右左折時に曲がる方向とは逆に膨らむ行為となる「あおりハンドル」をおこなう人がいます。なぜ膨らんで右左折するのでしょうか。
■多発する「あおりハンドル」とは
クルマで交差点を右左折する際、曲がる方向とは別の方向に膨らむ通称「あおりハンドル」をおこなう人を見かけることがあります。
あおりハンドルは、後続車や対向車などと接触する可能性もありますが、なぜ逆方向に膨らむのでしょうか。
SNSを見ても、「一般道の左折で右振りする人見かける」「交差点で右振りして縁石乗り上げている人がいた」「左折前の右振り本当にやめてほしい」といったように、右振り運転について実際に見たという声や、危険性を感じている人が見受けられています。
また、「無意識に右振りしてしまってた」「悪い癖だから直さないと」といったように、ついクセとなって右振り運転をしてしまうドライバーの声も一部見受けられています。
そうしたなかで、栃木県にある烏山自動車学校(@KarasuyamaDS)のSNSでは、「だめすぎる急な左折例」という投稿とともに、危険運転の動画を投稿しています。
この動画では、窓に肘をかけ片手ハンドルで運転しており、左折する際には徐行せずクルマを右にふくらませて左折をおこなっています。
こうした左折する際の右振り運転は、通常の一般道でも一部で見られており、「あおりハンドル」と呼ばれるなど、危険な運転の仕方であるといえます。
では、なぜあおりハンドルをする人がいるのでしょうか。動画を投稿した烏山自動車学校の担当者は、以下のように説明します。
「こうした運転の仕方は、初心者や教習所で練習している人でもクセとしてやってしまっている人を見かけます。
また、日常的に運転している人では、スピードを出す人がやってしまう傾向にあります。
運転していても無意識的にやってしまう人もいるようで、左に寄せる間隔がつかめず狭く感じてしまうという人もいます」
道路交通法第34条では、「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」と定められています。
このため、基本的に右左折をおこなう際は、曲がる方向に寄って徐行する必要があります。
あおりハンドルなど逆方向に膨らんだ運転をすることで、端に隙間ができ間を縫ってバイクや自転車からすり抜けをされたり、思わぬ接触事故も考えられるため、気をつけなければなりません。
前述の自動車教習所の担当者は、あおりハンドルの危険性や対処法について以下のように話しています。
「右振り運転をおこなうことで、追い越しをするクルマへの接触や対向車とぶつかってしまう可能性も考えられます。
事故を防ぐためにも、教習所で習った運転について守ることが大切です。
右左折するときは速度を緩めて、徐行するように心がけて下さい。
端に寄せたときの距離の間隔なども掴むようにするのも良いでしょう」
■膨らむ人は大型車の真似をしている?
あおりハンドルは、トラックのような大型車の動きを真似しておこなう人もいるようです。
トラックの場合では、右左折をおこなう際に内輪差を気にする必要があります。
内輪差とは、前の車輪と後輪が描く軌道の差で、内輪差を気にしないと前輪はすり抜けられても、後輪は歩行者や電柱など接触事故を起こしてしまうことも考えられます。
こうしたことから大型車の場合では、狭い場所に限って少し曲がる方向とは別に膨らんでから曲がる可能性もあります。
また、運転に不慣れな人は「内側のガードレールや縁石にぶつからないように」という心理が働くことで、自然と膨らんでしまうようです。
ただし、軽自動車や普通車のミニバンやファミリーカーの少し大きなサイズのクルマでは、膨らまずとも曲がることは可能です。
都内の警察署交通課の担当者は、あおりハンドルについて以下のように話します。
「あおりハンドルのような運転の仕方は運転の技術として気をつけてもらう必要があります。
仮にトヨタ『アルファード』のような大きめの乗用車であっても、右に振らなくても正しく曲がることができます。
そのため、右左折をおこなう際は、自身で意識してもらいながら正しく曲がってもらえればと思います」
※ ※ ※
前述の烏山自動車学校の担当者は、動画を投稿した経緯について「教習所を卒業してから自分で運転をおこなうことで、自己流の運転の仕方が出やすくなります。交通事故防止のためにも教習所で習った運転を大事にしてほしいです」と話しています。