日本を代表する自動車メーカーといえるトヨタ。世界中に多くのファンが存在しますが、なかでもアメリカでは近年JDMという日本車カルチャーの影響もあり、その人気は高まっています。そうしたなかで、25周年を迎えた「オールトヨタフェスト」とは、どのようなイベントなのでしょうか。
■アメリカ人のトヨタ愛がアツ過ぎる! 25周年を迎えたオールトヨタフェストとは?
2021年6月5日に米国カリフォルニア州で開催された「オールトヨタフェスト」は、今年で25回目を迎える(かなり濃くてアツい)トヨタオーナーが年に1回集うミーティングです。
「TORC(Toyota Owner’s and Restorer’s Club)というトヨタ車のオーナーズクラブが主催しています。
日本車ながら日本では見かけない激レアトヨタ車が集うイベントとは、どのようなものなのでしょうか。
2020年はコロナの影響で開催中止となりましたが、2021年は2年ぶりの開催が実現しました。
集まったトヨタ車はとにかくオーナーに溺愛されている濃いクルマばかり。
車種の内訳は、「カローラ(94台)」、「セリカ(33台)」、「セリカ/スープラ(MK1/2+スープラ(7台)」、「MR2(24台)」。
「ランドクルーザー(17台)」、「ハイラックス(14台)」、「クレシーダ(14台)※日本名クレスタ」、「カムリ(11台)」、「4ランナー(11台)」。
そして、シャコタンに日本国旗を掲げた「センチュリー(1台)」が集まっていました。
そのほかレクサスでも、SC(7台)やLS(6台)などが約20台を含めると2021年は約450台が参加しました。
これでも2021年は例年より100台近く減らした台数だそうで、例年は550台が参加し申し込み受付開始から1日経たずに締め切られるのだそうです。
主催者の一人であるTORC役員のテリー山口氏にオールトヨタフェストについて伺いました。
――オールトヨタフェストはいつ、どのように始まりましたか。
「Toyota Owner’s and Restorer’s Club (TORC)」が1995年に設立されたことに始まります。
最初に集まったトヨタ車は25台でロングビーチにある公園の駐車場などでこぢんまりと開催していました。
回を重ねるごとに、どんどん参加者が増えて会場もそれに合わせて大きくなっていきました。
わずか数年で300台以上が入る公園を借りなければ間に合わなくなり、2017年より参加者用、見学者用ともに駐車場が足りなくなって現在のマリナグリーンパーク(ロングビーチ市)に引っ越しました。近年は出店者の特別展示車両含めて600台近い規模になっています。
――参加するための条件はなんでしょうか?
トヨタブランド(レクサスやサイオン含む)の車両であること、動く車両であること、「FOR SALE」などの販売用サインは出さないことなどが条件です。
基本的に「愛されているトヨタ車」であればOKです。また、ボディがトヨタであれば、「クラウン」にV8エンジン、「ハチロク」にホンダエンジンなど載せ替えていてもOKです。
――2021年の開催はいつ決定しましたか?
今年は、本当にギリギリまで微妙な流れでしたが「賭けに勝った!」という感じです。
ロサンゼルス群のコロナに関する新しい規制の発表が開催か1か月前の5月7日にありました。
前日まで「どうでしょうか?」と市になんども問い合わせしましたが決定的な返事がなく、今年もダメかもと思っていたのですが、市のGOが出て最終的な規制の方向性がやっと5月14日に固まりました。
このときに、450人が登録していましたし、2年連続のキャンセルだけは避けたい、25周年をやり遂げたい!という思いが強くありました。
2020年は、パンデミックの真っただ中で中止はしたものの、セリカ50周年ということで記念Tシャツを作りました。
――カローラが多い理由は?
2021年は「カローライヤー?」というくらいカローラが多かったです。年代はまちまちですが、1970年代14台、1980年代19台、1990年代10台、2000年代15台、2011年以降36台です。
■トヨタ車はロイヤリティのレベルが高い
――アメリカのトヨタ車オーナーにはどんな特徴がありますか?
トヨタファンは、親子代々全員トヨタファンですね。浮気できないといえばよいのでしょうか。
ロイヤリティのレベルが高いですね。トヨタファンは自分が選んだトヨタ車に絶大な信頼を寄せています。
トヨタ車がほかの日本車オーナーと違うのは、一般の人からクルマ好きの方に幅広く愛されていることかなと思います。
乗用車、スポーツカー、トラック…車種が幅広いですからね。ホンダや日産も大変人気がありますが、スポーツタイプに熱狂的なファンが多いと感じます。
私の家庭でもたくさんのトヨタ車を所有しており、現在はセリカ4台(1972年/1973年セリカクーペ2台、1977年セリカリフトバック2台)、ハイラックス(1969年)、トヨタピックアップ(1980年)、4ランナー(2002年)、プリウスV(2012年)。日産車はダットサン510ワゴン(1972年)を所有しています。
――TORCのRはRestorer’sの頭文字ですね。これはどういう意味でしょうか?
Restorer’sとは直訳すると「レストアする人」という意味ですが、TORCが定める定義はかなり異なったものになっています。
アメリカにおけるトヨタ車は歴史的にみてコレクターズアイテムとして扱われるクルマではなく、オリジナルの状態にレストアすることに価値を求める人はほとんどいませんでした。
その代わりに、トヨタを愛するオーナーたちは、その人の文化的背景や考え方に基づいて改造パーツを使うなどして自分の夢を実現するようなクルマの姿にレストアするようになったのです。
現在ではオリジナルの状態にレストアされた車も多くなっていますが、クラブメンバーのトヨタ車はその多くがオーナーそれぞれが思い描くモディファイド・パーフェクション(改造された完璧な状態)となっています。
2021年の参加車両は進行中のものも含めて約350台が何らかのカスタムをしています。
――TORCの皆さんはかなり熱狂的なトヨタ車ファンですね
TORCに関わる人たちは全員、ハードコアなトヨタファンです。血が流れているといっても過言ではないですね(笑)。
そんな人たちと長年、触れ合ってきて年に一度のオーナーイベントを開催する立場からすると、50年前にアメリカでは「手軽な大衆車」だったトヨタが、今では「頼れるかっこいいトヨタ」に変わってきたと感じます。
――2年ぶりの開催で参加者の方々からの反応はいかがでしたか?
参加者の皆さんからは、「今年開催してくれて本当にありがとう!ノーマルに戻った一歩を感じられて、2年ぶりのリユニオンを心から楽しんだ」という感想を多くいただいています。
密を避けるために、2021年は、アワードもなし、ラッフル(くじ引き)もサイレント、エンタメをなくしました。それでも楽しんで喜んでくれた参加者に感謝感激です。
大盛況となったトヨタフェスト。遠い異国の地でこんなにもアツい想いをもって日本車を愛してくれている人々がたくさんいることは、とても誇らしく嬉しい気持ちになりますね。
※ ※ ※
日本を代表する自動車メーカーのトヨタ、そのファンはアメリカでも多く存在するようです。
また、昨今ではアメリカの通称「25年ルール」によって初年度登録から25年経ったクルマが続々と輸出されていることもあり、今後もアメリカでのトヨタ車人気はますます高くなるかもしれません。