滞時ハンズオフアシストでは、時速50キロ以下の渋滞時にハンドルから手を放すことができ、クルマがアクセル・ブレーキ・ステアリングの制御をしてくれるというものです。
アクセルやブレーキ・ステアリングをクルマが制御して前のクルマについていく機能は従来のアイサイトにも備わっていますが、アイサイトXでは停止から再発進もクルマがアシスト(渋滞時発進アシスト)。
行楽地からの帰りなどに渋滞にはまることがありますが、そんなときにドライバーとして頑張っているお父さんにとって、気を遣う渋滞中にクルマに運転を任せられる機能はありがたいのではないでしょうか。
なお、アイサイトXは自動運転レベル2のシステムなので、ドライバーが運転の主体となります。手放し中でも前方を注視していることが条件となり、わき見運転や居眠りなどはNGです。
ドライバーモニタリングシステムが常に運転手の顔を監視しているのですが、感染防止対策としてマスクをつけている場合、白いマスクは認識されますが、色や柄がついたマスクは認識できず、アイサイトXの機能を使うことができません。
●新開発の1.8リッターターボエンジンで余裕の走り
新型レヴォーグには、新開発の1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンが搭載されました。最高出力は177馬力、最大トルクは300Nmを発生、そしてこの300Nmを1600rpm-3000rpmという低回転域で発生することで、日常走行でもパワフルな走りを体感することができます。
アクセルを踏んだ瞬間から発生するトルクフルなエンジン特性は、スポーティな走行性能が好きなお父さんはもちろん、買い物や子供の送迎などで運転するお母さんにとっても扱いやすものになっているといえます。
また、少ない燃料でより多くのパワーを生み出すリーン燃焼技術を採用し、WLTC燃費は13.7km/Lを実現。レギュラーガソリン仕様という点でも経済性に優れており、家計を預かるお母さんとしては見逃せないポイントです。
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スポーツワゴンとして、さらなるスポーツ性能を求めるお父さんには、「STIスポーツ」グレードがおすすめです。
同グレードに装備される「ドライブモードセレクト」ではスポーツカーのような走りから高級車のような乗り心地を重視した走りまで、スイッチひとつで、クルマのキャラクターを切り替えることができます。
パワーユニットだけでなく、AWDシステムや電子制御ダンパー、パワーステアリング、アイサイトの追従加速度、エアコンなどを細かく制御することで、さまざまな乗り味を楽しむことが可能です。
■上質な内装に先進的な大型センターディスプレイ搭載
●質感の高いインテリアや便利な機能
新型レヴォーグの内装は、これまでのスバル車とは一線を画す上質なインテリアへと進化しました。
運転席に乗り込んで目に留まるのは、インパネ中央に設置された11.6インチの大型センターディスプレイです。
タブレットのように直感的に操作することができ、大画面なので地図も大きく表示されるのはとても便利。
加えてメーターは、国産車としてはほかにない、12.3インチのフル液晶メーターを採用。さまざまな表示方法に切り替えることが可能です。
とくにメーター中央に地図を表示するモードでは、ナビの経路案内も確認することができるなど、地図が苦手な人でもわかりやすい表示となっています。
また、前出のドライバーモニタリングシステムでは、運転中のドライバーの監視のほか、登録されたドライバーの顔を認識してシートポジションなどを調整してくれます。家族で運転することが多い場合、各々のポジションに再調整するのは煩わしいものですが、新型レヴォーグはその手間が省けます。
子供と一緒に後席に座ることが多いお母さんにとってうれしいのは、従来モデルにはなかった後席エアコンやシートヒーターが設置されたことです。また、振動や静粛性なども従来モデルと比べて大きく向上しており、ロングドライブでも後席でゆったり快適に過ごすことができます。
ひとつ惜しい点は、リアシートセンターアームレストのカップホルダーが浅いことです。レヴォーグの前身である「レガシィツーリングワゴン」からこのカップホルダーが浅く、500mlのペットボトルなどはクルマの発進や停止の前後Gによって傾いてしまうことがあり、ぜひ改善してほしいところです。
ちなみに、発進前に後席ドアが開閉された場合、走行後にエンジンを停止すると後席の乗員や荷物の存在をブザー音とメーター内への警告でお知らせしてくれる「リアシートリマインダ」を全車標準装備。後席にのせた子供や荷物の置忘れを防止するのに役立つ機能も搭載されました。
●ステーションワゴンとしての利便性
ステーションワゴンとして気になる積載性や機能性はどうでしょうか。
従来モデルも広い荷室を備えていましたが、新型レヴォーグでは大容量のサブトランクを新たに採用。高さがある荷物も積むことができ、荷室総容量561リットルと積載性能が向上しました。
さらに後席を4:2:4分割で倒すことができるので、真ん中を前に倒して長尺物を積載しながら後席に2人が乗車することができるなど、いろいろなシートアレンジが可能となっています。
そして、新型レヴォーグではテールゲートに触れずに開閉できる機能を装備。カギを身につけた状態でリアの六連星のエンブレムに手などをかざすとリアゲートが自動で開き、子供を抱っこしたお母さんでも重宝しそうな機能です。
また、ステーションワゴンは全高が低いことから荷室の開口部の高さも低く抑えられ、荷物の積み下ろしも楽におこなえるというメリットもあります。
高さ制限のある機械式駐車場に駐車可能な全高1500mm(ルーフアンテナ含む)という点も、ステーションワゴンならではの利点といえそうです。
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スバルは「安心と愉しさ」をキャッチフレーズとしたクルマ作りをしていますが、新型レヴォーグは最新のアイサイトおよびアイサイトXで安全性を高め、スポーティな走りで愉しさを感じられるモデルへと進化しました。
さらに、ステーションワゴンとしての積載性や機能性の高さも加わり、どんな場面でもマルチに活躍してくれます。
ファミリーにとってはSUVやミニバンが使い勝手が良いように思われますが、走りと機能を両立したステーションワゴンをあえて選ぶのもアリなのではないでしょうか。