スマホのナビアプリが進化したことで、「カーナビは絶滅するのではないか」という声が聞かれます。しかし、実際にはカーナビの出荷台数は増加傾向にあるのですが、今後どのような展開が予想されるのでしょうか。
■スマホナビが増えるとカーナビはなくなる?
無料で使用できるスマートフォン(スマホ)のナビアプリが進化したことで、高価なカーナビは「もう絶滅してしまうのではないか」という悲観的な見方も一部にはありました。
しかし、実際にはカーナビの出荷台数は増加傾向にあり、5Gの普及によりスマホとも連携することでさらに発展する可能性があります。
スマホの進化が著しい昨今、多くのものがその役割をスマホに奪われています。
例えば、スマホのカメラ機能が大幅に向上したことで、一般向けのコンパクトデジタルカメラはほとんど絶滅状態といえます。
スマホのナビゲーションアプリもまた、近年多くのユーザーが日常的に使用しているほど、その機能は進化を遂げています。
その影響を大きく受けるように思われるのがカーナビですが、実は販売台数が減少するどころかむしろ増えています。
スマホが現在ほど一般的でなかった2010年、カーナビの出荷台数は約520万台だったのに対し、2019年の出荷台数は約600万台と2割近く増加。
2019年に発売されたトヨタ「カローラ」では、従来のカーナビを廃し、ナビ機能のないディスプレイであるディスプレイオーディオを標準装備し、ナビゲーション機能はスマホに接続することでディスプレイオーディオ上でナビアプリを利用するという思い切った施策も登場しています。
一方で、販売台数の推移を見ると、ユーザー側には従来のカーナビを装着したいという要望も根強いようです。
ナビ機能自体には、カーナビに分があるのも事実です。
例えば、スマホのナビアプリが、基本的にはGPSのみで位置情報を取得しているのに対し、カーナビの場合はGPSに加えて、各種車載センサーから情報を取得することで、電波が届きにくい山間部やトンネル、地下といった場所でも位置情報を取得することが可能です。
また、近年ニーズが高まっているドライブレコーダーとの連携もカーナビのほうが進んでいます。
ドライブレコーダーの映像をカーナビ側で確認したり、設定できる機能を持ったものも増えてきました。
さらに、運転中の視認性やオーディオ機能などの操作性は、画面の大きいカーナビのほうを優位に感じるユーザーも多いようです。
対するスマホのナビアプリは、導入コストが圧倒的に安く、ある程度割り切って利用するのであれば十分ですが、精度や操作性などではまだまだ専用品であるカーナビには追いついていません。
しかしマップの更新が早く、常に最新の情報が利用できる点はカーナビよりも優れている部分です。
また、端末やアプリに依存するものの、基本的な操作性や使いやすさは、やはり普段使い慣れているスマホに分があるといえそうです。
ほかにも、カーナビとスマホにはそれぞれ一長一短があり、現時点では完全に雌雄が決しているわけではありません。
■実際のユーザーやカー用品店ではどんな反響?
実際に、カーナビとスマホを使い分けるユーザーは次のように話しています。
「自宅や職場など頻繁に訪れる場所はカーナビを利用しています。
しかし、初めて行く場所、例えばレストランなどは、スマホでお店の内容を検索し、そのままスマホのナビアプリを使用するようにして、使い分けています」
カーナビとスマホのそれぞれの特徴を活かして併用しているケースもあるようです。
そのほか、ユーザーの動向についてカー用品店のスタッフは次のように説明しています。
「お客さまからスマホと連携するカーナビがほしいというお問合せも年々増えております。
そのなかで、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する汎用カーナビはアルパイン製くらいだと思います。
ナビ機能が付いていない汎用のディスプレイオーディオであればいくつかのメーカーから登場しています。
お客さまの用途としては、いざというときにカーナビの信頼性を頼りにして、日常のエンタメなどでスマホ連携を使う形で棲み分けしているようです」
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現在、クルマのナビゲーション事情としては、メーカーや販売店、カー用品店で販売されていたカーナビや、スマホのナビアプリを用いたものが主流でした。
しかし、最近ではメーカーがオプションならび標準装備する専用ディスプレイオーディオが主流となり、車種によっては車内Wi-Fiスポット機能によってナビゲーションやエンタメなどをさまざまなサービスを受けることが出来ます。
今後、5G回線が普及していくことで従来のカーナビ、スマホ、専用ディスプレイオーディオの違いがより線引きしづらくなるのかもしれません。