クルマにはさまざまなライトが装着されていますが、カスタムしてライトを搭載する場合にはどのようなルールがあるのでしょうか。
■ライトカスタムのルールは?
クルマの外装にはヘッドライトやフォグランプなど、さまざまな灯火類が設置されています。
そんななか、自分で灯火類の色を変えたり、灯火類の設置数を増やしたりとカスタムをしている人もいるようです。クルマの外装の灯火類の取り付けには規定などあるのでしょうか。
クルマの外装にはヘッドライト(前照灯)やテールランプ(尾灯)などの灯火類が純正で装備されています。
一方で、街中を走行しているクルマのなかには、ピンクやブルー、パープルなど派手な色のライトを取り付けているクルマも見られます。
では、普通車の車外に設置されている灯火類は、運転者が色や個数を自由にカスタムしても良いのでしょうか。
クルマの前方に取り付けられている、ヘッドライトなどの灯火類の色や個数については、道路運送車両法の保安基準(以下、保安基準)32条、および道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(以下、細目を定める告示)において定められています。
ヘッドライトのハイビームについては、細目を定める告示の第198条において「白色であること」「2個又は4個であること」との規定が設けられています。
また、ロービームについても、色はハイビーム同様に白、個数については細目を定める告示第198条において「2個であること」と定められています。
続いて、フォグランプの色については、細目を定める告示の第199条に「白色又は淡黄色であり、その全てが同一であること」と定められています。
さらにフォグランプの取付位置、取付方法等については、保安基準第33条第3項の告示で定める基準において「同時に3個以上点灯しないように取り付けられていること」と記されています。
このように、クルマの前方に取り付けられている灯火類については、ひとつひとつに色や個数の規定があり、基本的に色は白、フォグランプに限っては淡黄色も認められています。
クルマの後方に設置されているテールランプの規定についても、細目を定める告示第128条において「尾灯の灯光の色は、赤色であること」と定められているうえに、左右対称であることや取り付けの位置など、非常に細かい規定があります。
また、バックにギアに入れた際に点灯する後退灯については、細目を定める告示の第214条において「後退灯の灯光の色は、白色」「1個又は2個」と規定されており、クルマによっては左右片側にのみライトが設置されていることもあります。
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首都圏の警察署の交通課担当者は、灯火類の設置について「クルマの灯火類の規定は、各都道府県においても定められていることがあります」と話します。
例えば、東京都の道路交通法施行細則第17条では「道路における禁止行為」として、「車両の運転者の目をげん惑するような光をみだりに道路上に投射すること」と定められています。
また、大阪府の道路交通法施行細則第14条でも同様に「車両等の運転者の眼を幻惑するような光をみだりに道路に投射すること」は禁止行為とされています。
このように、灯火類のカスタムは、各都道府県が定める禁止行為にもなり得る可能性があるため、不完全な知識で行うのは非常に危険といえます。
■信号と見間違うかも? 安全運転の義務違反になる可能性も
前述したように、保安基準とは、安全確保や公害防止などの観点から自動車の設計製造のための要件を定めた法律であり、車検の検査基準にもなっています。
そのため、クルマのカスタムのために交換部品や用品を装着する場合には、保安基準に適合することが絶対条件です。
また、灯火類の追加やカスタムは場合によっては、対向車や先行車の運転に支障をきたす可能性もゼロではありません。
とくに夜間は昼間に比べると視認性が悪く、違法な灯火類のカスタムは色によっては信号機と区別がつきにくかったり、周囲の視界を妨げる要因になる場合もあるかもしれません。
そうした灯火類のカスタムについて、前出の交通課担当者は以下のように話します。
「灯火類を信号機と見間違えて事故が起きたという事例はいまのところ耳にしたことがありませんが、灯火類のカスタムは場合によっては、安全運転義務違反になる可能性があります」
灯火類をカスタム、および不適切に設置すると、周りの運転者に対して危険をおよぼすと判断される場合もあります。
このように、周りの運転者へ危険性を与えると判断された場合は、道路交通法第70条「安全運転の義務」に違反する可能性もあり、違反に該当すると違反点数2点、反則金は普通車の場合9000円が科されます。
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あらゆる規定に違反する可能性がある灯火類のカスタム。しかし、それ以前に、灯火類の設置は、場合によって運転者の目を幻惑し、事故を誘発する危険性があります。
灯火類は、安全な交通のために必要不可欠なものであることをしっかりと認識し、適切な設置をおこないましょう。