「あおり運転(煽り運転)」に関する罰則が強化されて約1年以上が経ちますが、現在も度々報道されています。一般的にドライブレコーダーの装着が有効といわれていますが、実は謎のキャラクター「レフキーくん(57歳)」があおり運転に対策に絶大な効果を発揮するといいます。どのようなキャラクターなのでしょうか。
■ドラレコよりも「レフキーくん」が圧倒的にあおり防止に効果あり!
近年、社会問題化している「あおり運転」ですが、2020年6月30日に一部改正された道路交通法にて「妨害運転罪」が施行されました。
これにより、「車間距離の不保持」「急な割り込み」「不要な急ブレーキ」など10項目などが「あおり運転(妨害運転)」と定義化、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という罰則が適用され、取り締まりも強化されています。
しかし、施行から1年以上経過するものの、いまだにあおり運転に関する報道は後を絶ちません。
そうしたなかで、「レフキーくん」というキャラクターがドライブレコーダー(ドラレコ)よりも圧倒的に効果のある「あおり防止策」として絶大な効果を発揮するといいます。
恐らくほとんどの人がその存在を知らないといえるレフキーくんですが、これは通行帯違反撲滅のためのキャラクターで、レフキーとは「キープレフト」のことです。
筆者(加藤久美子)がレフキーくんを知ったのは3年ほど前でした。車両通行帯違反のことを調べていたときに、警視庁の公式Twitterで見つけたのが最初です。
その後、神奈川県警や埼玉県警、大阪府警、愛知県警などの公式サイトにおいても紹介されていることがわかりました。
なお、「通行帯違反」とは、追越が終わって左車線(走行車線)に安全に戻れる状況であるのに戻らず、追越車線を走り続けることが代表的な違反で、違反点数は1点、反則金は普通車6000円となっています。
通行帯違反撲滅のために活動するレフキーくんですが、一般ドライバーの認知度はほぼゼロに近く、レフキーくんを紹介しているホームページを掲載する警察の広報課であっても「レフキーくん? 何でしょうか?」という反応。各地の警察ではあまり認知されていないようでした。
しかし、レフキーくんは安全運転の大原則である「キープレフト」を推奨する「地味にスゴイ」キャラクターですが、一体、誰がどのようにして考案したのでしょうか。
実は、レフキーくんには詳細なプロフィールが存在します。
●通行帯違反撲滅キャラクター「レフキーくん」
・誕生日:1964年6月1日(キープレフトの原則が道路交通法で定められた日に誕生。2021年で57歳)※ただし、キャラクターとして活動を開始したのは2014年2月
・高速道路を走るときの合言葉:「右側ずっと走らレーン!」
・趣味:高速道路をドライブすること
・特技:高速道路の模範運転、前のクルマを追い越したら必ず一度、左側の走行車線に戻る
・運転のクセ:いつも走行車線に戻ることを考えているから、左のほうばかり気にしてしまう
レフキーくんは、高速道路を利用するユーザーに対して、次にようにお願いをしています。
「高速道路を利用するみなさんへ、お願いです。
追越車線は前のクルマを追い越すための車線です。追越車線だけをずっと走るのは、通行帯違反だよ。こまめに走行車線に戻ろうね。
追越車線ばかり走っていると、こんな危険があるんだ。
●だんだんと速度が上がり、運転操作を誤る:単独事故
●いつの間にか前のクルマをあおって接近する:追突事故
●前のクルマが左へ車線変更すると、退いた先には落下物や故障車が!避けられない!:衝突事故」
※ ※ ※
レフキーくんの歴史は、警察庁が2013年12月に全国の高速隊員らに対して撲滅キャラクター案などを募集したことに始まります。
このとき全国の警察高速隊から約100通の応募があり、そのなかから選ばれたのがレフキーくんです。2014年2月に鹿児島県警高速隊の巡査部長が考案したキャラクターが採用されました。
当時の資料には、「左車線走行がひと目で分かるよう、キャラクターの両目を左車線に向かせるなど工夫。名前は左側走行を意味する『キープレフト』から取った。道路を模した愛らしい体で左車線走行を強調。今後、全国で通行帯違反のPRに利用される」と書かれてあります。
■なぜ「レフキーくん」はドラレコよりもあおり運転の防止に効果があるの?
では、なぜレフキーくんがあおり運転の防止においてドラレコよりも効果絶大のキャラクターなのでしょうか。
昨今、あおり運転が社会問題化するなか、ドラレコを装着するクルマが急激に増えています。
出始めた頃は、主に交通事故の瞬間を記録する目的するツールであったためフロントカメラだけのドラレコが主流でしたが、あおり運転が急増してからはリア用のドラレコや360度録画を可能とするドラレコの普及が加速しています。
また、リアバンパーなどに「ドラレコ録画中」などのステッカーが貼られたクルマも増えました。
しかし、あおり運転におけるドラレコはあくまでも、「被害を受けた際に、その記録を残すために有効なツール」であって、ドラレコさえつけていればあおり運転が防げるわけではありません。
「ドラレコ録画中」のステッカーが抑止力になると考えている人もいるかもしれませんが、ステッカーを貼って追越車線をふさぐようにノロノロ走り続けているクルマは確実に後続車をイラつかせて怒りを買ってしまいます。
怒りが増幅してくるとステッカーの有無に関係なくあおり運転を誘発するかもしれません。
「ステッカーを貼っていればあおられない」「制限速度以下で安全運転している私は正しい」などと思い込んでいる「道路の正しい走り方を知らない人」こそ、あおりの標的になりやすいといえるでしょう。
そこで、レフキーくんの出番です。
あおり運転の被害者にならない、絶対的に効果がある方法は、安全運転の大原則である「キープレフト」を遵守した走り方です。
右側の追越車線を使って追い越しをおこない、左側の走行車線へ余裕をもって戻る「キープレフト」を遵守していれば通行帯違反を犯すこともなく、あおり被害に遭う可能性も格段に低くなってきます。
なお、首都高をはじめとした都市高速においては、出入口が左右に統一されていないことやジャンクションが複雑に配置されていることなどを理由に、東名高速や中央道などの高速道路にある「追越車線」と名付けられた車線は存在しません。
しかし、筆者が神奈川県警高速隊に確認したところ首都高湾岸線などのように片側3車線以上の路線において一番右の車線をずっと走り続けていると、通行帯違反で取り締まり対象になる場合があるとのことでした。(すべてが対象となるわけではなく、ジャンクションが近くにないことや右側に出入口がないことなど細かい条件があります)
追越車線という名前はなくても、「キープレフト」の原則は都市高速であっても変わらないとのことです。
高速道路を走るときはいつもレフキーくんの存在を思い出しながら、運転の大原則である「キープレフト」を意識して、トラブルを引き起こすことのない賢い運転を心がけたいものです。