日産の欧州法人が、「EV化されたシルビア」をテーマとしたデザインを2021年の秋に公開していました。EV化に伴って変更された点や初代のアイデンティティを守った点など、さまざまなポイントがあるようですが、どんなデザインに仕上がっているのでしょうか。
■初代「シルビア」をグリルレス化!?
日産「シルビア」は、7代目モデル(S15型)を最後に、2002年をもって生産終了した2ドアクーペですが、いまなお多くのファンを持つ名車として知られています。
生産終了からまもなく20年を迎える2021年秋に、日産の欧州法人(以下、欧州日産)が「もしEV化した新型シルビアが存在したら」というテーマに基づいて、最新のデザインを公開しました。どんなデザインが披露されたのでしょうか。
2021年9月2日に、欧州日産が運営する「NISSAN STORIES(日産ストーリーズ)」で公開されたデザインは、欧州日産のデザイン担当バイスプレジデントであるマシュー・ウィーバー氏の手で取りまとめられたものです。
シルビアをリバイバルするにあたり注目されたのは、1964年の東京モーターショーで発表され、1965年4月から1968年6月までの短い期間しか販売されなかった初代「シルビア」(CSP311型)です。
マシュー・ウィーバー氏は初代シルビアのデザインについて、次のようにコメントしています。
「初代日産シルビアは、非常に静かでかつ控えめな方法で、時代を先取りしていました。このモデルは非常によく熟成されており、現在でもその地位を確立しています。
また『高品質で普遍的な魅力を備える』というグローバル製品に期待されることを示す好例でもあります」
そのうえで初代シルビアをモチーフに、EV化した新型モデルをデザインするにあたり、次のようなことを意識したとマシュー・ウィーバー氏は説明します。
「初代シルビアを未来に向けてリ・デザインするにあたり、私たちはその伝統に敬意を表したいと思いました。
もっとも特徴的なポイントは、ボディワークの上部と下部をつなぐクリーンなラインです。今回のEV化されたシルビアでは、上部をすっきりとシャープにカットすることで、その存在感をさらに際立たせています。
未来の世界が意識された、電気自動車にふさわしいデザインとしました」
また、EV化されたことによる従来との違いに関して「EVであるためパワートレインの冷却の必要性が非常に低く、従来ラジエーターがあった場所にグリルを設ける必要がなくなりました」とマシュー・ウィーバー氏は説明。
そのためグリル部分はフロントパネルに置き換えられているほか、「EVの主要コンポーネントは従来のエンジン車とは大きく異なり、パッケージも違います。その結果EV化されたシルビアは、外観から想像するよりも車内が広く取られています」(マシュー・ウィーバー氏)ということです。
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2002年のシルビア生産終了後、日産は“新型シルビア”を示唆するスポーツカーのコンセプトモデルを何度も公開してきましたが、8代目となる新型シルビアの市販化には至っていません。
今回、欧州で公式に「シルビア」の名前が用いられた新デザインが公開されましたが、あくまでデザインのみの領域に留まります。果たして「シルビア復活」の可能性はあるのか、多くのファンが注目しています。