トヨタがツイッターに「車道ギリギリに立っていませんか?」と投稿しました。歩行者や自転車が車道ギリギリで停止している場合、どういった危険性があるのでしょうか。
■トヨタも啓発「車道ギリギリに立っていませんか?」
2021年10月、トヨタはTwitterに「車道ギリギリに立っていませんか?」と投稿しました。
これは、歩行者や自転車が車道ギリギリで停止している場合、クルマと接触するおそれがあることに対してのツイートですが、具体的にどのような危険性があるのでしょうか。
トヨタは次のような投稿で、歩行者に車道から一歩下がった停止を推奨しています。
「車道ギリギリに立っていませんか?
ほんの数十秒の信号待ち。急いでいる時は気持ちが焦って、歩道の端や、車道まではみ出して立っていませんか。
歩道の端には、クルマ・自転車との接触や巻き込み事故など、危険が潜んでいます。
信号待ちでは車道から離れ、交通事故に気を付けましょう」
この投稿に対して歩行者から「なんで下がらないといけないの?」「クルマが気をつけるべきでは?」といった声が上がっている一方で、クルマの運転者からは「命を守るために必要な行動」「これで危ない思いをしたことがあるから、気をつけてほしい」といった声もあるなど、賛否両論が寄せられてます。
歩道を歩いている際、歩行者は信号待ちなどで一時的に停止することがあります。
そんなときは歩道内で停止するのがふつうですが、なかには歩道からはみ出て、車道の白線ギリギリに立って停止している歩行者も見受けられます。
そもそも、歩行者は信号待ちなどの際にどこで停止するべきなのでしょうか。
警察庁の担当者は「歩行者の停止位置について、歩道内であることは定められていますが、車道からどのくらい離れたら良いか数値的な規定はありません」と話します。
歩行者の道路の横断に関しては、「交通の方法に関する教則」の第2章「歩行者の心得」の第3節において「歩道の縁や道路の端に立ち止まつて、右左をよく見て、車が近づいて来ないかどうか確かめましよう」とされています。
ここでは、信号機がない場所での横断方法が記されていますが、歩行者の立ち位置については「歩道の縁や道路の端」が適切であることがうかがえます。
ちなみに、「道路の端」に立つべきケースとしては、あくまでも歩道と車道が縁石などで区別されていない場合を指しており、歩道が設置されている場合には、「歩道の縁」で待つのが適切でしょう。
もちろん、これに従って歩道内で信号待ちをしている場合には違法性はありませんが、SNSを見るとクルマの運転者のなかには、「危ないから、なるべく車道から離れて停止してほしい」と考えている人もいるようです。
■車道ギリギリだと、どんな危険があるの?
歩行者が車道近くに立つことの危険性としては、どのようなことが挙げられるのでしょうか。
栃木県那須烏山市の烏山自動車学校では、車道ギリギリに立っている歩行者への危険性について、SNSで検証動画を公開しています。
動画では、交差点で歩行者に見立てたポールが道路の左側に立ち、右側へ横断しようとしているシーンで始まります。
ポールは、車道と歩道の境界線ギリギリに立てられており、そこへ右折しようとする大型トラックが登場。
序盤は問題ないかのように見えますが、トラックが交差点を右へ曲がり切ろうとしたとき、左へせり出した荷台部分がポールに接触し、ポールはコンクリートの土台ごとなぎ倒されてしまいました。
もし、このポールが実際の歩行者であれば、重大な事故に発展しうることがうかがえます。
烏山自動車学校の担当者は、歩行者が車道のギリギリに停止しているケースについて、以下のように話します。
「大型車は、曲がる際に、荷台の後方が歩道にせり出しやすくなっています。
とくに、狭い交差点では道幅に制限があるぶん曲がりにくく、歩道にせり出してしまう危険性が高いと予測されます」
このように、実際の道路でも危険性がじゅうぶんにあることを指摘したうえで、「歩道とは可能な限り、安全な間隔を取るように教習をおこなっています」と説明します。
SNSでも見られたように、「なぜ歩行者がクルマのために歩道の内側にいなくてはならないのか」と思う人もいるかもしれませんが、安全かつ円滑に交通を進めるためには、相互への理解と思いやりが必要です。
また自転車が歩道で停止している場合、人は歩道内にいても、自転車の前輪などが車道にはみ出ている場合も多く見受けられます。
このような状況も考えられるため、クルマの運転者は歩道の歩行者や自転車に対してしっかりと安全確認をおこない、歩行者や自転車はクルマが困っている際には少し移動するなど、互いに安全確保に努めましょう。