新型コロナ禍感染拡大防止を目的とした移動の自粛要請が緩和され、ETCの休日割引(30%)も再開されました。そこで、高速を利用するときに起こりうるETCのトラブルを検証してみます。
■ETCゲートが開かないトラブルが多発
新型コロナウイルスの感染者減少を受けて移動の自粛要請も段階的に緩和され、他県への移動もできるようになりました。
これに合わせて、ETCの休日割引(30%)が再スタート。ここ数年行けなかった行楽や帰省、ウインタースポーツなどを目的に、年末年始は高速道路の利用が増えそうです。
国土交通省のウェブサイトによると、現在のETC利用率は全体の93.2%(2021年8月時点)と、高速道路を利用するクルマのほぼ全車がETCを利用している状態にまでなりました。
そこで、改めてETC利用に関するトラブルを検証してみます。
久しぶりに高速を利用する人だけでなく、いつも利用している人でも、ある日突然ゲートが開かなくなるというトラブルに見舞われることがあります。
ETCゲートが開かない場合、どんな原因が考えられるのでしょうか。
もっとも多いのがETCカードの差し忘れや差し込みが不完全なケースで、全体の約65%を占めているといいます(JAF調べ)。残りの33%はETC未装着車の専用レーン誤進入となっています。
ただ、少数ながら最近増えているのが、突然のETCの不調です。ETCカードの有効期限切れならまだしも、「ETCゲートの入口は通過できたのに出口でゲートが開かない」「本体はカードを認識しているのにアンテナの不調でゲートのカメラが認識しない」といった事態も起きているのです。
そこで都内の自動車電装系のセットアップ(ETCやナビなど)専門店のスタッフに、最近のトラブル事情を聞いてみました。
「最新のETC 2.0でなくてもカードの有無や有効期限切れなどを音声で知らせる機能は付いているETC車載器が多いのですが、ときどきカードの磁気の読み込みエラー、アンテナの不具合などでゲートが開かなかったケースも報告されています」
とくに最近では半導体不足の影響もあって新車の納車が遅延しており、中古車市場が活気付いております。
実際に中古車を購入した人もいるかと思いますが、購入したクルマに装着されているETCが正常に作動しないケースがよくあるそうなのです。
「ETCは基本的には本体とアンテナだけというシンプルな構造で故障はあまり起きないのですが、やはり常に電通させている装備だけに経年劣化していることもあります。
本体とアンテナの接触不良やエンジンの振動や熱などで断線してしまうケースもごく稀にあるようです。
しかし一般的な中古車販売店では、ETCが作動しているかはインジケーターや音声確認程度しかできません。アンテナの電波が正常に作動しているかを確認するには専用のETCテスターが必要になります」(ETC・ナビのセットアップ専門店スタッフ)
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ここで難しいのが、中古車でETCに不具合が見つかった場合、クルマを購入した人と中古車を販売した店舗のどちらが修理代を持つかということです。
中古車は走行に問題がない状態までは整備して販売されていますが、基本的に「現状渡し」のため、ETCやナビの修理はユーザー負担となるケースが多いようです。
■ゲートが開かない場合は一時停止すべし!
実際、ETCゲートが開かなかった場合はどう対処するのが正しいのでしょうか。
首都高のウェブサイトでは「バー(ゲート)が開かず停車した場合、絶対にバックせずに料金所係員に連絡し、指示を仰いでください」となっています。
実際、筆者(金田ケイスケ)もETCゲートが作動しなかった体験があります。
そのときはゲート前で一時停車して料金所の係員に声をかけて、ETCカードを車載器から取り出して係員に処理してもらいました。
係員も「ちょっとした接触不良やゲートトラブルで(カードを)読み取れないこともあるんです」と話してくれました。
ゲートが開かないというのは焦りますが、レーン変更のためにバックするのはNGです。後続車などと接触事故を起こしてしまうと、高速道路管理会社の責任にはならず事故当事者同士で対処しなければいけないのだそうです。
ちなみにNEXCO各社が管轄する高速道路では、ETCゲート付近にインターホンが設置されており、バーが開かなくて一時停止していると、係員が対応してくれるようです。
さらに、前出のETC・ナビのセットアップ専門店スタッフに、ゲート開かなかった場合にどうなるのか聞いてみました。
「レーンに入るスピードとアンテナの設置場所に問題があると、ゲートが開かないケースもあるようです。
ゲートは柔らかい素材でできているので押して通過(突破)できるのですが、今度は出口で揉めることになります。
場合によっては路線の最大料金を支払う可能性もありますので、係員の指示を待つのが正解です」
ゲートが開かないのに通過してしまった場合は、管轄の高速道路運営会社の「お客さまセンター」に連絡するか、運営会社ウェブサイトにある「ETC(課金)訂正フォーム」で、当時の状況や自分の名前と住所、ETCカード番号や有効期限、通行日(日にちだけでなく時刻まで)、通行した料金所、車両番号や車種・色などを記入し、先方からの返答を待つのが正しい対処法です。
そのまま放置してしまうと「不正通行」となり、通行料金+割増金、さらに道路整備特別措置法などの法令に基づいた30万円以下の罰金が科される可能性もあります。
もしゲートが開かなったときは安全な場所で一時停車し、そのときに時間や料金所名などを記録するためにスマホなどで状況を撮影しておくと良いでしょう。
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ETCゲートが開かないとかなり動揺すると思いますが、そのまま放置して料金を踏み倒そうとしなければ大丈夫です。
ETCカードや車載器のトラブルであればいくらでも対処できますし、自己申告することで後日精算もできます。
また中古車を購入する場合、走行部品や消耗部品と同じく、ETCがきちんと作動しているかを事前確認すれば、後々のトラブルを回避できそうです。