スバルの新型電動SUV「ソルテラ」が世界初公開されました。新型ソルテラはスバルとトヨタが共同開発したモデルで、トヨタ版は「bZ4X」となりますが、両社が一緒に電気自動車を作ったのはなぜなのでしょうか。
■なぜスバルとトヨタがEVを共同開発したのか?
スバルが「ソルテラ」とネーミングされた新型電気自動車を2021年11月11日に世界初公開した。
TVやネットのニュースなどで見た人も多いのではないだろうか。このクルマ、ご存知の人も多いと思うがトヨタと共同開発です。
トヨタ版は「bZ4X」という名前なのだが、すでに2021年4月の上海オートショーで発表済み。
中国で初公開されたあと北米で6月にコンセプトが発表され、10月29日に量産モデルの詳細が明らかになっているが、日本でちゃんとしたお披露目会はいまだ無し。
一方のソルテラは2021年5月に名称が正式発表され、その後、特設サイトでティザー動画や画像などが公開された。
そして今回は世界初公開ということで、新型コロナ禍のため規模は小さいものの、スバルの中村社長や車両開発トップまで出席した発表会をしっかり開催しました。
折しもイギリスではCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催され、日本は「2040年までに全ての新車を電気自動車にする」という協約を飲まなかった。
そんなタイミングでの新型電気自動車の登場となれば、多くのメディアが報じたくなります。
こうした経緯から、新型ソルテラは多くのメディアで取り上げられることになった次第。
ソルテラとbZ4Xは完全なる共同開発だから、スバルとトヨタでクルマそのものの違いは“ほぼ”無いといって良いです。
簡単に経緯を紹介しておく。最初にこのクルマを企画したのはコンパクトカーを持っていないスバルだが、いまや世界規模で「CAFE」が導入され始めた。
CAFEとはいわゆる「企業平均燃費」で、燃費の良いクルマをラインナップしていないメーカーにとって厳しい。
かといってスバルがコンパクトカーを開発しても、コスト掛けた割に販売台数だって期待できない。しかし電気自動車なら平均燃費を大幅に下げられます。
そこでスバルはトヨタに企画を持ち込んだ。トヨタだって電気自動車は必要です。しかもスバルと共同開発すれば、開発に掛かる人員も半分で済み、両者ウインウインになれる、ということで開発がスタートしました。
■各種補助金の交付で300万円台で買える!?
サイズとしてはトヨタ「RAV4」や「ハリアー」に近い。車体のシルエットを見ると、何となくRAV4に似ていると思わないだろうか。
そしてトヨタとスバルでは「位置づけ」が違う。スバルの場合「CAFEをクリアする」という目的があるため、日本のほかに、スバルにとってCAFEクリアが非常に厳しい欧州を始め、アメリカでも販売します。
トヨタはCAFEをクリアできているため、企業イメージ向上のため電気自動車を売りたい。当面は日本と中国での販売になるようです。
車両スペックはすでにトヨタbZ4Xで発表されている通りになります。
ライバルとなる日産「アリア」より少し長いボディに、71kWhという必要かつ十分な容量の電池を搭載。
スバルのデータだとWLTCモードで2WDが530km前後、4WDが460km前後になる模様。寒い日の雨などコンディション悪いときの実力値だと350kmくらいだと思う。
そして素晴らしいのは電池寿命。トヨタもスバルも「10年間使って90%の容量を残す」といっています。
10年走れば16万km程度。電池特性として考えると、10年/16万km走った後、急に性能が劣化することは考えにくい。このレベルの耐久性を持たせておけば、クルマの寿命と同じくらいだと認識しておけば大丈夫でしょう。
ちなみにトヨタのbZ4Xは中国でも中国製の電池を搭載して生産されるのに対し、ソルテラは日本でしか作らず、海外へ全数を日本から輸出することになるという。今日の発表会でそのほかの新しい情報は出てきませんでした。
肝心の車両価格は未公表ながら、噂ではアリアと同等くらいらしいため、スターティングプライスで500万円前後ということです。
2022年度から補助金も増えるらしく、国のほか、別に補助金が出る東京都などは300万円台で買えるかもしれない。
エネルギーコストの安さも含蓄に入れれば、300万円級のSUVと同じ感覚で買えます。
環境問題で叩かれっぱなしの日本政府ながら「日本も電気自動車はしっかりやっていますよ」と世界に向け発信したらいい。