電気でモーターを駆動させて走る電気自動車(EV)にはエンジンが搭載されていません。そのためエンジンオイルなどの油種類が不要となりますが、じつはEVでもオイルを使っている部分があるのです。それは一体何なのでしょうか。
■EVでもオイル交換が必要な部分がある!
世界的に電動化へのシフトが叫ばれている昨今、排気ガスを出さない電気自動車(EV)への注目が高まっています。
EVは充電するのに時間がかかるというデメリットが存在しますが、その一方でコストメリットが高いという特徴が挙げられます。
そもそもエンジンを搭載していないEVは、エンジン内部を潤滑させるためのエンジンオイルが不要です。
定期的に交換が必要なベルト類も使用していないことからメンテナンスの負担が抑えられるという点があり、エンジン搭載車よりもランニングコストを低く抑えることができるといえるでしょう。
しかし、完全に油脂類の交換が不要というワケではありません。ではEVに使用されている油脂類はどんなものがあるのでしょうか。
まず、クルマを減速させるために必要なブレーキです。EVにはモーターを活用し、運動エネルギーを電気に変えてバッテリーへ充電することができる「回生ブレーキ」が備わっています。
しかし、急ブレーキや長い下り坂を走行する場合など、回生ブレーキ以上の減速力が必要になったときは、一般的なエンジン搭載車と同じくブレーキパッドをブレーキローターに押し当てて減速する摩擦式ブレーキを使っているのです。
ブレーキペダルを踏むという動作をブレーキに伝えるためには、ブレーキフルード(ブレーキオイル)の油圧の力を使用しているため、EVであっても定期的なブレーキフルードの交換が必要となります。
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ほかにも、モーターの回転運動を駆動輪に伝えるために備わる減速機があり、この減速機のギアの潤滑のためにもオイルが使用されています。
こちらは一般的なトランスミッションのように多くのギアが備わっているわけではないため、たとえば日産「リーフ」で1.41リットルとそこまで多量ではありません。
また、基本的には定期点検のみで定期交換が指定されている部分ではありませんが、EVでもオイルが使用されている部分となります。
■EVの冷却水は何に使っている?
オイルではありませんが、実はEVにも冷却水が使用されています。これはモーターやインバーターといった走行に関わる部分はもちろん、車種によってはバッテリーを冷却するためにも使用されます。
また、一部の車種では電気の力で冷却水を温め、温風を出すPTCヒーターを採用しており、このときも冷却水が使用されているのです。
エンジンのように巨大な熱源ではありませんが、EVとしての機能を正しく発揮させるためには冷却も必要というワケなのです。
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EVにも油脂類は使用されていますが、エンジン搭載車に比べるとどれも負担も少ないため、交換頻度は長めに設定されています。
そういった点でもやはりメンテナンス費用は安いといえるのかもしれません。
ただし、EV長く乗ることを考えると、駆動用バッテリー交換という最大の敵が待ち構えていることは覚悟が必要だといえそうです。