トヨタが世界に誇るスポーツカー「2000GT」。1970年の販売終了から半世紀経ちますが、現代に蘇ったような「2020GT」というモデルが存在しました。
■生産台数はわずか337台の2000GTを完全再現!?
国産メーカーがこれまで販売してきたクルマには数多くの名車が存在します。
なかでも世界的に有名なのがトヨタ「2000GT」ですが、1967年から1970年とわずか3年余りしか販売されていません。
その2000GTを現代に蘇らせたようなカスタムカーが存在しました。
2000GTは、トヨタが1965年の東京モーターショーでプロトタイプを発表し、1967年5月に発売したモデルです。
エクステリアデザインは「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれる英国製スポーツカーのフォルムを取り入れ、曲面を多用した流麗なファストバックとなっています。
エンジンは2リッター直列6気筒DOHCを搭載。キャブレターを3連装し、最高出力150馬力を誇りました。
2000GTは当初の目標だった、最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒という世界トップクラスの動力性能を達成。
サスペンションは、4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、4輪ディスクブレーキ、マグネシウム製ホイールを装着するなど、日本の量産車としては初搭載されるものがいくつもありました。
発売後には、1967年にフロントマスクのデザイン変更などマイナーチェンジがおこなわれ、販売終了となる1970年までの生産台数はわずか337台でした。
また、2020年7月にはTOYOTA GAZOO Racingが「GRヘリテージパーツプロジェクト」として2000GTの補給部品を復刻し、国内外向けに再販売することを発表するなど、現在でも多くのファンが存在する1台です。
そんな名車といえる2000GTをスズキの軽スポーツ「カプチーノ」をベースに再現したのが自動車専門学校の「日本自動車大学校(通称:NATS)」で、東京オートサロン2020向けに「2020GT」という名前を付けて制作されました。
制作コンセプトについてNATSは、「“旧車界の異端児”をテーマに不朽の名車トヨタ2000GTをカプチーノで復刻。最新のカスタム“スタンス”を取り入れ、今までにないカスタムカーを製作しました」と説明。
ベースとなったのは1992年式のカプチーノで、ホイールベースを250mm延長し、ロングノーズ化。
2000GTの特徴でもあるリトラクタブルライトはマツダの初代「ロードスター(NA型)」のヘッドライトを使用し、テールライトや砲弾型フェンダーミラーは汎用品を用いています。
また、2020GTのオーバーフェンダーはESB製のBattle Worksを装着し、足まわりはホイールにレイズ製「TE37V」、タイヤをトーヨー製「TIRES PROXES R1R」を装着しています。
エンジンは、カプチーノに搭載されているスズキの名エンジン「F6A」をそのまま流用。
2020GTについて、NATSの担当者は次のように説明しています。
「カプチーノをベースにトヨタ2000GTを再現しており、ホイールベースを250mm延長し、それに伴い各部の延長を図りました。
NATSでは当たり前にボディをストレッチしていますが、実は結構大変な作業がテンコ盛りです。
フロントサイドメンバー、ブレーキパイプ、ラジエータホース、コンデンサーパイプ、配線…などなどまだまだあります。
作業量は多いので完成するのはいつも東京オートサロンが開催されるギリギリです。
車検も改造部分が多い為、なかなか順調にはいきませんでしたが、何とか完成しテストランキャラバンもクリアできました」
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現代に蘇ったともいえるカプチーノのベースの2000GTこと2020GTですが、その存在感は軽自動車ながらとても迫力のある1台といえそうです。