「ハッチバック」はコンパクトカーの代名詞のように捉えられていますが、最近では大人が乗るにふさわしい、高品質なハッチバックが充実してきています。高品質な上級ハッチバックの魅力はどのようなところにあるのでしょうか。
■上級車からのダウンサイジングでも違和感がないプレミアムハッチ
「ハッチバック」と聞くと、「コンパクトカー」を連想する人が多いかもしれませんが、ハッチバックはあくまでもボディ形状の違いを分類しただけであり、決して安価で小さめのクルマの代名詞ではありません。
とくに最近では高品質なハッチバックが続々登場。上質感のある内外装を持ち、それでいて扱いやすいサイズの「プレミアムハッチバック」が注目を集めています。
環境意識の高まりもあって大排気量エンジンを搭載したモデルが数を減らすなか、また、子育てを終えた世代がミニバンなど大きいボディを持て余すケースも増えており、エンジンやボディサイズを「ダウンサイジング」したい人の受け皿としての需要が高まっているのです。
大人が乗るのにふさわしく、また上級モデルから乗り換えにも対応できる上質なハッチバックにはどのようなモデルがあるのでしょうか。
●日産「ノート オーラ」
日産のコンパクトカーとしてすっかり定着した「ノート」。2020年12月に登場した現行モデル3代目は第2世代の「e-POWER」を搭載したハイブリッド専用車となりました。
そんなノートの上級モデルとして2021年に登場したのが「ノート オーラ」です。
ノート オーラはノートとほぼ同じ全長4045mm×全幅1735mm ×全高1525mmというサイズですが、全幅を40mm拡大して3ナンバー化。さらに15インチタイヤが標準のノートに対し、ノート オーラは17インチを装着しています。
パワートレインは、ノートと同じ1.2リッターエンジン+モーターを使用しながら、ノート オーラは制御の変更によりモーターの出力を20馬力アップさせた136馬力へと変更し、スムーズで力強い加速が味わえるひとクラス上の走りを実現しました。
そして大人にふさわしいハッチバックとして重要なのが、インテリアの質感と充実した装備でしょう。
人間工学に基づき疲労軽減を目的に開発された「ゼログラビティシート」を全車搭載。
フルTFTで視認性に優れた、先進感のある「アドバンスドドライブアシストディスプレイ(12.3インチカラーディスプレイ)」はインパネ中央に配置された9インチディスプレイと一枚につながり、美しさと機能性を両立しています。
安全装備も、5つのカメラや3つのミリ波レーダー、8個のソナーで周囲を検知する全方位運転支援技術を搭載。
運転支援技術「プロパイロット(ナビリンク機能付)」は地図情報を取り込むことで、コーナーの大きさなどを事前に把握し、スムーズに曲がれるように車速をコントロールする機能も備えています。
さまざまな点においてノートとは一線を画す上質感を身につけたノート オーラは、高級車から乗り換える人にも最適なプレミアム感が味わえる1台です。
■6速MTで走りも楽しめる大人のハッチバックとは?
●レクサス「CT」
レクサスのハッチバック「CT」は、同ブランド内ではエントリークラスですが、その存在感や性能、装備も含めて、立派な大人のプレミアムハッチバックといえます。
プレミアムコンパクト初のハイブリッド専用車として2011年に誕生。すでに10年を迎えたロングセラーモデルです。
なお、2014年のマイナーチェンジで、レクサスのアイコンでもあるスピンドルグリルを採用しました。
CTの全長4350mm×全幅1765mm×全高1450mmというサイズは、コンパクトカー以上の大きさと存在感があり、2017年に2度目のマイナーチェンジでエクステリアデザインを小変更することで現在のレクサスらしさをさらに追加しました。
ちなみにメカニズムは3代目「プリウス」にも搭載されていた1.8リッターエンジン+モーターとリダクションギアを組み合わせたハイブリッドシステムを採用。細かな改良も加えられ23.9km/L(WLTCモード)という優れた環境性能を誇ります。
インテリアは水平基調のダッシュボードなどに時代を感じさせるものの、質感はまさに高級車。
コンパクトなボディに上質な内外装を組み合わせることで、扱いやすさと質感を両立した大人にふさわしいプレミアムハッチバックとなっています。
●マツダ「マツダ3 ファストバック」
マツダは長きにわたりハッチバックを大事に育ててきました。「アクセラ」もそうでしたが、単なるコンパクトカーとしてではなく、スタイルとしてのハッチバックを構築。
そして2019年に登場したプレミアムなハッチバックが「マツダ3ファストバック」です。
全長4460mm×全幅1795mm×全高1440mmというサイズは、前身となるアクセラよりも10mm短く40mm低く設定。ホイールベースは25mm延長され2725mmとなっています。
ルーフが低く後席はやや狭く感じるものの、曲面の抑揚で質感を表現した伸びやかで美しいハッチバックスタイルを実現しました。
パワートレインは1.5リッター/2リッターガソリン、1.8リッタークリーンディーゼル、さらに新開発の2リッターエンジンを組み合わせたマイルドハイブリッドと4種類ラインナップ。それぞれFFと4WDが用意されています。
そして、マツダ3ファストバックの大きな特徴となっているのが、6速MTを設定するなど「運転する楽しみ」を意識した作りになっていることです。
6速MTのハッチバックは世界的にもレアな組み合わせとなっており、スポーティにも走れるのが大きな魅力。
実用的でありながら美しい佇まいと走りを楽しめるマツダ3 ファストバックは、センスのいい大人にこそふさわしい雰囲気に満ちています。
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実際ノート オーラは、セダンやミニバンなどから乗り換える人や、輸入車から乗り換える人も多く、プレミアムハッチバックとして高く評価されているといいます。
年齢層も50代が約3割を占めているなど、これまで上級モデルに乗っていたユーザーでも違和感のない高級感が人気の秘訣のようです。