トヨタを代表する高級セダン「クラウン」と商用バン「ハイエース」。異色の組み合わせで誕生した「クラエース」とはどのようなモデルなのでしょうか。
■「クラエース」爆誕!誕生のきっかけと苦労とは
トヨタ「クラウン」と「ハイエース」を融合させた「クラエース」がいまネットで話題となっています。
製作は個人によっておこなわれていますが、一体どのような車両になっているのでしょうか。
クラウンは1955年に誕生したトヨタを代表する高級セダンです。現在では15代目となる現行型が販売されており、超ロングセラーモデルとなっています。
幅広い世代から人気を集めるクラウンは、多くの人から「いつかはクラウン」というように憧れの存在として、いまなお一定の人気をキープしています。
一方で、トヨタの商用バンの代表的なモデルといえば1967年に誕生したハイエースが挙げられます。
こちらもクラウン同様に長い歴史をもつ1台で、現在国内では5代目モデルが販売されています。
商用車の代表格ともいえるハイエースは、積載力の高い大型のワンボックスカーとして、多くの現場で活用されています。
そんな国産車のなかでも歴史が長く人気も根強い2台ですが、現在ネット上では両車を融合させた「クラエース」が話題です。
クラエースは、現行ハイエースに現行クラウン(RSグレード)のフロントバンパーを移植した、世界で1台のオリジナルモデル。
かっこよさのなかに高級感も感じられるクラエースは、ボディ全体をメタリックなブラウンにカラーリングされています。
クラエースを製作したのは岸田勝也さん(@k_magic209)で、2020年頃にクラウン(RSグレード)のバンパーが気になり、画像加工でハイエースに装着してみたのがはじまりだといいます。
当初、加工した画像を見た時の心境について、岸田さんは「カッコ良く、 絶対(ハイエースにクラウンのバンパーを)入れようと決心しました」と話します。
そこから、約1年を経て有言実行されたクラエースですが、製作工程には大変なことも多々あったようです。とくに苦労した点について、岸田さんは以下のように話します。
「製作にあたり悩んだのは、クラウンのバンパーがハイエースの純正バンパー幅よりも左右4cm、全体で8cmほど広かったことです。
ハイエースの純正バンパー内に幅を縮められる箇所がなく、両端を切断して形を合わせながら作業したので苦労しました。
また、サイドステップパネルもクラウンバンパーにはもともと存在していない箇所があったため、ワンオフで製作しました。前バンパーとのライン取りや成形がとくに大変でした」
このようにクラエースの製作では、クラウンバンパーのカットに加え、ポリプロピレンといった素材やパテを使用した成形作業おこなわれており、細やかな修正なども含めかなりの時間が要されているようです。
そんな苦労も重ねたクラエースのこだわりについて、岸田さんは次のように説明します。
「こだわりは、全体的に違和感がなく、純正でもありそうな見た目に仕上げたことです。
また、フロントキャンバーを引き立たせるために、バンパー上部から下部にかけて内巻きのデザインにし、前からタイヤ下部がワイルドに見えるようにしました」
岸田さんのクラエースは、2021年10月に愛知県でおこなわれたカスタムカーのイベント「スタンスネーション」への展示車両にもなっており、タイヤに角度(キャンバー)をつけ、あえてローダウンしたデザインにされています。
そんなスタンスネーション出展時のSNS投稿には、現在およそ1万件もの「いいね!」がつけられています。
岸田さんによると、「実際にありそうなハイエース」「まさにクラエース!」「発売してたら買いたい」といった感想を耳にすることがあるようです。
さらに、実際に走行している際などの実体験について「街中を走行していると、対向車の7割ほどにはじっくりと見られます。なかには信号待ちで動画撮られたこともあります」といいます。
このように、大反響を呼んでいるクラエースですが、岸田さんは今後の展望について、「21歳からクルマに乗りはじめ、自分流にカスタムしてきたので、これからも自分の好きを形にして、いろいろな車両を製作していきたいです」と話しています。
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岸田さんは「K-magic」として個人ビルダーとして活動しており、クルマの写真撮影などもおこなっています。
そうしたさまざまなクルマと触れ合う機会が、今回のクラエースのようなユニークな発想に繋がっているのかもしれません。
いかつさと高級感を兼ね備えたクラエース。世界に1台の車両なので、見かけた人はラッキーといえるでしょう。