独BMWは2021年5月26日、同年中に欧州市場で発売する予定の電気自動車(EV)「iX」および「i4」用のパワートレインを、ドイツ・バイエルン州にあるディンゴルフィンBMW工場で生産開始したと発表した。
■SUVタイプの電動モデル「iX」は日本でも2021年中に発表予定
独BMWは2021年5月26日、同年中に欧州市場で発売する予定の電気自動車(EV)「iX」および「i4」用のパワートレインを、ドイツ・バイエルン州にあるBMWディンゴルフィン工場で生産開始したと発表した。
iXは、4月に開催された上海モーターショーで世界初公開された最新の電動スポーツアクティビィティビークル(SAV)で、2021年後半に欧州や中国など世界の主要な市場に導入される予定だ。
市場投入時に登場するのは「iX xDrive 50」および「iX xDrive 40」のふたつのバリエーションで、iX xDrive 50はフロントアクスルとリアアクスルにひとつずつの電気モーターを搭載し、4輪を駆動する(e-AWD)。システム全体で370kW(約500ps)の最高出力を発生、0-100km/h加速は5秒未満というパフォーマンスを誇る。バッテリー容量は100kWhを超え、一充電での走行可能距離はWLTPサイクルで600kmを超えるという。
iX xDrive 40もフロントとリアにモーターを搭載するAWDで、最高出力はシステム全体で240kW(約300ps)。0-100km/h加速は6秒未満となる。バッテリー容量は70kWh超で、一充電の走行可能距離は400km超(WLTP値)となる。
すでに日本でもプレオーダーを受け付けており、2021年中にも登場する予定だ。日本での車両価格は未定だが、ドイツでの車両価格はiX xDrive 40が7万7300ユーロ(日本円で約1000万円)、iX xDrive 50が9万8000ユーロ(約1275万円)とすでに発表されている。
一方のi4は、BMW iブランドとして初となる完全電動の4ドアグランクーペモデルだ。BMW Mパフォーマンスモデルを含め2021年中にまずは欧州市場に導入されるという。まだ車両価格は発表されていない。
80kWhの高電圧バッテリーを採用し、WLTPモードで最大590kmの一充電走行可能距離を誇るフルEV。最大390kW(約530ps)の最高出力を発揮し、0-100km/h加速は約4秒というパフォーマンスを誇る。Dセグメントセダン、およびクーペのプレミアム市場では現在、BMW「3シリーズ」および「4シリーズ」がベンチマークとなっているが、EVに関してはi4がその役割を担うことになる。
■2030年にはBMWグループの売上高の50%以上がフルEVになる
電動モデルであるiXやi4に搭載するための第5世代高電圧バッテリー、およびバッテリーモジュールの生産をおこなうディンゴルフィン工場は、今後のBMWのEV戦略を担う重要な拠点となる。そのため、2020年から2022年の間だけで5億ユーロ(日本円で約665億円)以上もの投資をするという。
BMWグループでは、すでにグローバルな生産ネットワークが世界規模で確立されている。BMWとMINIのすべてのEVに必要な高電圧バッテリー、およびバッテリーコンポーネントは、ドイツ国内のディンゴルフィン、ライプツィヒ、レーゲンスブルクにある自社のバッテリー工場、さらに米国スパルタンバーグ、そして中国の瀋陽にある工場で生産される。またタイでは現地の企業と協力し、ラヨーン工場で高電圧バッテリーの生産を現地化している。
これらの生産ネットワークの増強は、いまから4年後の2025年までに、BMWグループのフルEVの販売を、年間平均で50%以上増加させる計画に基づくものだ。
これは昨年2020年におけるEV販売台数の10倍以上という数字になる。また市場予測によれば、BMWグループは2030年に全世界の売上高の少なくとも50%以上がフルEVになると見込んでいるという。
今後10年で、BMWグループは約1000万台のEVを販売する予定だ。
2021年末までに販売されるBMWグループのフルEVは、まもなく登場するSUVタイプのi4、そしてDセグメントセダンタイプのiXのほか、すでに2013年から市場で販売されている「i3」、SAVであるX3の電動モデル「iX3」、そして「MINIクーパーSE」の5モデルがあるが、EVシフトをさらに加速させるために、プレミアムコンパクトブランドのMINIを完全電気自動車ブランドにすると2021年3月に発表している。
これは、いまから4年後の2025年に、内燃機関モデルとしては最後のニューモデルを導入、それ以降はフルEVのみを販売する予定で、これにより、2027年までにはすべてのMINIモデルの50%以上がEVとなり、2030年代初頭にはMINIブランド全体で完全EV化を果たし、世界のあらゆる地域に拠点を持つグローバルブランドとしての地位を維持していくとしている。