洗車時、フロントやリアの窓ガラスの外側の汚れはしっかり洗い流せても、内側の清掃は手を抜いてしまうことがあります。フロントガラスの内側が曇らないような清掃の仕方について、カークリーニングのプロに聞いてみました。
■窓ガラスの内側の曇りは汚れや水蒸気が原因だった
洗車したときにフロントガラスやリアガラスもキレイに拭き上げたのに、走り出すと内側が曇ってしまうことがあります。
窓ガラスの外側はカーシャンプーなどで汚れを落としやすいのですが、内側は最後に濡れタオルでサッと拭き上げるだけなど、おざなりになりがちでしょう。
フロントガラスやリアガラスの内側が曇らないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
クルマの窓ガラスが曇る原因は、内側に付着したホコリやタバコのヤニなどの浮遊物に、空気中の水蒸気がくっつくことで発生するといわれています。
つまりこの汚れを取り除かないと、また湿気などで曇りが発生してしまうのです。
都内にあるカークリーニング専門店のスタッフ B氏に話を聞いてみました。
「フロントガラスやリアガラスの内側に付着する汚れには水性と油性が混在しており、主な原因は車内に入り込んだホコリやタバコの脂や油汚れ、手垢や皮脂などが考えられます。
また意外に多いのが、洗車したときの拭き残しです。水道水に含まれる不純物がガラスに付着しているケースは多いです」
B氏はガラスの内側はあまり洗剤を使わないほうが良いといいます。
洗剤の拭き残しが新たな汚れの原因になってしまうことから、洗剤ではなく、水とキレイなタオルを使うだけのほうがキレイになるというのですが、たったそれだけで本当にキレイになるのでしょうか。
ウインドウ内側にはできるだけ余計な皮膜や汚れをなくすことが、くもりを防止する最善策のひとつになるとB氏はアドバイスします。
「タオルは吸水性にも優れているマイクロファイバーがいいでしょう。汚れだけでなく水分もしっかり拭き取ることでかなりスッキリします。
ほかにも曇り対策にポイントがあって、使用するのは水道水ではない水を使うと良いです」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
洗車で使用するのは水道水が一般的ですが、水道水ではない水とはどんなものなのでしょうか。
「水道水のなかにはごく微量ながらナトリウムやマグネシウムなどミネラルが含まれており、またカルキなども含まれています。じつはこれが窓ガラスに付着して汚れや曇りになってしまうのです。
そこで使いたいのが『精製水』という不純物を含まない水です」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
精製水は別名「純水」と呼ばれており、現在の洗車業界では使用頻度が上昇しているものだといいます。
精製水は水道水の不純物を機械的に取り除いており、ボディ表面に不純物が残りにくく、シミや水垢などがほとんど発生しないとされています。
さらに精製水自体には何も含まれておらず、不純物を取り込む作用があり、拭き取ることができるメリットもあるそうです。
「ボディ全体に使うことも可能ですが、わざわざ大量の精製水を使う必要はありません。窓ガラスの内側を拭くときに使用すればいいです。
内側の油膜や皮膜といった汚れを精製水に吸収させ、乾いたマイクロイファイバーでしっかり拭き取ればスッキリします」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
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精製水はドラッグストアの消毒液コーナーなどで販売されており、500mlで100円前後です。
色も匂いもしないのですが、ほかの水と混ざると不純物を含んでしまうため、プラスチック製ボトルで販売されています。
■クルマの窓の内側の掃除で使って良いもの・悪いものとは
窓ガラスの内側をキレイにするのに「無水エタノール」や「消毒用エタノール」を使用するケースもあり。これらはアルコールですから殺菌効果も高いと思われますが、窓ガラスの掃除に使っても良いのでしょうか。
「殺菌が目的なら効果的ですが、油分を分解しやすい性質を持つため、ゴムパッキンなどに付着すると変色したり素材を傷めてしまう可能性もあります。
また、揮発性が非常に高いので、拭き上げる前に乾いてしまうので扱いが難しいです。そして精製水よりも価格が高いのがネックです」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
そのほかに、一般的に窓ガラスの内側の清掃に適していそうなものについて聞いてみたところ、蒸しタオルは〇、古い新聞紙は△、烏龍茶は×寄りの△とのことでした。
「蒸しタオルは簡易スチーマーと同じで、熱と蒸気で汚れを浮かせる効果が期待できます。
また古い新聞紙で使用されている印刷用インクが油膜を溶かす効果があり、大掃除などで使うこともあります。
ただし、新聞紙で拭くと表面に紙粉が残ってしまうので、しつこい油汚れや油膜とりとして濡らした新聞紙で拭いたあとに精製水とマイクロファイバーを使うならいいでしょう。
烏龍茶は油分を分解する効果は期待できますが、不純物が残ってしまいます。油性のガラスクリーナーは洗車には適さないと覚えておいてください」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
なお、泡タイプのガラスクリーナーは油分が含まれているケースが多く、せっかく不純物を取り除く清掃をしているのに余計な油膜をつけてしまうこともあり、クルマの掃除には向いていないようです。
では、最近よく耳にする「電解水」はどうでしょうか。
「電解水は使い方次第ですが、ウインドウの内側の清掃に使用するのであればしっかり拭き上げることが条件です。
電解水は電解槽で電気分解することで『アルカリ性電解水』と『酸性電解水』が生成されるのですが、ごく少量のナトリウムなどを使用して電気分解を促しています。
拭き残してしまうと不純物となってしまうので、2度拭きが必要になる可能性もあります。
また汚れが落ちるのはアルカリ性電解水です。酸性電解水は菌やウイルス除去としては優れていますが、洗浄力はありません。アルカリ性電解水ならタバコのヤニやちょっとした油汚れなど油性の汚れはよく落ちますので、使い方次第では有効でしょう」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
そう考えると、やはり精製水とマイクロファイバーで清掃するのがもっとも手軽かつ有効な手段といえそうです。
「ただマイクロファイバーに精製水で窓の内側を拭く場合、キレイなマイクロファイバーをもう1枚用意してしっかり拭き上げてください。汚れを吸着した精製水を拭き上げることでスッキリします」(カークリーニング専門店スタッフ B氏)
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精製水はドラッグストアなどで販売されている消毒用だけでなく、じつはクルマにも関連にもあり、バッテリー補充液に使われています。
最近はメンテフリーのバッテリーが増えたことから手にする機会は減りましたが、カーグッズ量販店やガソリンスタンドでも入手できます。